2008年8月31日日曜日

認知症


旬読!ジャーナル四天王 | 医療ニュース | CareNet.com

 認知症の人たちが、先進国と開発途上国において発生率に差がないかもしれない、というのが今頃提言されているとは、驚いてしまいました。

 感染症なら、地域差があることは容易に私は想像できますが、認知症で地域差があるというのが、私の知識及び概念の不足のためでしょうか、あまり思い当たらないのです。

 人類は、ホモサピエンスという生物学的分類に含まれるのですから、人種差があってもそれほど大きくはないのではないか、というのが私の意見です。

 特に、認知症のような神経変性疾患の場合、環境要因が影響しているにしても、それはもしかしたらそれほど大きい影響ではないのではないか・・・。そんなことを私は考えています。

 ここまで書いていて、ふと、村瀬孝生著「おばあちゃんが、ぼけた」(理論社)を思い出しました。もしかしたら、この記事のような調査をした人たちは、この本のような環境なら、認知症が悪化しないかもしれない、と言いたかったのかもしれない・・・。

 だとしたら、私があまりにも、意地悪な目でこの記事を読んでいたのでしょう・・・。なんか恥ずかしい・・・。

 研究している人たちは、認知症がどこの地域で多いかという発生要因を知りたい(←もちろん知りたいのはあるでしょうが)のではなくて、どう暮らしていたら、認知症の人たちがその病名をつけられてもつかなくても暮らしていっているのかを知りたかったのかもしれないわけです。

 世界のどこの地域であっても、この村瀬孝生さんの本の中でのような暮らしがあれば、いいと思います。私も安心して、「ボケる」ことができるというものですから。

 

2008年8月30日土曜日

とまらない

 私は実は子供の精神科が専門になる以前は、依存症の人たちを専門に診療していました。といっても、精神科医になってから2~5年目までくらいでしたが。本気でやろうと考えていて、厚生労働省の依存症研修にも行ったのです。今も、その専門性は続いていると私は思っているのですが、私と同じように思ってくれている人はあまりいません。

 それは余談なので、さておき・・・。

 依存症の病態とは、私にとっては「とまらない」だと思っているのです。お酒がとまらない、買い物がとまらない、ドラッグがとまらない、などなどです。

 もっと格好よく言うと、耐性形成がなされて依存物質あるいは依存行動の渇望化ということなんでしょうが。

 依存症の人たちは、もちろん個人で様々ですが、まじめで頑張り屋さんが多いのです。だからこそ、依存症になってからも、まじめに頑張ってしまい、疲労から何かに依存せざるを得ないのかもしれません。

 実はそれは私のことなのです。まあ、まじめで頑張り屋さんではないので、依存症にはなれなかったのですが。

 私は、何かを始めて熱中すると、「とまらない」人です。さっきもそうでした。私はGoogle Documentで文章を管理していますが、それの整理整頓をしているうちに本来はこの時間はこのブログを書くための時間だったというのに、もう夢中でした。そういう、ソフトの中がすっきりしている、見た時の画面がすっきりしている、というのが大好きなのです。大好き、を通り越して、快感というか・・・。

 そんな私だからよけいに、依存症の人たちが好きで、一緒にいたいと思うのだと思います。もしかしたら、単に自分が好きなだけなのかもしれませんが・・・。

 

 

2008年8月29日金曜日

アスペルガー症候群の少年たち

 今、「発達障害とメディア」(野沢和弘著、現代人文社)を読んでいます。まだ途中なんですが、私の思っていた以上に発達障害の人たちが、「犯罪につながる」と思われているのだろうか、と暗澹たる気持ちになりました。

 私の外来に来てくれている、アスペルガー症候群(と私が診断した)の少年のお話を思い出したから、余計に暗い気持ちになったろうと思うのですが・・・。彼らは、本当に繊細で、かわいい(といったら失礼かな?私のようなおばさんが言うから大丈夫と思うのですが)ところがたくさんある人たちです。

 Aくん。中学生です。お父さんとお母さんがホワイトカラーの仕事をされていて、お二人から「何とか診断名を伝えてほしい。自分自身の問題と向き合って、今後に生かしてほしい」と、かねてから依頼がありました。
 私としては、いずれそんな日が来るだろうけれども、今からそんな・・・と、はっきりと言葉にできないのですが、解せない気持ちが募っていました。
 Aくんにいよいよ診断名を伝えないと、というその日の外来でした。
私「Aくん、なんでここの外来にきてるか、その理由、知りたい?知りたかったら、話すけど」
 私も及び腰ですね・・・。
Aくん「いや、いい。知りたくない。聞きたくない」
私「そっか」
Aくんは下を向いてしまいました。彼の話をまとめると(話が飛んでいくことが多いので)、自分はここにきて薬を飲んでいるし、だから何か具合が悪いんだろうとわかっている。でも今の状況で友達もいるし、学校はたのしい。今のままの状況が続くのなら、自分がどうしてここへ来ているのかどうか、知らなくてもいい。知りたくなんてない、そういうことでした。

 繊細って、こういうことをいうのかしら・・・、と私はなんだかせつなくなるような、Aくんが可愛いなあと思えたというか・・・。

 確かに彼のいう通りです。知らなくても、毎日が楽しいし、知ったからといってアスペルガー症候群がよくなるわけではない。薬を飲んでいることで、結構うまくやれているし、いいんじゃないかと私も思いました。

 お父さんとお母さんには、いずれAくんが知りたくなった時に伝えたいし、それまでAくんが私に信頼というか、安心を覚えられるくらいになっておこうと私は思う、そう伝えました。お二方とも、よくわかってくれました。

 Bくん。アスペルガーと診断されて、2年目です。中学生です。感情表現が下手ですが、気のいい彼は学校で、その気の良さにつけこまれてしまいがちで、不登校をしています。

 ある日の外来で、なんだかやけに今日は、気持盛り上がってるなあと思いました。
私「なんかさあ、今日、気持盛り上がってない?」
Bくん「えー?そんなことないっすよ」
私「なんかいいことあったの?好きな子とどっか一緒に行けたとか」
Bくん「いやー、そんなこと、ないないないないない!!!」
真っ赤になって、照れるBくん。かわいいなあ。

 後でお母さんに聞いたところ、その日はBくんの大好きなお兄さんが久しぶりに帰省する日だったそうです。彼にとっては、すごくうれしいことなのですが、どうもお兄さんが返ってくるのを喜ぶのは彼の美意識にとっては、どうかと彼は思ったらしく、話してくれなかったようです。

 アスペルガー症候群と診断された彼らと一緒の診察室にいて、一度も私は危険だと思ったこともないですし、危険な目にあわされたこともないです。むしろ、こんなにかわいいところを見せてもらっていいのかしら・・・というくらい、彼らは素敵な人たちです。

