2008年7月31日木曜日

5歳児健診

 いってきました、5歳児健診。
といっても、私が健診「する」側です。

 5歳児健診は、鳥取県で開始されています。私の住んでいる東北のとある県でも
今年から開始したのです。

 身体疾患、発達障害などをスクリーニングする健診です。

 久しぶりの健診で、しかも5歳は私にとっても初めてだったので、ドキドキしました。

 でも、実際にやってみると、以前に学校健診をしたときの感覚が思い出されました。
何よりも、子どもたちがかわいい!!

 そういうわけで楽しみです。

 それに、保健師さんたちとお話できるのがとても楽しみです。いつもひとりで外来をしているので、誰かと話すのは、とてもうれしいのです。

 確かに、こんな風な単純な、簡単な理由でいいのかどうか分からないのですが、とりあえず、5歳児健診、やるほうが楽しまないと、と思います。
 

2008年7月29日火曜日

「文字は学問するための道具」

トラックバックというのを初めてしました。以下が、そのアドレスです。
http://blogs.yahoo.co.jp/hanaotoiida/
(7月23日版)


このブログは、私の知人のブログなのです。
私にとって、このタイトルが、ちょっと目を覚まさせられた、というべきでしょうか。

私だけがそうなのかと思うのですが、どうも私は、目的と手段を履き違えます。

英語、私も勉強しているのですが、どうして英語を勉強するのでしょうか?最初のうち、私はその質問に答えられませんでした。ただ、やりたくて、という感じだったのです。

もちろんそれでもいいのでしょうが、私は、もともとそういえば何で英語をしたいんだっけ?と、戻ってみました。

私はもともと、英語の文献をできれば二日で読みたかったのです。仕事上、英語文献が読めないと話にならないし、それに1ヶ月もかけているのは最初の要約(=abstract)の内容を忘れてしまうので意味がないと思ったからです。

余談ですが、英語のペーパーバックなんて、1年かけて読み終えないものもあります。

それで、一発奮起して、毎日英語を読みました。そして、書きました。
ちなみにまたまた余談ですが、意外とニンテンドーDSが役に立ちました。ソフトの「英語漬け」がいいですよ。

そんな、こんなで半年でしょうか。

今は、その過渡期でしょう。
英語文献を読了するのに、一ヶ月はかかりませんが、それでも4日から1週間かかります。

今後はもっと速くなるでしょう。

ここで、私ははた、と気づきました。英語の文献読んで、それでなに?と。

それが、外来に、目の前にいる人に役に立たないと意味がないです。

それを思い出して、また英語をしています。

でも、この長い例のように、手段と目的がごっちゃになることって、多くないですか?

文字は道具だから、そこに書かれていることがわかっても、それを使えないと意味がない、それが私はなかなか実感していないということでしょう・・・。

2008年7月27日日曜日

「ついていったらだまされる」




 多田文明著「ついていったらだまされる」(理論社、写真)を読みました。

 私は、理論社のよりみちパン!セというシリーズが大好きなんです。中学生以上、とあるので、読みやすいし。

 我が家で月に一回主催する読書会でも、よくこのシリーズでやっています。

 で、この本ですが。
 初めての物事に出会った時の私の思考というのが「へえ」なんですね。それが、存分に出た本です。面白い、というか、それって、ありなんだ・・・という感覚でしょうか。

 例えば、著者のお仕事。「キャッチセールス評論家」ですよ!?それって、命がけだろうなあと思って、驚くやら、それが仕事になるんだ・・・と感心するやら…。

 この本は「どうしたら、あなたを狙ってくる人たちに対して騙されないようにするか」という視点で書かれています。その結論は、「疑問に対して、思考を停止しないこと」です。

 ≪疑問を持ち続けられないのはなぜ?
 「どうして?」という疑問を持ちながらものごとを深く考えない人は本当に多い。詐欺の被害にあう人があとをたたないことからも、それがわかると思う。多くの人はどうして、疑問をもち続けることができないのだろうか?結論から言ってしまえば、それは、ものごとを深く考えないことのほうが、楽だからだよ。≫
(本文202ページより)

