2009年3月24日火曜日

読書会;つづき

 昨日の読書会の感想を書いていて、書き足らなかったので・・・。

 他の方の感想を聞いていて思ったのですが、この本がそもそも虐待を扱っているという風には、皆さんあまり思っていなかったようでした。

 そのこと自体は、そういう感じ方ですからそれでいいのですが、私が自分自身の問題だと思ったのは、私がその場に参加した方に対して、「この本は、虐待を扱っている」と、自分自身が納得できるように周りの人に説明できなかったのです。

 それが何ともふに落ちなかったのです。

 確かにある程度の根拠は示せたかもしれないのですが、納得していただくには至っていないようでした。

 自分の未熟さを思い知った瞬間でした。

 このあとはやはり、もう少し虐待とはどういう影響を子どもの成長に与えるものなのか、イメージしてもらえるような説明や、画像を伝えられたらいいと思うのですが・・・。

 考えさせられる読書会でした。

2009年3月23日月曜日

読書会;「悪童日記」

 昨日は、読書会でした。アゴタ・クリストフ著「悪童日記」を読みました。

 私は実はこの本を読んでいないのですが、この本を読んだ人の話を聞き、本の中の当該の場所を観ていくうちに、主人公の双子の「ぼくら」は実は、母方祖母から、村人から、ひいては戦争という事態から、虐待を受けていたのだと、思い始めました。

 それは、p41の体を鍛える話の中で、「痛いのは別人だ」と痛みを感じないようにする部分と、作文を書きあうときに自分たちの感じたことや、感情を書かないということから、これは、虐待された子供たちがそのまましている行動だと気がついたからです。

 戦争中に、他にも「ぼくら」のような扱いを受けた子どもがたくさんいたことでしょう。でも、大人も子供も生存することで精いっぱい、つまりは、身体機能を保つことにのみ関心があり、その後にもたらされるであろう、精神機能の不調には気がつくこともなかったのでしょう。

 つまり、目に見えないものは、「ないもの」として扱われたのです。

 子どもにとって、誰かが自分のことを気にかけてくれていると実感することは、その後に生きていくために必要なのです。誰かに愛情をかけるということもそこから学ばなくてはなりません。愛情を受けたことがなければ、愛情を与えることはできないのですから。

 戦時中には、そういう目に見えないものを抹殺してしまったということです。もっというと、子どもとして生きることも抹殺されたのです。

 そのようにして読むと、むやみと大人びた「ぼくら」が得られなかったものの重みが感じられて、痛みすら感じてしまう本でした。

 自分の感情のことばかり考えてしまい、私は、他の人の感想を気にかけられないでいた昨日の読書会でした。

2009年3月22日日曜日

書評「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則」 本田直之著 大和書房 1000円(税別)


書評「面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則」 本田直之著 大和書房 1000円(税別)

この本が面白いのは、面倒くさがる、という性質を否定的に評価せずに、そこから、面倒くさくてもこれさえすれば日々の生活を変えていけるというシステムを構築する方法を提示している点です。

その中で、最もいい、と思えたのは「時間割で動く」(p108)です。

つまり生活の中のあらゆる事柄をすべて時間割にして、毎日一定の型に沿った生活をするということを勧めている章です。

これは、と私が思ったのはなぜか、というと、発達障害の人たちがキャリアアップしていく際に、このシステムを使えると思ったからです。

発達障害の人たちは、変化が嫌いです。毎日同じような生活をしていくことを好みます。だから、クリエイティビティの必要な仕事はあまり向かないかもしれないと私は思っていましたし、キャリアアップをするのにも無理があるかもしれないと思いこんでいたのです。

ただ、著者のように時間割で仕事をしていくことで、面倒でも、変化が嫌いでも、確実に変化していける仕組みは構築できますし、それに沿って行動すれば、自分の望むように自分を変革できるのです。

もちろん、どのように時間割を立てるかというのは、自分の指針がなければ、作れませんがそれは、発達障害のある人が、誰かと相談しながら作ればいいわけで すし、この本でも自己流で物事をしていこうとするほうが「面倒くさい」ので、コーチングやマニュアルの活用、つまり、誰かと相談することを推奨していま す。

確かにビジネス書なのですが、読み替えると、私のような活用法もあるかと思います。

2009年3月20日金曜日

ケース会議

 ときどき、地域ぐるみである患者さん(たいてい家族も含んでですが)を支えようとして、行政関係の方や、教育関係の方と、会議をすることがあります。これが、ケース会議というものです。

 私は、これが贅沢で、大好きな会議なのです。私のこともいつか、ケース会議をしてほしいくらいに…。

 先日も、そのような会議がありました。

 行政関係の方、教育関係の方が勢ぞろいして、こんなにたくさんのメンバーが力を合わせてその人たちにかかわれば、何とかなるかもしれない、とうれしくなりました。

 というか、こういう私が単純なのでしょうか?