 どうかこのまま彼らが、いやな気持になったり、自暴自棄になったりせずに暮らしていけますように。わたしはいつもそう思っているのですが・・・。

 皆さんにもそう思ってほしいのですが、どうしたらいいかなと思い、こうしてブログにしたためました。

 ちなみに、Aくん、Bくんとも、彼らのことをどこかで誰かにお話しするということについては、了解もらっています。ただ、個人が特定されないように、配慮しています。

2008年8月28日木曜日

農業

 私は農家の人を尊敬しています。というか、もしも自分にもっと体力があったら、農業をしたい。今でもそう思っています。

 私はだから、外来に来てくれている人達にも農業、とまでいかなくても、庭仕事や畑仕事を勧めることがあります。理屈抜きに楽しいですし、人間のように自分の育てている緑は裏がないからです。

 まあ、人は裏があるから面白く、楽しいのですが。

 だから、私は今住んでいる東北地方が大好きです。ここは、農業が主な産業で、水田が果てしなく広がる光景を、高台から見ていると、幸せな気分になれますから。

 そういう意味で私は都会という存在が苦手です。嫌いと言っていいでしょう。もっというと、都会は人の都合が最優先なので、嫌いなのだと思います。

 養老孟司さんが以前にJALの機内誌SKYWORDで書いていたのですが、人間の都合だけが一番である、最優先される事項だいうことは、勘違いである、ということです。
 
 私も似たようなことを感じています。この世の中には、人間だけが言葉を駆使しているから偉いみたいなことを勘違いしているのではないかと感じています。

 違うのではないかなあ。そんなことで人間は偉いわけではないです。
 人間は、えらいとかえらくないとかではなくて、自然と調和しているから楽しく幸せなのではないかと私は思っています。

2008年8月27日水曜日

自分の都合とコントロール

 昨夜は、息子にとっての遠くに住んでいるおばあちゃんがきました(同居しているおばあちゃんもいますが)。そのせいか、気持ちが盛り上がって大騒ぎ!!の息子でした。

 まず、寝ない。私のわき腹を蹴飛ばす(全治1日。湿布にて軽快ですが)。おばあちゃんの部屋に乱入して一緒に寝たがる(←非常に迷惑です)。奇声を発する、走り回る、は当たり前。彼の父親にしかられる、おもちゃをすべて箱から出す。虫除けフレグランスを口に入れようとする(すぐにとめました)。おばあちゃんの薬を飲みたがる(もちろん却下)。悪行の限りを尽くして、いつもより2時間近く遅くに、倒れるようにして、就寝です。

 かわいい顔して、天使から悪魔に豹変です。コントロールが利かないって、こういうことでしょう・・・。

 ふと、これは、と思いました。

 昨日書いたことですが、「きれい」がコントロールを失うと、「こわい」になるという話です。つまり、かわいい天子のような息子も、コントロールが失われると、悪魔に豹変する・・・。

 もっというと、自分に都合がいい=コントロールが利いているうちは、「きれい」とか「かわいい」などのように肯定的な評価になるのですが、自分にとって都合が悪い=コントロールを失うと、「こわい」とか「悪魔」というようになるのです。それに気がついたのでした。

 まあ、息子が悪魔であったとしてもそれは今だけだよ・・・と思ったら、なんとなく、楽になりましたが。

 さらに、自分のことを考えました。もしかして、自分に都合のいい=コントロールの利いた人が私にとって「いい患者さん」になってない・・・?と。都合よく話をやめてくれる人、都合よく薬が効いていく人・・・。

 そんな自分のダークな一面も見てしまいました。

 でも、自分に甘い私は、「ま、人間だからそういう面もあるか」と勝手に結論を出してしまいました。

2008年8月26日火曜日

「きれい」と「こわい」

 8月24日の講演会のこと、まだまだ考えていました。よっぽど影響の大きい体験だったんだなあと思えて、自分自身に「そうか、そうか。ひたりなさい」といってしまっているくらいです。

 ちょっとメモしたのですが、「こわい」と「きれい」というのは、実は隣合わせだったんだなあということです。姫神の演奏を聴いていて、演奏中にスライドショーで映像が流れたのです。その映像が、海から昇る月をとらえたものだったんですね。その映像には、岸が映っていないのです。それを観た時に、私は「こわい・・・」と思ったのでした。

 きれいなんだけど、こわい。

 だって、岸が映っていないということは、海に入って撮ったかもしれないわけで。そうなると、このあと、撮っている人はどうなるの?波にさらわれて、死んじゃうかも・・・。それが私だったら・・・。こわい・・・。
 というわけです。

 まあ、池澤夏樹の「夏の朝の成層圏」みたいなことも起って、助かるかもしれない、と思いましたが。

 この、「きれい」と「こわい」が隣合わせというのを感じたのは、実は最初は3歳くらいの頃だと思います。百科事典(当時あったんです、これが)の、「南極」という項目だったか、「氷」という項目だったかに、南極の氷山が映っていたんです。島のような、平らな氷山が南極の海にぽん、と浮かんでいたんです。バックは全て海か空。しかも、群青色・・・。これが初体験でした。

 たしかに、坂口安吾著「桜の森の満開の下」にも、きれいに咲く桜をみると、気が変になるので(←原文のままです)、花というものは恐ろしいものだと思っている山賊が登場します。彼の気持も、何となくわからないでもないです。

 「きれい」が「こわい」になるのは、もしかしたら、自分がコントロールできない、と思った時に思えることなのかもしれません。

 

2008年8月25日月曜日

講演会にいく

 昨日24日は横手市で「元気になれる心の法則~いのちの大切さを考える」という、講演会に行ってきました。

 演者は、山中康裕先生(京大名誉教授、京都ヘルメス研究所所長)で、講演の後に姫神の演奏があったのです。

 私は実は午前中から開催された、心理士の先生たちによる症例検討会にも参加させていただいた。そこから引き続き講演会へ。

 本当に楽しかったです。日頃のがんばりのご褒美、といった気持でした。

 症例検討会で、山中先生と私とで同じような思考の方法だったのが、意外というか、自分だけがおかしな方法論を持っているのではないのだと安堵しました。具体例は、書けませんが、数多くそういう点があったのでした。ちょっとうれしい。

 症例検討会をはさんで、昼食。その前に、一緒に仕事をしている心理士のM先生が私を山中康裕先生に紹介してくれました。
 山中先生の「ハリーと千尋世代の子供たち」を読みました、千尋の話が面白い比喩いっぱいで、と話すと、いたく波長があったような雰囲気となれて、これもうれしかったです。

 講演会は、そのような先生のお話であった安ど感と、昼食後いつも息子と昼寝をしている時間であるせいもあって、一瞬意識を失ってしまいました・・・。

 でも、映画「千と千尋の神隠し」の映像もあり、川の話がたくさんされて、これまでの河と自分のかかわりを思い出すことができました。中でも、以前勤めていた病院の上の先生のこと が思い出されました。
 病院裏の精神科外来に面した川の護岸工事をひどくいやがって、結局先生の意図する方向になったことなど・・・。

 そこから、姫神の演奏を聴いて、美しいけれども、怖い感じにまできれいで、頭の中がかき回されたけれども、終わってみたら、いつもと違うけれどもいつもの延長の日常に帰ってきたのでした。

 

2008年8月24日日曜日

古くなった!