 どきり、とします。

 どうして、この人は見ず知らずの自分に優しいのか、など考えるよりも、その優しさに浸かっているほうが確かに楽そうです。

 それを著者は言いたいのです。そして、それがあることで、身を守ることができる、と断じています。

 私もその通りだと思います。
 自分を振り返っても、そういう傾向があるわけですし。

 ただし、これをどうやって子供に伝えるか、難しいと思います。あまり「なぜ?」ばっかり言われても、日常生活で、私が我慢できないし。

 バランスを取って生きていくことの難しさというか・・・。

 お勧めの本です。
 

2008年7月25日金曜日

手助けされることが、いや。

 教育の現在、私の外来での一番の困り事でもありますが、
「自分でできることは、自分でしょう」
という方針があります。

 学校では、自立を教えるおつもりなのでしょう。

 けれども、これで私は困っているのです。というのも、私の外来にやってきても、親たちに連れられてきて(=親もその子供が困っているとわかっている)も、私から見てもその子が困っているとすぐわかっても、本人は、その困っているという状態を認めつつ、サポートを拒否するのです。

 もちろん、私の話の持っていき方がよくない、私と相性が良くない、など、私の側の要因はいくらでもあると思います。

 でも、それでも大部分の子供たちは大なり小なり「手助けされることは、いけないこと」と思っているようなのです。

 不登校であれ、精神疾患であれ、それは同じです。

 困っているのだから、何らかのサポートを求めればいいのに。

 顕著に表れるのは、発達障害の子供たちに特別支援を要請する時です。発達障害と診断し、診断書類を作成して教育委員会に提出し(学校や親御さんにやってもらいますが)、特別支援の学校人員配置を審査してもらい、その子供が通常学級にいて、その子のためにサポートの先生がやってくる、というわけです。

 わからないことはその人に聞けるし、何かと便利だろうと私は思うのですが、子どもたちはそうは思わないようです。

 「サポートの先生なんて、いや。助けてもらうなんて、恥ずかしい」。

 そういう思いがあるようです。

 できないことを認めたがらないということだと思うのですが、それは、学校や周囲の大人が「できないこと」=だめなことという考えがあり、「できないこと」を認めるのは恥ずかしいということになるようです。

 そうなると、特別支援のサポートの先生がつくのも、いや、恥ずかしい、そういうことになるようです。

 学校で、周囲で、できないことは恥ずかしい、手助けされるのは恥ずかしい、そういう考えを培っているのでしょう。

 少なくとも、できないときもあって、人に助けを求めるのは手段の一つである、というくらいになってほしいのですが・・・。

学習支援;Do-IT Japan

障害があっても東大に行こう--DO-IT JapanでITの支援を受ける学生たち

藤本京子(編集部)
2008/07/24 18:01

 マイクロソフトは7月24日、障害のある高校生および高校卒業生の進学、就労をテクノロジーで支援するプログラム「DO-IT Japan」の実施内容を報道機関に向けて公開した。

 DO-IT Japanは2007年より開始されたプログラムで、任意団体のDO-IT Japanおよび東京大学先端科学技術研究センターが主催、マイクロソフトが共催している。全国の応募者から選ばれた参加者は、5日間の体験プログラムを 通じてテクノロジーなどの知識を身につける。参加者にはPCと、障害に応じた支援機器を提供し、体験プログラム後もオンラインメンタリングによって支援を 受ける。

中邑氏 東京大学 先端科学技術研究センター 教授の中邑賢龍氏

 米国では、ワシントン大学がDO-ITプログラムを1993年より毎年実施しており、多くの卒業生が大学に進学している。東京大学 先端科学技術研究センター 教授の中邑賢龍氏は、「米国では障害のある大学生が約200万人在籍し、全学生の11%にも上っているが、日本では大学に在籍する障害学生は約5000人 で、全体の0.17%に過ぎない」と指摘する。