 ただ、行政関係の方で、話題の患者さんに対して、かなり批判的な人がいて・・・。つらかったです・・・。

 よくわからないのですが、その人は、私がその患者さんのどんな肯定的な話をしても「そんなことはありません。先生は(=私のことですね)、その人たちのことをよく知らないから」とおっしゃるのです。

 その人と、その患者さんの間にどういうやり取りがあったのか、どんなふうに関係がよくないのか、知らなかったのですが、とりあえず、このような会議に来てくださるということは、その人も、その患者さんのことを思っていると考えるのですが・・・。

 というか、もしも、私がその人のことをよく知らないから、いい対策が打てないということだとすれば、長く知っていればいいというものでしょうか?

 とりあえず、一言告げるたびにそのように批判されたり、私の発言を受けてしかめっ面をされると、へこんでしまいました。

 こんなふうに、あまり良く思えないという状況が広がるのかもしれません。

 今後もこの会議はしたいのですが、その人とどんなふうにやり取りになるのか・・・。でもちょっと、その人の変化も楽しみだったりするのですが。
 

2009年3月15日日曜日

うれしい報告

 先日の外来で、いつも来ている方がお子さん(お子さんも外来に来てくれていますが)の学校のことを相談してくれました。

 聞けば、そろそろクラスが編成されるけれども、兄弟の情報で「この先生だけは、うちのこの子とあわないな」という方がおられて、その先生が担任にならないようにずっと、悩んでいるということでした。

 私としては、学校に相談に行けばいいのでは?と思ったのですが、その方にとって学校とは敷居が高くて、相談に行きにくいのですということでした。

 思いきって旦那さま(=お子さんのお父さん)と行っては?と提案したところ、その方にとっても意外だったようですが、「やってみます」と言ってくれました。

 そして、つい最近。

 旦那さま(=お子さんのお父さん)も、一緒に学校に相談に行ってくれて、その方をフォローしながら話をしてくれて、とてもいい感じで学校側とお話ができました、と報告をくれました。

 うれしかったです。

 というのも、この方と旦那さまの関係が改善すれば、この方の状況も、お子さんの状況もきっと良くなる、と思っていた方だったので・・・。

 思っていた以上に旦那さまが動いてくれて、この方も旦那さまのいいところを再発見したようでした。

 次には、そろそろ私がお会いしたい、と旦那さまに伝えるのは、どうかなあと欲張ってみたりして…。

 いやいや、焦りは禁物ですね。

 またいい報告が聴きたいですが、そのために何をしたらいいのか、熟慮しなくては、と思えました。

2009年3月11日水曜日

書評「はじめに読むアスペルガー症候群の本」 榊原洋一著



書評「はじめに読むアスペルガー症候群の本」 榊原洋一著 ナツメ社 1200円(税別)

イラスト満載で、アスペルガー症候群のことが少しでも分かりたい!という人にはぴったりです。ニキ・リンコさんや藤家寛子さんの著作をよんでかなりアスペ ルガー症候群にたいして、とっつきやすい印象をもっていた私ですが、いつになっても「三つ組の障害」が覚えられずに苦慮していたので、イラストならいいか な?と思い、購入した本でした。

イラストがかわいらしくて、読んでいても、わかりにくいという嫌な感じがないところがこの本の魅力です。

いえ、確かに発達障害というものはわかりにくい、という実感は残っているのですが、診断の部分で図があって、その図が私の普段思っていることを的確に表していて、私の描く図と同じだったので、安心したなあという感じでした。

親御さんが持っていて、学校と一緒に読みあったりすればとてもいいのではないでしょうか?