 リスパダールという向精神薬をご存知ですか?平成8年に日本発売となり、非定形抗精神病薬の先陣を切ったというお薬です。

 psychoは、このお薬が発売になった年に精神科医になりました。それ以前は別な科にいたのですが。

 先日、このお薬の特許が切れた、ということで、ジェネリックが発売になったのです。それを見た時「私も古くなったものだ・・・」と、ある種の感慨にふけりました。薬だけじゃなく、人間も古くなるのです。時間が流れている以上、仕方がありません。ちょっと、さみしい時もありますが。

 そんな中、研修医の先生(2年目)とお話しする機会がありました。将来、どこの科を専攻するか、悩んでおられて、精神科もその中に入っていました。
 
 私にもそんな時期がありました。が、私は本当にひねくれ者だったので、まわりのアドバイスというものに耳を傾けることは少なかったような気がします。周囲の人には悪いことしたかもと、今は思いますが・・・。

 私はそんな研修医の先生に、まあ私で役に立つことがあれば、ということで、私の経験ではどこの病院で研修するとよかったとか、そのような話をさせてもらいました。

 大した話でもないと思ったのですが、とても喜んでもらえました。意外でしたが、研修医の先生は情報があったとしても、自分自身にその場所があっているのかが分からず、苦しいようでした。私は、「先生と交流があって思うのは、どちらかというと、慢性疾患の人との付き合いが向いていると思う」といって、その上で、私の知り得ている先輩諸先生の話をしたのが、よかった、と言っていただけました。

 これも、私とその研修医の先生の、なんというか、相性というか、波長があったからよかったのだろうと思います。もしも全然相性も波長も合わない人から「あなたはこういう人だと思う」といわれても、うっとうしいかもしれませんし。

 まあ、古くなると、新しい人たちと話も出来て楽しみが増えます。なんだか、おばあちゃん的ですが。
 

2008年8月23日土曜日

オストメイト

人工肛門の女性らが情報本

生活の知恵、トラブル対処法


大腸がんや膀胱(ぼうこう)がんの手術後、人工肛門(こうもん)や人工膀胱を付けた女性患者たちが、実体験から編み出した生活の知恵やトラブル対処法などを収めた本「元気の花束」(270ページ)=写真=が注目を集めている。女性患者の視点で書かれた本は初めてで、過ごしやすい服装や入浴時のコツなど、きめ細かな情報にふれることができる。

直腸がんや膀胱がんの手術では、腸管や膀胱を切除して腹部に人工の排泄(はいせつ)口をつけることが避けられない場合がある。すると腹部に便や尿をためる袋(パウチ)を付けることになり、精神的に落ち込む患者が少なくない。特に若い女性は、交際や結婚にも消極的になりがちだ。

本を作ったのは、人工肛門や人工膀胱をつけた若い女性の会「ブーケ」。1999年に誕生し、20歳代~40歳代を中心に約250人が加入している。本は、財団法人・正力厚生会の助成金を元に1000部作製し、会員や医療関係者に700部を配布。残る300部を希望者に1000円(送料込み)で配布する。

最初の50ページは、漫画家の横谷順子さんが女性漫画雑誌に書いた「ママはオストメイト」を転載。オストメイトは、人工肛門や人工膀胱を付けた人たちを指し、国内に約20万人いるとみられる。漫画では、人工肛門を付けた女性が、家族の支えで周囲にオストメイトであることを打ち明け、理解を得る過程が描かれる。

オストメイトにとって最も気になるのが、においだ。パウチからにおいが漏れることはほとんどないが「におっているのでは」と気にするオストメイトは多い。

本では、ガスを発生させにくい食事や、パウチを覆ったり、中に入れたりして使う様々な消臭・脱臭剤を紹介している。

人目が気になる温泉や公衆浴場での入浴では、空のパウチを小さく折りたたんでゴムで留め、手などで隠して入る方法や、オストメイトの入浴のために開発された肌色の防水シート(マイケア湯ったりシート)などを紹介している。

また、自宅でパウチを付けずに湯船につかる時は「プリンの容器でストーマを押さえて入ると安心」など体験談も豊富に収録。汗をかく夏場は、パウチと肌が直接あたる部分が荒れやすいため、パウチを覆う布製のカバーの作り方なども詳しく紹介している。

同会の工藤裕美子さんは「つらい気持ちになった時、この本を読んで元気になってもらえるとうれしい」と話している。問い合わせは電子メールで、bouquet@mb1.kisweb.ne.jpへ。
オストメイトのための主な患者会

▼ブーケ(若い女性オストメイト の会)
若い年代の女性オストメイトの会員が交流。ホームページは(http://www.kisweb.ne.jp/personal/bouquet

▼日本オストミー協会
オストメイトの社会復帰と生活の質の向上を目指し活動。ホームページは(http://www.joa-net.org/index.htm)。問い合わせは同協会本部((電)03・5670・7681)

▼日本コンチネンス協会
失禁で悩む障害者や高齢者に役立つ情報を提供。ホームページは(http://www.jcas.or.jp/)。相談電話を開設((電)03・3301・0725)

(記事提供:読売新聞)


(以下、psycho)

 もしも私が、大腸がんになったら、ここへ必ず連絡を取ろう!と思い、この記事を「保存」にしました。

 私は若い女性ではないですが(若くはない、という意味です)、やはりオストメイトとなれば、初めての体験ですので、それはそれでかなり精神的に負担だろうと、そんなふうに予想しています。そのような戸惑いの中で、なにか明かりのような指標があればとてもほっとするでしょうから。

 3000部なんて言わずに、もっとたくさん増刷していただきたいですし、今後も版を重ねてほしいのですが・・・。

 ただ、この本を「ほしい」と言える人たちは、サポートを得る力があって、楽になれるだろうなと思うのですが、「ほしい」といえない人たちは、どうなんだろうと思います。

 外来に、大腸がんの人が来ています。男性ですが、性機能はなくなり、腎臓も摘出しています。彼は「自分自身の運命なので」と言って、全然苦しい様子はみせてくれてません。

 私との間でだけ、そうであればいいと思います。
 私以外の人たちとは、助けを求めたり、「つらいんだ」と弱音を吐ける関係があればそれでいいのですが、どうも、あまりそういうタイプの人でもないので、大丈夫なのかなあと心配です。

 自分の苦しさを実感するのが怖いんだろうなと思って、彼の今のような防衛が働いているのであればその間はあまり苦しくないのでしょうから、それはそれでいいのかもしれません。