 これは、「海外では障害を持つ学生に対し、合理的な配慮をしているからだ」と中邑氏。日本では、障害があっても努力で何とかすべきだという風潮が あるが、中邑氏は「努力だけではどうしようもならないことがある。海外では、文字が書けないのであればワープロを使ったり、問題を解くのに時間がかかるの であれば試験時間を延長したりといったことを認めている。こうした配慮で、多くの学生が学習を続けられるのだ」と説明している。

 2007年のDO-IT Japanは、12名の高校生・高卒生が参加し、うち4名が大学を受験、2名が希望する大学への進学を果たした。今回も、手足などの体に障害がある学生は もちろん、発達障害や記憶障害など認知に障害のある学生も含め12名がプログラムに参加している。報道機関に公開されたプログラムでは、認知に障害のある 学生に対し、Microsoft Office Visioを使って思考を整理する講座が開かれており、体に障害のある学生に対しては障害の程度に合ったPCの使い方が指導されていた。

小倉さん Visioに真剣に取り組む小倉さん

 千葉県から参加した小倉信治さんは、クラブ活動中に野球のボールが頭にあたって以来、高次脳機能障害を抱え記憶力が低下したという。今回の講習 で、Visioで図を描きつつ思考を整理する方法を学び、「関連づけて覚えやすいのでこれからも使ってみたい」と意欲を見せる。小倉さんは、2007年に も同プログラムに参加し、今回で2度目の参加となるが、再度参加した理由を「ここで学んだことが役に立ったのはもちろん、同じように障害を持った人と知り 合い、大学受験についての情報交換もできた」と述べている。

 体に障害がある学生に対しては、Windowsにすでに組み込まれている機能で、障害がある人にとって使いやすい機能を中心に紹介されていた。

木下さん アゴにつけたシールで器用にマウスを動かす木下さん

 静岡県出身の木下昌さんは、頚随損傷により手足と呼吸に障害がある。手が動かせないため、パソコンのマウスは、アゴにつけた赤外線シールにより、 赤外線認識機能を使って動かしている。キーボード入力はパソコンの画面上に表示された文字を赤外線でクリックしていく。画面上のキーボードは特別なもので はなく、Windowsにすでに組み込まれているものだという。

 ほかにも、シフトキーを固定させつつ他のキーも同時に押すことを片手だけでできる機能など、各個人に合った方法が紹介されていた。

 東京大学の中邑氏は、「読み書きができなければワープロを使い、計算ができなければ電卓を使っていいはずだ。日本の教育現場ではそれがまだ認められていないが、将来的にはITの支援によって障害のある学生でも東京大学に進学できるようにしたい」と述べた。

(以下、psycho)

 ちょっとびっくりしてしまった部分がありました。東大にそんなにこだわるんだ・・・と思えたからです。

 東大、じゃなくて、行きたい大学、受けたい大学の講義、という、その代表例に「東大」というイメージをとったのだろうと、私は解釈しましたが、誤解を生むかもしれないと思えます。

 さて、記事ですが、今さらながら・・・という感もあります。遅いんだよなあという感じ、と言いますか・・・。

 障害があっても、素晴らしい能力の持ち主と私は外来でよく会います。ファンタジー小説が大好きでほぼ暗記している、知的能力も人並み以上、などです。それをなかなか生かすことができないのです。外来に来てくれている人たちが、生かせないのではなくて、周囲が生かせないのです。

 生かす方法を知らないのです。

 たしかに、この記事に登場しませんでしたが、たとえば発達障害の人たちは、「パニック」になることがあります。精神科では、厳密な意味ではパニックと言わず、混乱するといいますが、ほとんどの人がパニックになるというので、ここでもそう書きます。
 発達障害の人たちが、彼らの能力がオーバーヒートすると、暴れてしまったり、めちゃくちゃな運動をしたりというようなことを「パニック」と呼んでいるようです。
 発達障害の子供たちは、実はかなり知的能力が高いのです。でも、聴覚情報を取り入れられなかったり、一方的に叱られるとパニックになるという、たったそれだけで、学校で「困った存在」になりがちです。

