2009年3月2日月曜日

書評「他の誰かになりたかった」(藤家寛子著 花風社) 


書評「他の誰かになりたかった」(藤家寛子著 花風社) 1600円(税別)

アスペルガー症候群と診断された本人の自伝です。少し読みにくかったです。

というのも、「~だ」「~である」調や「~です」「~ます」調ではなくて、口語調で書かれているので、目の前にその人がいるかのようなリアルさはあるのですが、それだけに全般的に距離感が取りにくい本でした。冷静になれない、という私の問題だと思いますが。

ただ、著者が書いているように家族の中で祖父とのつながりがあったからこそ、人とのつながりを求めていけたという部分には、「なるほど」でした。

家族が事前に決まっていることを言うと思いこんでいたなど、私たちには思いつかないこと思っていると受け取られがちでしょうが、おそらくどの人にも意識化 できないだけでそのようなことはあるのではないでしょうか。この本を読んでこの部分が、私は自分との共通点だったので、うれしかったです。

自閉症や、自閉性障害、発達障害と言うのは自分とは程遠いと思う人も多いのでしょうけれども、この障害は、どこからが障害、とはっきり言えない状況なのです。それゆえにスペクトラム障害という名前になっています。

それが、自分の経験から実感できる貴重な本だと思いました。

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