 私だけかもしれませんが、いずれ苦しさを感じなくてはならないのであれば、早いうちに、など思うのです。

 ただ、彼は予約を取って定期的に来てくれているので、今後もサポートできるときに、彼がサポートをほしいな、と思った時にそうできたら、と思っています。

2008年8月22日金曜日

大野病院事件②


 一昨日に判決が下りた福島県立大野病院事件を振り返ると、感情的になってしまいます。もしも自分だったら、と思うと、とても記事は読めない・・・。

 ただ、もしも自分だったら、と思うと、このような事態にならないようによく知りたいという思いも一方にあります。

 感情的に、どうなるかというと、自分だったら、①臨床をできないこと、②患者さんと対立関係になってしまったこと、この二点が辛すぎてとても、医者として生きる気力がなくなる、そう断言できます。

 ①は、日常生活ではほとんどありえません。しかし、子宮外妊娠で手術後10日間入院していて、これがつらかったです。こんなふうに休んだことはこれまでなかったので、余計にこたえたのです。外来に来ていたあの人はどうしているだろうと思って、日々が過ぎる・・・。口にすることはないですが、外来はどうなるのだろうと思い続ける・・・。

 ②は、しばしばあります。最近もありましたし、これから先もあるでしょう。しかし考えるだけで、つらいものです。相手の患者さんもつらいでしょうし。

 私は、なにもすべての患者さんに私の外来に来てほしいということを言っているのではないのです。どこへ行こうと、その人の自由だし、その自由を制限する気持ちは私にはないです。

 ただ、良くなってほしいのです。今辛い症状や、苦しいことがよくなってほしいのです。その結果、私の外来を選ばないことはあって当然だと思います。

 その気持ちがあるのに(私にも、患者さんたちにも)、最大限優先すべきでないことで患者さんと対立するという事態が、この事件の根底にあるような気がします。それが、私にはつらかったと、こうして書いていて気が付いいました。

2008年8月21日木曜日

大野病院事件

m3.com

 やはり、この事件に今日はふれたほうが、と思います。

 4年前の福島県立大野病院産婦人科での医療事故の判決が昨日、下されました。詳細は、上記のサイトに譲りますが、psychoとしては、なんとも、辛い事件だったと思えます。

 4年かかったといいますが、まだ終わっていないとも思えます。

 被告の医師にも原告の遺族の方にも、何が残ったのでしょう。私にはよくわからないのです。この事件がまるで医療崩壊の発端になったような、そんな描かれ方もあるようですが、私はそうではないと思っています。

 医療の側も今まで、個人の医師に対してその志だけで頑張ってもらうような状況だったと思います。そうでなければ、psychoが経験したように、地方の病院で36時間ぶっつづけで勤務するような事態はないわけです。だから、この事件は個人の医師に対して、深くしこりを残したのだろうと思います。システムとして、医師も勤務する状況であれば、もうすこし、被告の医師は感情面で楽だったのではないか、と思います。

 患者さんの側は、ただ、医療で何が起こっているのかそれを知りたかったけれども、少なくともわかるような説明を得られなかったので、裁判という事態に至ったのだろうと思います。
 そういう意味では、よく言われているような第三者機関が介在して今回のような事態を一緒に解決していく方向は、ベターなのかと思います。

 医者も人間であるから、ミスはします。他の医者のことはわかりませんが、psychoもミスをします。そして、これまでもしました。
 これまでのミスは、ミスが起こったことは直接患者さん本人に伝えます。あまりに当たり前のことを言って恥ずかしいのですが、当然自分のミスですから謝ります。それですべてが解決したわけではありませんが、お互いに感情的な負担は減ったと思います。

 大野病院事件で、事故の直後に何が起こったのか、医者、患者さん双方がその事態をどのように受け止めたのか、その詳細は知ることは難しいにしても、そこが大事なのかなと思います。

 大野病院事件で、事故直後に謝罪がなかった、と言いたいわけではありません。その時、何が起こったのか、よりも、なにを双方が感じたのかが、大事なのではないかと言いたいのです。

 私は、この事件では、日本の医療の何かが変わったと思います。いい変化にしていけるかどうかは、この後の私たち、医者であり、患者さんである私たちの行動にかかっていると思います。第三者機関を導入したり、ミスをしないようにノウハウを積み重ねたり、とあると思います。

 ただ、過去のことを振り返るのは想像以上につらい作業です。そのことは、この事件にかかわった方たちが本当によくやったなあと思います。
 

2008年8月20日水曜日

奮闘

 
 今日、ビデオデッキが壊れました。やれやれ。息子が子供番組を観過ぎているせいでしょう。

 それで、いよいよ、DVDレコーダーを検討し始めましたが、いったい何を買えばいいのやら・・・。

 最初はHDDで録画、と思ったのですが、いずれDVDレコーダーを買うつもりだったので、場所と経済面から考えて、HDDはやめました。ダビング10などの機能も全然わからず、かつ、DVDレコーダーのサイズも聞いて勘案しなくてはならず、どうしようと悩みましたが、もう、ブルーレイDVDレコーダーにする!と決心しました。

 ここまでは、ソ○ーのお客様窓口に電話して2時間もかけて決めました。すでにかなり疲れました。

 それはいいのですが、ソ○ーのはかなりお高い!!現在我が家では興味薄ですが、オリンピックの最中なので、余計なのでしょう。

 もうこれ以上、いろいろと考えるのは私には無理です・・・。夫に安く販売しているサイトを探してもらいました。

 あんまりいろいろ選択肢があると、疲れます・・・。
 

2008年8月19日火曜日

ハリーと千尋、観ましたか?

 「ハリーと千尋世代の子供たち」 (山中康裕著 朝日出版社 1300円(税別))を読みました。

 ハ リー・ポッターシリーズと宮崎駿監督の映画「千と千尋の神隠し」の二つの作品を「前思春期の少年少女」という切り口で解説している、それが面白い本でし た。私はこの二つのシリーズとも観てもいないですし、読んでもいないのですが、この本から興味をひかれ始めています。近いうちに読みたいですね・・・。

 
 さて、この本では、前思春期の子供たちは、性というもののあらしにさらされる 直前であるがゆえに、純粋であることや、性を知る前であるからこそ同性とのやり取りにより人間関係(性を介さない)を気付くことの重要性が語られていま す。

 そして、この年代の子供たちが、毎日をまるで死んだ魚のごとくつまらないといいながら過ごしている、この日本という国に住む私たちがやるべきことにつ いて、はっきりと書いています。

 それは、人間どうしとしてつながりを回復して生きること、と書いています。
といっても、そんな大げさなものではありません。でも大事だな、と思えます。「出会ったら、挨拶するこ と」なのです。その簡単さにも著者の良さのような気がして(ああ、うまく書けなくてすみません)、感銘を受けました。

2008年8月18日月曜日

経皮剤の効用

2008/08/18(月)