 極端な場合は、厄介者扱いです。

 そして、体系だった教育が受けられないわけです。

 そうなると、日本では大学に行きづらくなります。せっかくの能力が生かされないのです。

 発達障害の子供たちは、他者との交流が苦手な場合が多く、それをある程度他の人にやってもらえたりすると、自分の興味のある分野で開花することが多いのです。

 この記事のように、そういう人たちへのサポート、それが今後さらに洗練されていく必要があると思います。

2008年7月24日木曜日

認知症の人たちと抗精神病薬の効果

≪認知症の高齢者への短期間の抗精神病薬治療は重篤な有害事象の原因になる≫

提供:Medscape

 高齢認知症患者では、抗精神病薬治療開始から30日以内の入院または死亡のリスクが大きいことが、大規模試験で示された。

【6月3日】地域生活または養護施設で暮らしていて、非定型または従来型の抗精神病薬による治療を開始した高齢認知症患者は、そうした薬物を使用していない同様の患者に比べて、30日以内に入院または死亡する傾向がおよそ2倍から4倍大きい。


この知見は、『Archives of Internal Medicine』5月26日号に発表された大規模地域住民レトロスペクティブ(後ろ向き)コホート研究によるものだ。


こ の研究は、これらの薬物の現実世界での使われ方に関する市販後調査であり、重篤な有害事象を個別ではなく複合転帰として調査した点が重要であると、筆頭著 者のPaula A. Rochon, MD(臨床評価科学研究所、カナダ・オンタリオ州トロント)がMedscape Psychiatryに語った。


「我々が伝えたいのは、こうした重篤な副作用が治療開始早期から起こりうるということだ。ベネフィットがリスクを上回る状況でのこの種の治療の実施が制限されるのはほんとうに大変なことだ。」


この患者群には抗精神病薬は安全か?


著者らの記述によれば、非定型抗精神病薬(オランザピン、クエチアピン、リスペリドンなど)は、10年以

上前から市販されており、認知症の行動症状や精神症状の治療に従来型の抗精神病薬(ハロペリドール、ロクサピンなど)の代わりに広く用いられている。


著者らによれば、抗精神病薬は臨床の現場では不穏症状の治療に短期間用いられることがしばしばある。ある研究の報告では、養護施設に新規に入所した入所者のうち、100日以内に抗精神病薬投与を受けている者が17%いる。


「こうした薬物の短期使用が高頻度に行われているので、その安全性の評価が重要である」と著者らは記している。


研究グループは、1997年から2004年までの期間で、認知症と診断され、抗精神病薬治療を受けた66歳以上のオンタリオ州住民のデータを分析した。重篤な有害事象については、被験者の医療記録で評価した。


複合転帰には、抗精神病薬治療開始から30日以内に入院または死亡の原因となった重篤有害事象を含めた。入院は、既知の重篤事象(錐体外路症状、昏倒や股関節骨折、脳血管事象??これまでの研究で明らかにされてきたもの)またはその他の事象として分類した。


研究グループは被験者群を、地域居住コホートと養護施設コホートの2つに分けた。なぜなら、養護施設居住者は抗精神病薬が処方される率が高く、一般的に、有害事象を起こしやすく、障害を受けやすいからだ。


この2種類の状況のそれぞれにおいて、抗精神病薬の曝露状況が、なし、非定型抗精神病薬、従来型抗精神病薬のいずれかである以外は条件が同じでサイズも同じ3群を特定した。


この研究の対象になったのは、地域居住の認知症高齢患者20,682例(抗精神病薬曝露状況の3分類のそれぞれに6894例)と養護施設居住の認知症高齢患者20,559例(3分類のそれぞれに6853例)である。


もっとも多く処方されている非定型抗精神病薬はリスペリドン、オランザピン、クエチアピンであり、従来型抗精神病薬はハロペリドール、ロクサピン、塩酸チオリダジンであった。


重篤な有害事象は多く見られ、過小評価の可能性がある


抗精神病薬治療開始後の早期から重篤な有害事象が高頻度に起こっていた。そうした事象は、非定型抗精神病薬よりも従来型抗精神病薬を使用している被験者で、また、養護施設居住者よりも地域居住者で多く見られた。