アスペルガー症候群とひとくちで言っても、この本にあるような対応ではうまくいかない子供もいます。それはそうなんですが、将来に関することも書かれているので、アスペルガー症候群とかかわりのある人たちにとっては必携ではないでしょうか。

2009年3月9日月曜日

風邪と運動

今年に入って初めて、風邪をひきました。

でも、今回は回復が早かったです。昨年からの犬の散歩を週に大体4日ほど続けていたせいでしょうか。やはり歩くと、いいです。

調子に乗って今日は、我が家から銀行まで往復40分、歩きました。さっぱりです。

そんなこんなで、風邪とさようならできました。

意外と、運動好きな私でした。

2009年3月8日日曜日

書評「ツレと私の「たいへんだ!」育児」 細川貂々著


書評「ツレと私の「たいへんだ!」育児」 細川貂々著 文藝春秋 952円(税別)

息子の育児を思い出して、その共通点と、私の息子の育ち方に対する疑問がかなり氷解した本でした。

特に「手と手を合わせて」「夜泣きのおかげ!?」「ボク、きたえてます②」が、なるほど!でした。

我 が家の息子も、ちょうどちーとくん(細川さんの息子さん)と同じころ(0歳4カ月頃)に、手と手を合わせていました。我が家では、保育園の何かだろうと思 いこんでいたのですが、保育園に行っていないちーとくんも同じことをしているのなら、それは、やはり手の器用さを養成しているのかもしれません。

我が家で息子が夜泣き後に、やれることが増えているかどうか私にはよくわかりませんでした。というのも、息子はあまり夜泣きをしなかったので・・・。でも夜泣きの後に成長しているのだとしたら、夜泣きをしても、「必要なのだな」と納得できます。

筋トレみたいなことはあまり息子はしませんでした。ちょうど立てる→歩けるの時間差がほとんどなかったので、筋トレはその前に転がることで何とかしていたのかもしれません。

やはり子供は一人ひとり違いますが、共通点もあるので、他の人の育児を知るのは安心感があります。そういう点でこの本はお勧めです。

2009年3月5日木曜日

依存症のカジュアル化

昨日はOと言う地区で講演をしました。

なぜかひさしぶりに緊張してしまいました。おそらく、初めての講演場所で、初めての人たちばかりでしかも、地域の名士さんたちの前での講演だったからと思います。。

もっといえば、私の父母くらいの年齢の人たちに偉そうに講演するのに、気が引けてしまったのです。

でも結果的には喜んでもらえて、ほっとしました。

そこは保健師さんも初めての人で、かなり緊張・・・。でも、意外なつながりがあって、かなり近い気持ちになれて、帰る頃にはほっとできました。

講演タイトルは、「すべて依存症から始まる」。われながら、大胆にすべての精神疾患を依存症(アルコールも含む)に結びつけたものだ、と感嘆してしまいました。

日本の依存症罹患人口は、少なく見積もられすぎていると私は思うのです。それだけに、自分のことを依存症である、と自覚できる人は貴重です。

昨日、講演していて思ったのだが、今は「私はうつ病です」と言うことはかなりカジュアルに語れるようになったけれども、ただ、「私は(アルコールを含む)依存症です」というのは、一世一代の秘密をいうくらいの勇気がいるのです。

これをカジュアルにできれば、と私は思っています。

その最初のひとつが、この講演だろうと思えたのでした。

2009年3月3日火曜日

半身浴と読書

 読書三昧、ではなかったのですが、最近このブログで書くことと言えば、書評でした。

 そのようなことに昨日気付いて、早速今日書いています。

 最近、とはいえ、読書は多いです。半身浴が多いので、その時に読書です。でも、お風呂だと本がふやけるので、困るなあと思っていました。

 今は、面倒ですが、コピーをとっています。その方が惜しげなく読めるようなので・・・。

 ただ、欠点はカラーは難しいことでしょう。文献は工夫されていてカラーのグラフなどが多いので、この点をどうするかは課題です。

2009年3月2日月曜日

書評「他の誰かになりたかった」(藤家寛子著 花風社) 


書評「他の誰かになりたかった」(藤家寛子著 花風社) 1600円(税別)

アスペルガー症候群と診断された本人の自伝です。少し読みにくかったです。

というのも、「~だ」「~である」調や「~です」「~ます」調ではなくて、口語調で書かれているので、目の前にその人がいるかのようなリアルさはあるのですが、それだけに全般的に距離感が取りにくい本でした。冷静になれない、という私の問題だと思いますが。

ただ、著者が書いているように家族の中で祖父とのつながりがあったからこそ、人とのつながりを求めていけたという部分には、「なるほど」でした。

家族が事前に決まっていることを言うと思いこんでいたなど、私たちには思いつかないこと思っていると受け取られがちでしょうが、おそらくどの人にも意識化 できないだけでそのようなことはあるのではないでしょうか。この本を読んでこの部分が、私は自分との共通点だったので、うれしかったです。

自閉症や、自閉性障害、発達障害と言うのは自分とは程遠いと思う人も多いのでしょうけれども、この障害は、どこからが障害、とはっきり言えない状況なのです。それゆえにスペクトラム障害という名前になっています。

それが、自分の経験から実感できる貴重な本だと思いました。