No.J000468

閉経後女性へのホルモン治療は経皮剤で
KEYWORDホルモン治療|胆嚢疾患|経口剤|経皮剤|消化器

閉経後女性へのホルモン治療は胆嚢疾患(胆石症、胆嚢炎、胆嚢切除術)のリスクを増大することが、無作為化試験や観察研究によって明らかになっている。オックスフォード大学疫学部門のBette Liu氏らは、ホルモン剤には経皮剤と経口剤のタイプがあり、肝臓で初回通過代謝する経口剤よりも通過しない経皮剤のほうが、疾患リスクを減らすことができるのではないかと、両者の比較を行った。BMJ誌2008年7月10日号より。

イギリス・スコットランド女性100万人を対象に

Million Women Studyと名付けられたこの前向きコホート研究は、イングランドとスコットランドの国民健康保険(NHS)に登録された女性を対象とする。

NHSブレストスクリーニングセンターを利用した100万1,391例の閉経後女性(平均年齢56歳)が集められ、1996年から2001年の間に、胆嚢疾患によるNHS入院データが生じたかどうか追跡調査された

主要評価項目は、ホルモン治療が行われ胆嚢疾患・切除術のために入院に至った相対リスクと標準入院率。

胆嚢疾患リスクは経皮剤1.17 vs. 経口剤1.74

胆嚢疾患による入院が確認されたのは1万9,889例。そのうち1万7,190(86%)が胆嚢切除術を受けていた。

ホルモン治療未受療者と比べて治療中の者のほうが、胆嚢疾患になる可能性が高かったが(相対リスク1.64、95%信頼区間:1.58~1.69)、その相対リスクは経口剤受療者が1.74(1.68~1.80)、経皮剤受療者が1.17(1.10~1.24)で、経皮剤受療者のほうが低かった(P<0.001)。

経口剤受療者のうち、ウマエストロゲン(1.79、1.72~1.87)のほうがエストラジオール(1.62、1.54~1.70)よりも若干リスクが高かった(P<0.001)。またそれぞれ、低用量よりも高用量を用いた場合のほうがリスクは増大した。ウマエストロゲンで、>0.625mg:1.91(1.78~2.04)vs. ≦0.625mg:1.76(1.68~1.84)、P=0.02。エストラジオールで、>1mg:1.68(1.59~1.77)vs. ≦1mg:1.44(1.31~1.59)、P=0.003。

治療を中止すると、時間とともにリスクは減少する(P=0.004)。

アウトカムとして胆嚢摘出術に至った点に差異はなかった。

5年間での標準入院率(/100人)は、未治療者で1.1、経皮剤受療者で1.3、経口剤受療者は2.0。

Liu氏は、「胆嚢疾患は閉経後女性でよく見られる疾患であり、ホルモン治療を受けるとリスクは増大する。経口剤ではなく経皮剤で治療を行うことで、140人に1人が胆嚢摘出術を回避することができるだろう」と結論している。

文献
Liu B et al. Gallbladder disease and use of transdermal versus oral hormone replacement therapy in postmenopausal women: prospective cohort study. BMJ. 2008 Jul 10;337:a386. doi: 10.1136/bmj.a386.
(以下、psycho)

 確かに、ちょいと医者らしいことをいわせていただければ、経皮剤の効果というのは内服よりもいいだろうと、わかります。この記事にあるとおり、肝臓を通過してから全身へ有効成分が配分されるよりも、有効成分であれば、という限定つきですが、ずっと濃度の高い成分が全身に循環するのですから。

 ありがたいといえばありがたいしくみです。

 私psycho、この経皮剤の効果を実感しているものの一人です。というのも、自分ではなくて、息子です(今日誕生日なのに、ネタにされるとは。ごめん、息子!)。

 息子は、まだ小さいので風邪をひきやすいです。彼はおなかが丈夫なのですが、どうも喉が弱いようで、風邪を引けば決まって咳になります。

 そんなとき、小児科の同僚から処方された咳止めテープ(商品名;ホクナリンテープ)を背中か、胸か、上腕に貼ると、30分もすればあら不思議。あれほどつらそうだった咳が収まってしまうのです。

 やれありがたい、と私も息子もぐっすりと寝ます。子どもの咳は、気管支の拡張や収縮の関係で朝方に多いので、このテープはありがたい限りなのです。

 最初に処方された時には、「なに、これ。こんなんで効くの?」と思って、バカにしていたpsychoですが、母親としてはただ貼ればいいだけですから、手間なしです。
 咳が出た時は今までは、速攻で階下へいって冷蔵庫から咳止めの薬を水に溶かして、薬飲みスポイトで飲ませていたので、息子がむせてしまったりして、「肺炎にならないのか!?」と心配していたのですが、このテープだとその心配ももう無いです。

 ただ、すごく心配になります。あまり手軽なものが手に入ると、psychoはいつもそうなので、取り越し苦労であってほしいのですが・・・。

 有効成分にもしも、非有効成分もしくは、有害成分がくっついてしまうということになったら、どうするんでしょう?

 いや、なんらかの事故で起こる可能性があると思うのですが、このことで致死性になったりしないのでしょうか?

 たしかに、実感したとおり、テープに代表される経皮剤は手軽でありがたいですし、いずれ、精神科の内服もそんなふうになればいいと思う面もあるのですが、実際、有害成分が経皮的に体内に吸収される可能性も、なくはないことを踏まえて、使いたいです。

2008年8月17日日曜日

たなかみるさんの本

昨日、取り上げたたなかみるさんの著書です。


 「境界性人格障害&躁うつ病 REMIX」 たなかみる著 星和書店 です。

マンガですが、体験をマンガにしたもので、かなり面白いです。

 これは実は第二弾で、第一弾もあるのです。そちらも読んでみたい!と思わせてくれる、なんと も面白い本です(面白いばかり連発してすみませんが)。

 中でも私が気に入ったのは、著者のお子さんとのかかわりです。男の子、女の子ひとりずつおられるようです。
  
 その女の子が著者の不調の影 響を受けていると著者が思い、スキンシップを図るようになって、娘さんが変わっていった、という部分です。
 うつでつらい著者に、娘さんが「お母さん、だっ こ」とせがみ(6歳のようです)、ことわると、「どうせ私なんて生まれてこなければよかった、っておもってるでしょ?」という返答。

 あ せった著者が、うつのときも一緒にべったり寝てしまうということになりました。本当に必死で育児しているなあと思って、自分が重なってしまいました。

 私も、息子に対して「虐待かもしれない」と思うような状況になることもあるので(たとえば自分が疲れていた時など)、「そうだ、そうだ」と、思いつつ、読んでました。

 マンガだけではなくて、著者の考えが文章で書かれているところもあり、わかりやすいです。精神科が身近なんだなあと思えて、ホッとできます。

2008年8月16日土曜日

精神科入院って、大変?