表.高齢認知症患者への抗精神病薬治療開始から30日以内の重篤有害事象のリスク


抗精神病薬治療

地域居住被験者群の調整後OR(95%CI)*

養護施設居住被験者群の調整後OR(95%CI)*

なし

1.0

1.0

非定型

3.19 (2.77 - 3.68)

1.92 (1.68 - 2.21)

従来型

3.81 (3.31 - 4.39)

2.38 (2.08 - 2.72)

* 標準差が0.10を超える共変動のすべてについて調整。そうした共変動としては特定種類の薬物治療の使用、最近の入院、などがある。


この研究では、重篤有害事象の真の発生率を過小評価している可能性があると、著者らが述べている。第1に、この研究では、薬物使用の中止に至った事象や、入院に至らなかった事象が除外されており、第2に、追跡期間が短いからだ。


そのため「重篤有害事象を調べた今回の結果は、『氷山の一角』を見つけただけのものである可能性が高い」と著者らは記している。

「抗精神病薬は、たとえ短期間であっても慎重さをもって処方しなければならない。」


こ の研究は、カナダ保健研究所(CIHR)の慢性疾患新興チーム(Chronic Disease New Emerging Team)プログラム、CIHRの学際研究振興(Interdisciplinary Capacity Enhancement)助成金、CIHRの若手研究者賞(New Investigator award)の支援を受けている。慢性疾患新興チームは、カナダ糖尿病協会、カナダ腎臓財団、カナダ心臓脳卒中財団、CIHR栄養代謝糖尿病研究所・循環 器呼吸器医学研究所が共同で支援している。著者のうち1名は、トロント大学の健康管理戦略委員会の委員長を務めている。著者のうち2名が資金援助を受けて いる。その他の著者の開示情報には、関連する金銭的利害関係はない。


Arch Intern Med. 2008;168:1090-1096.

臨床的背景


非 定型抗精神病薬(オランザピン、フマル酸クエチアピン、リスペリドン)は、高齢認知症者の行動症状や精神症状の治療薬として、昔からの従来型抗精神病薬に 大きく取って代わってきている。錐体外路症状、昏倒、股関節骨折、脳卒中、死亡といった個々の有害事象と抗精神病薬使用との関係を調べたコホート研究はあ るが、そうした状態をはじめとする重篤な有害事象をすべてまとめた発現リスクについては調べられていなかった。


臨床の現場では不穏症状や譫妄の治療に抗精神病薬を短期間使用することが多いが、そうした実践を支持するエビデンスはランダム化対照試験で得られていな い。障害を受けやすい患者群にこうした薬物が使用されることが多いので、安全性を明確にすることが重要である。


Medscape Medical News 2008. (C) 2008 Medscape


(以下、psycho)

 私はこどもの精神科が専門というか、精神科で子供を主に診ていますが、認知症の方も来てくれます。そのときに、暴れていたり、ひどく被害的になっている場合、向精神薬(もちろん、抗精神病薬を含めて)を使います。

 ずっとそれでやってきて、うまくいくこともありましたし、まったく効果がないこともありました。

 この記事のような研究結果が出た場合、うまくいっている人も中止しなくてはならないかもしれないわけです。医者としては、うまくいっているのに、困ったと思いますが、私だけが悩む問題ではないのです。

 他の人がどうしているか、わかりませんが、私は自分の経験上うまくいった話と効果がなかった話、今回のこの研究結果、そして、今後どうしたらいいか私は迷っている、と、その方本人や家族の方に相談します。

 それでどちらかを選ぶのか、それは、人それぞれの考え方ですから、私はどちらでもいいと思います。

 他の薬を使うこともありますし、使わなくても、とりあえず何とかなることもあります。かなり注意していつも誰かがつきっきりでないといけない場合もあります。誰かがつきっきりになれることもありますし、なれないこともあるでしょう。

