書評 「自閉っ子におけるモンダイな想像力」 ニキ・リンコ著 花風社 1600円(税別)
この本の冒頭の花風社社長浅見淳子さんが書いておられるように、自閉症スペクトラムの人たちには「三つ組の障害」があるといわれています。
この本の冒頭の花風社社長浅見淳子さんが書いておられるように、自閉症スペクトラムの人たちには「三つ組の障害」があるといわれています。
- 社会性の障害
- コミュニケーションの障害
- 想像力の障害
です。
ところで、私は子どもの精神科を志した時、これらの意味がよくわかりませんでした。そして、あれから7,8年が過ぎて、わかるようになったのは、「本人に聞かないとわからない」ということがわかったのでした。
この本は、「本人に聞いて」みた本です。
自閉っ子たちは、想像力がないということではないのに、どういうことで「想像力の障害」なのか?この本に書かれているように、自閉っ子たちは、想像力を日 常生活に応用し、役立てることが苦手なようです。そして、その結果、非自閉っ子にとって不可解な行動をして誤解されてしまうこともあります。
そういう苦しさやつらさがあるだろうのに、自閉っ子たちは負けないというか、想像力の障害を活用しながら生きていきます。
たとえば、夜なかなか眠れないときに、生理用品の「熟睡ガード」を買ってしまって、使った話。
うーん、気の毒…と思いながら、思わず噴き出してしまいました。
でも確かにそういう思い違いってあるかも・・・。
ニキ・リンコさんが書いているように、
「元気なとき、落ち着いているとき、自分のナワバリ(ホームグラウンド)にいるときは何とか想像できることでも、体調が悪い時、うろたえているとき、アウェイ戦の時は想像力が追い付かなくなる気がする」
という状態は、私にもしょっちゅうあるのです。
そう、この本は想像以上におもしろい。
もしかしたら、私たちのほうが想像力に障害があるのかもしれない、そう思えるくらいです。
0 件のコメント:
コメントを投稿