 私psychoの外来にも、さまざまな人が来てくれます。
 
 女性の方も多いです。一応、男子に間違われてもpsychoも女性なので、でしょうか。間違えられるのは、まあいいんです。慣れましたから(笑)。

 それはさておき、主婦の方もたくさん来てくれています。でも、うつで「休んでほしいんですが」と私が話しても、それはそれ、うつの方の特徴でまじめで、しっかりしているのですから、「そうはおっしゃっても、家には夫も、子どもも、義母もいますし・・・」ということで、なかなか自宅で休養、というわけにはいかないようです。

 ここでは、日本の家庭が主婦という役割の方のみで、支えられているという現状に対する怒りといいましょうか、憤慨はさておくこととします。

 現状を踏まえて考えるに、主婦という役割の方が、しっかり休養をとるには「入院(精神科へ)」が一番いいのではないか、と。

 だって、やはり三食がきちんと出てきて、罪悪感を感じることなく(←これが重要です)おいしくいただけるのです。そして、食後は治療の一環ですから(←これも重要です)ゆっくりお昼寝。
 自宅で、うつ病の方はこのような「治療」は難しいのですから。

 躁うつ病をテーマにご自身のことをマンガにされているたなかみるさんによれば、入院は休息入院=「ご褒美入院」だそうです(たなかみるさま、勝手に引用しました。すみません。現在トラックバックも、コメントもたなかさまのブログでは使用できないと、出てしまいましたので)。

 これこそ、言い得て妙です。すばらしい!と思いました。

 以後、使わせていただいて、入院を必要とする方の重要なきっかけとさせていただこうと決心しました(かさねがさね、たなかみるさま、勝手にすみません。たなかみるさまのブログはhttp://blog.goo.ne.jp/mirutana/です)。

2008年8月15日金曜日

摂食障害の拒食型の人たち

考えすぎ?「私はメタボかも」成人女性3割 熊本市の研究所アンケート調査

記事:毎日新聞社 提供:毎日新聞社 【2008年8月14日】

アンケート:考えすぎ?「私はメタボかも」成人女性3割 熊本市の研究所調査 /熊本

 熊本市内の成人女性の3割が「自分はメタボリックシンドロームか、その予備軍」と思っている--。肥後銀行系のシンクタンク、地域流通経済研究所(熊本市)が実施した「ヘルスチェックに関するアンケート調査」でそんな結果が出た。

 調査は、腹囲と血糖値などのデータを組み合わせて判断するメタボリックシンドロームの認識などについて、5月に郵送アンケート方式で実施。同市内に住む経済研究所の女性モニターが対象で、443人(回収率88・6%)から回答を得た。

 「自分がメタボリックシンドロームか、その予備軍と思うか」と尋ねた質問で「思う」と「かもしれない」の合計は31%だった。数字は年代とともに上がり、40代で30%を超え、最高は60代の42%だった。

 一方、既婚者330人のうち、夫が「該当者か予備軍」(「かもしれない」を含む)と思っている人は45%だった。特に40代では58%の妻がそう評価していた。他の年代は、20代29%▽30代43%▽50代46%▽60代34%。

 06年度の県民健康・栄養調査報告書によると、県内のメタボ該当者と予備軍の合計は男性46%、女性21%。調査では、夫に対する評価は実態に近い数字だが、自分に対する評価は実態より数字が高く、経済研究所は「自分のことを心配しすぎているようだ」としている。【笠井光俊】


(以下、psycho)

 この記事を読んで、ふと、摂食障害をもっている女性たちを思い出しました。彼女たちは、ほぼ全員「自分は太っている」と言います。たとえ、身長が160センチ台で、体重が20キロ台になろうとも。

 いわゆる「拒食症」の女性たちといえましょうか。摂食障害の拒食型とここで言っておきましょう。

 この記事の熊本市の女性たちのもののとらえ方(=認知)と、摂食障害の拒食型の人たちの認知に、共通点があると私には思えます。

 もっと言うと、日本全国の女性たちにそのような認知の仕方があるのではなかろうか。私にはそう思えるのです。

 これは私の日々暮らしているうえで感じたことなので、統計を取ると違うのかもしれません。とりあえず、提言というか、それにとどめますが・・・。

 摂食障害の拒食型の人たちの認知は、訂正がきかず、ほとんど妄想と私には思えます。そういう状況を「頑固」と言っていいのか(精神医学的に)わかりませんが、私自身との共通点があって、外来で、そういう方たちと会うと、自分との対決のようになってしまい、私が感情的につらくなります。

 おそらく、外来に来てくれた摂食障害の拒食型の人たちも、私に対してそう感じるのではないでしょうか。その根拠としては、私の外来に摂食障害の拒食型の人たちが受診してくれても、やがて、外来に来なくなってしまうのです。

 私自身にも、「自分は太っている」という考えがあり、「なんとか、やせなきゃ」という思いがあります。だからかもしれません。

 もっというと、私は自分自身が摂食障害だなと思った時期があったので、とくにこのような事態に陥りやすいのかもしれません。

 だとすれば、私は、摂食障害の拒食型の人たちの治療というか、回復の伴走者にはなりえないわけです。ちょっとさみしい気もしますが、人間にはできることとできないことがあるので、仕方ないかもしれない、と言い訳です・・・。

2008年8月14日木曜日

やり直し

 
 ブログの背景、変えてみました。以前の色は嫌いではないのですが、なんとなく、
暑苦しく感じられたので。心機一転です。

 
 これはやり直しではないですが、おもしろいな、と思った調査がありました。
 
  ≪やり直すなら医者、看護師 第一生命が大人の夢調査≫
    記事:共同通信社 提供:共同通信社

別の人生を歩めるとしたら、何になりたいですか。
  第一生命保険が全国約52万人の成人を対象に9日までに実施した「大人の夢」アンケートによると、男性は医者、女性が看護師との回答がトップだった。
  命にかかわる仕事を挙げる人が多かったことについて第一生命は「子どものころからの夢に加え、社会に貢献したいと考える大人が多いことをうかがわせる」(広報担当)と話している。

 調査によると、男性の2位は野球選手、3位は学者・博士。女性の2位は医者、3位が保育園・幼稚園の先生だった。 
 
 年代別でみると、女性の20代、30代、40代で「お金持ち」が上位10位内に入った。男性でも20代、30代が同様の傾向で若年層ほどお金に不自由しない生活を望む人が多いことを示している。

 地域別では、北海道・東北や四国、九州・沖縄ではいずれも公務員が3位に浮上。国内景気が悪化する中、大企業が比較的少ない地域で、安定したイメージのある公務員へのあこがれもありそうだ。

  アンケートは昨年8月から今年2月にかけて実施した。


(以下、psycho)
 
 面白いですね。人生をやり直すならこの職業、というあたりが面白いです。psychoはなまけものなので生まれ変わってまでも、働くのはちょっとどうなのかなと思ったりしましたが。