 この記事でいう「有害事象」って、副作用が出たり、極端な場合死にいたることだろうと私は思います。あくまでもわたたしの考えですが・・・。

 本人や家族に相談すると、必ずうまくいくわけではないのですが、何となく納得できて、ホッとできる場合が多いです。

 その方本人や家族の方の人柄に感謝してしまいます。

 こういう研究結果が出たので、今後は認知症の方の被害的になるとか、暴れるとかいった状況にどうかかわればいいのか、その研究もしてほしいものだと思いますが・・・。

2008年7月21日月曜日

心疾患とネガティブな感情

2008/07/18(金)

No.J000435

ネガティブ感情は心疾患イベントに関連:Whitehall IIスタディ
KEYWORD心疾患イベント|感情|Whitehall II|冠動脈性心疾患|循環器

心 疾患イベントのリスク増加に心理的因子(不安、敵意/怒り、うつ)が関わっていることを示す研究がいくつかあるが、ポジティブな感情、ネガティブな感情そ れぞれを独立因子とし、二次的な冠動脈性心疾患イベントとの関連(影響およびリスク)を検討する研究が報告された。イギリスでのWhitehall IIスタディからの報告。同スタディは1985年にセットされ追跡調査されている、健康と疾患の社会経済的傾向を探るための経時的研究である。BMJ誌 2008年6月30日号掲載より。

1万308人を12年以上追跡調査

追跡期間12年以上の前向きコホート研究としてデザインされた試験には、ロンドンに本部事務所を置く20の行政機関に属する1万308人(1985年登録時35~55歳)が参加した。

主要転帰項目は、致死性冠動脈性心疾患、非致死性心筋梗塞、狭心症(n=619、追跡期間12.5年)。

年 齢、性、民族性、社会経済的位置づけで調整したコックス回帰分析の結果、ポジティブ感情と、バランスがとれた感情(バランス・スコアに着目した指標で評価 した感情)は、冠動脈性心疾患との関連は見出せなかった。ハザード比はそれぞれ1.01(95%信頼区間:0.82~1.24)、 0.89(0.73~1.09)。

ポジティブ感情、バランスのとれた感情との関連は見られなかったが

さらに行動のリスク因子(喫煙、飲酒、1日の果物と野菜摂取量、運動、BMI)、生物学的リスク因子(高血圧、血中コレステロール、糖尿病)、仕事による精神的ストレスの因子で補正をしても、結果は変わらなかった。

しかし、ネガティブ感情を有する区分に分類された参加者には、冠動脈性心疾患イベント増が見られた(ハザード比:1.32、95%信頼区間:1.09~1.60)。この相関は、複数の交絡因子の調整後も変わらなかった。

こ の結果を踏まえ、「ポジティブ感情と、バランスのとれた感情は、男女ともスタディ加入時に冠動脈性心疾患と診断されなかった場合、将来的な発症を予測する 因子とはならないようだ。ネガティブ感情には弱い相関が見られる。さらなるスタディで確認する必要があるだろう」と結論している。

文献
Nabi H et al. Positive and negative affect and risk of coronary heart disease: Whitehall II prospective cohort study. BMJ. 2008 Jun 30;337:a118. doi: 10.1136/bmj.a118.


(以下、psycho)

 以前から、外来に必ずと言っていいほど、心臓の疾患を抱えた人がひとりはおられるようになりました。今現在は、おられないのですが・・・。

 大学院にいる頃も、循環器内科と精神科で「心疾患の人たちは、精神疾患の中でもうつ病や、不安障害が多いのではないか?」ということで、協力し合うという体制でした。ちなみに北海道の大学ですが。

 心疾患を抱えた人たちの中で、心疾患自体は改善しているけれども、依然としてその症状が本人にとっては継続していて、それゆえに、その症状にこだわってしまい、心疾患の主治医との関係が悪化してしまう人もいました。

 私にしてみれば、どんな疾患でもことに慢性疾患であれば特に、精神科のかかわりが必要だと思うのですが、そういう思いはその主治医にはなかったのでしょう。

 そういう体制を、地方の一般病院でできたらいいなと思っていますが、どうなんでしょう?