 男性の1位、女性の2位にランクインした職業に就いている私です。確かに、自分の今の人生は(というと大げさ)は、満足していると思います。

 メンタルヘルス関連ですから、すっきりと善くなったりとか、患者さんから感謝されてばかりというわけではないのですが、そのことも含めて自分の職業には満足しています。

 人とのつながりがあってそこが好きなのだろうと思っています。

 それもさることながら、この記事の中で、私が興味をひかれたのは、医者が男性で1位であるのは、理解できると思いますが、女性で2位というのは、そんなにたくさんあることなんでしょうか。私にはそう思えないのですが。というのも、私が入学する1990年以前は、医学部の女子学生の割合は10%台でした。だから、それほど女性にとってやっていこうという職業ではなかったのだろうと思います。後で述べる男尊女卑の考えも強かったのでしょう。

 ところが、私が医学部に入学した1990年代には、女子学生の比率が年を追うごとに増加したのです。私の学年では25%でしたし、私の後輩のクラスでは30%ということもあったようです。

 私のクラスは1991年入学のクラスで、初めて女子学生の割合が20%を超えたので、「このクラスは女が多くてうるさい」とか、「このクラスは女子が多いせいでやる気がない」など、悪評の限りでした。

 医学部は、男尊女卑がすごいところでもあります。おおたわ史絵さんが、AERAのインタビューでおっしゃってましたけど、その通りです。今は、女性の教授もおられますから、改善傾向にはあるのでしょうけれども。

 また、1991年はバブル経済が終結して、不況の冷たさを感じる頃ですから、それで、女性も手堅い職業にということだったのかもしれません。psychoは違いますが。

 ただ、この記事のように、社会に貢献できるばかりの仕事でもないのですが・・・。
 

2008年8月13日水曜日

iGoogleに夢中

いまさら、なのかもしれません。

でも今、psychoはiGoogleに夢中です。

 毎日iGoogleを開いては、新しいガジェッド(私と同じくらいGoogleをつっこんで使っていなかった方へ;コンテンツバーといえばいいでしょうか・・・)を検索して(英語も含めて)、自分のタブに追加しては喜んでいます。

 まだ、私のiGoogleを共有しょうという気持ちにはなれないのですが・・・。

 でも、おもしろい!

 世の中にはいろいろなコンテンツがあるものです。
 編み物のブログもあり、英語ですが、編み地の写真もあり、地の文が読めなくても楽しめます。読めればもっと面白いんでしょうけど。

 後は、英語の勉強をしないとと思い、コンテンツを探したところです。
 かなりいろいろありまして、どれにしようか迷うのもうれしい。

 背景(=テーマ)がタブごとに選べるのも、おもしろいです。アーティストテーマはまだそれほどの数ではないですが、普通のテーマは、なんとも数知れず。その中で自分の好みのものを選んで、設定するわけです。

 気取ってもいないのですが、psychoは、このテーマ選びで図らずも自分が見えました。意外と、花が好きで、自然の背景などが好きなんですね、自分。

 この後、どう展開するのやら・・・。でもそれも楽しみです。

2008年8月11日月曜日

医学部定員増で大学が混乱 -医療介護CBニュース-

医学部定員増で大学が混乱 -医療介護CBニュース-

 私psychoとしては、この施策は信用ならないと思ってしまっています。なぜなら、12年前に私が医者になったばかりのころ、将来の医師過剰に備えて、という枕詞で、医学部定員削減が起こったのです。

 この12年間、何が起こったというのでしょう?

 なにも起こっていないように見えます。少なくとも、医者として生活した中では、医者の数が多すぎてというのは何を根拠にそう言っていたんだっけ?という気も起ってきます。

数ある「医師過剰論」をネット検索すると、bn2islanderという方のmemorandumというブログが比較的わかりやすく私の疑問の一端を書いてくれていました。

 以下がトラックバックURLです。
http://d.hatena.ne.jp/bn2islander/20080703/1215092769

 
 psychoも、実父が放射線技師で、かつ医者になりたかったという人なのですが、彼がいつも医師会が医師の人数コントロールをしている、と言っていました。彼は、医師はだから供給過剰にならない、とプラス評価をしていました。

 その医師会は、今、何をしているのでしょう?

 冒頭のニュース記事では、会場に医師会はいたのでしょうか?どうも私にはいないように感じ取れました。
 もしも、bn2islanderさんが書いているように、医師会が医師数コントロールの一端を担っていることが大きな役割を取っているのだとしたら、単に大学と、厚生労働省・文部科学省だけで医師不足もしくは医師過剰という日本の医師数について、うまくいかないのではないでしょうか。

 もちろん、日本医師会だけが問題点とは思いませんが。

2008年8月10日日曜日

ネットでのいじめや危険を防止する

チャットでのいじめ・声かけを防ぐソリューション、英企業が発売



 仮想空間やSNS、チャットルームなどにおける児童保護ソリューションに取り組んでいる英Crisp Thinkingは28日、バーチャルコミュニティを監視するモデレータを支援するソリューション「NetModerator」を発表した。

 バーチャルコミュニティでは、ネットいじめや児童の性的虐待を狙う犯罪者などのさまざまなリスクがあり、コミュニティを運営している企業は多数のモデレータを雇い、監視に努めている。Crisp Thinkingが開発したNetModeratorは、多数のチャットを同時に監視し、自動的に会話のリスクを判断。危険と判断された場合にはモデレータに警報を発してくれる。

 このシステムを導入することによって、バーチャルコミュニティの利用者数が増え、チャットの総数が増えても、モデレータは危険に対処することができ、企業はサービスをスケールアップすることができるという。

 NetModeratorは3つの技術から構成されている。1つめは、Real-time Message Filter(RMF)だ。これは、不適切なコンテンツが被害者に到達する前に内容を検閲し、ブロックできる仕組みだ。このようなコンテンツが発見され次第、そのチャットは監視対象になる。

 2つめの技術は、Engine for Content-Analysis(ECA)だ。この技術は、2人の間で交わされているチャットの中に、虐待に関係するような言葉や不健全な関係性が存在するかどうかを検査する。チャットの文面を精査し、パラメータと一致するタグやキーワードに印を付けて警戒する。その結果、誰かが実際に外で会う計画をしているのかどうか、あるいは児童が住所や電話番号などの個人情報を公開しようとしていないかといったことを識別できる。

 3つめの技術は、Engine for Relationship Analysis(ERA)だ。この技術では、ネット上における、いわゆる「声かけ」など、危険に繋がりかねない行動パターンを察知することができるという。Crisp Thinkingは声かけのさまざまなモデルを構築し、ケンブリッジ大で実験した結果、98.4%の正確さで声かけを探知することに成功したという。

 NetModeratorはすでに、MMOGの「Fusion Fall」と米国のSNS「Xivio」に納入されたとしている。

(以下、psycho)

 ある程度この記事のようなことはあったほうがいいでしょう、そう思います。

 でも、多数の記事を監視するというあたり、極端に進んでしまったら、なんとなくジョージ・オーウェル作「1984年」のような雰囲気もなくはない、そう思ってしまいます。

 もちろん、自分の子供がネットでいじめに遭ったり、ネット上で危険な目にあったら、とてもそんなことを言えないとよくわかっています。それは当然です。でも、自分単独で表現するということを考えると、別にやましいことはしていないのですが、なんとなく、自分も監視されているのかあ、と委縮する感覚が生まれます。

 話題は変わりますが、二つ目、三つ目の技術について、今後ますます精神科医の技術や思考が要求されるだろうと感じました。人の思考を表す言葉の使い方や、行動パターンを読んでいくのは、やはり精神科医に勝る存在はないと思うからです。

 私は、そういう事態に対して何ができるか・・・。

 このブログを書くことも、そのような事態への対応でしょうし、もっといえば、本を書くなどでしょうか。

 でも、本を書く精神科医って、かなり有名な人じゃないかと私は思ってしまっていますが・・・。

 

 

2008年8月9日土曜日

医者の「ワーキングプア」

2008. 7. 31

堤未果氏(ジャーナリスト)に聞く

医師すらも貧困層に転落する米国の現実

千田敏之=日経メディカル


 イラク戦争を続けるアメリカで、中間層が新自由主義政策によって貧困層に転落する実情を多面的にルポルタージュした「ルポ貧困大国アメリカ」。永六輔氏の「大往生」(1994年刊)以来の岩波新書の大ベストセラーとなった同書の著者・堤未果氏に、日経メディカルの千田敏之編集長がインタビューした。『日経メディカル』8月号に掲載した記事のエッセンスをお届けする。

 ※ インタビューの詳細は『日経メディカル』最新号(2008年8月10日号)をお読み下さい。



つつみ みか氏○東京生まれ。ニューヨーク市立大大学院国際関係論学科修士課程修了。国連婦人開発基金、アムネスティ・インターナショナル・NY支局員を経て、米国野村証券に勤務中、9.11同時多発テロに遭遇、以後、ジャーナリストとして活躍。『ルポ貧困大国アメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

――執筆のきっかけは。
 2006年出版の前著の『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』(海鳴社刊)では、貧困層の高校生が軍にリクルートされ、イラク戦争に行かされている現実など、戦争をテーマに、マイノリティーが国の捨て駒にされている実情を書きました。

 出版後も取材を続けていくうちに、大学も出て仕事にもきちんと就いている中間層の人たち、さらには社会的に尊敬されていた医師や教師といった人たちの中にも貧困層に転落し、低所得者食糧配給を受けているケースが少なくないことが分かってきました。今年の『文藝春秋』6月号に医療過誤保険の負担で年収が2万ドル以下になった医師のことを書きましたが、それは決してまれなケースではありません。

 なぜ中間層、さらには医師までもが転落するようになってしまったのか。最大の原因は、競争と規制緩和を推し進めて、これまで政府がつかさどっていた、医療や教育さえも市場原理に任せてしまおうとする新自由主義政策にあります。新自由主義政策はレーガン政権のころから、大企業を減税し社会保障費を減らすという形で展開されてきましたが、特にそれが顕著になったのはブッシュ政権になってからです。

 2001 年の9.11同時多発テロを機に、米国はイラク戦争に突入しました。アメリカは現在、「テロとの戦い」を名目に戦争に毎月160億ドルという途方もないお金を費やしています。そのしわ寄せが、公的医療費など社会保障費の大幅削減につながり、病気にかかるだけで医療費が莫大なため、今まで自分は別だ、大丈夫だと思っていた中間層の人すらも転落していく。その事実を知ったときはとてもショックでした。

 でもよく考えたら辻褄は合います。中間層がしっかりといるときは、競争原理を入れなくても国内でモノが消費されていく。ところが、中間層が減り、消費が萎んできたとき、それを喚起させるには、より安いモノを海外から入れなければならない。すると国内の製造業が駄目になり、そこで働いていた中間層が落ちていく。

 そういったことが見えてくると、これはアメリカだけの問題ではなく、国を超えて世界で起きていることではないかと考えるようになりました。その視点で日本を見てみると、小泉政権が様々な規制改革を行い、アメリカを後追いする政策を推し進めていた。そこで、もっと突っ込んでアメリカの状況を伝えようと考え、新たに取材をして書いたのが『ルポ貧困大国アメリカ』です。


(以下、psycho)

 医療訴訟のために、所得の9割をさかなくてはならない・・・。信じられません。

 私は、現在私個人と病院との契約なので、医師賠償保険に個人で加入しています。それはそれで必要なことだと思っています。それは、年収の0.4%強の金額で、医療事故一件当たり1億円(最高額支給の場合)というものです。

 毎年、4月に更新ですが、これを使わないように、と祈りながら、振り込みをしています。


 とはいえ、私は精神科医ですから、外来に来ている人たちになにかあれば、これを使うのだろうと思ってはいます。その日は来てほしくないし、怖い・・・。


 この保健の金額が膨大に膨れ上がってしまうような、そんな外来だとしたら、患者さんに会うこと自体が怖くて、とてもやりきれなくて、医師をやめるでしょう。


 これが、アメリカの実情を私に引き寄せたシミュレーションです。これは単に私個人の問題ではないでしょう。日本の医者全員がこのように感じる可能性が高まるわけです。そのとき、わざわざ医者を続けることを選ぶ人がいるでしょうか?


 医者の数が著しく減少した場合、いったい誰に受診したらいいのでしょうか?たとえば、不慮の事故に子供があってしまった場合、小児科医はいないということになりかねません。


 これが、アメリカが素晴らしいと思っていた日本のなれの果てでしょうか?はたして、これが私たちの望んでいた世界なんでしょうか?


 


2008年8月8日金曜日

原爆投下について思いをはせる


 今月は、終戦の日があって、原爆投下された日もあります。

 
「心の傷、受け止めて」 精神科医の中沢正夫さん インタビュー企画「平和へ-思い伝えたい」


記事:共同通信社     提供:共同通信社

【2008年7月17日】


 被爆体験をたどり広島を旅した男性に、突然よみがえる記憶の断片。何時間も動けず、涙があふれる-。被爆者の「心の傷」と向き合う精神科医中沢正夫(なかざわ・まさお)さん(71)は「こんなにひどくなるものかと思った。心的外傷としての被爆体験はすさまじく、大きい」と語る。


 知っているようで説明できない傷を「誰でも分かる言葉に置き換えて、世の中の人に理解してもらいたい」。丹念に被爆体験を聞き、「ヒバクシャの心の傷を追って」を書き上げた。


 約30年前、東京の代々木病院に赴任、被爆者と接する転機になった。被爆者医療の中心施設で、病院で開かれる研究会にも熱心に参加した。


 数年たって被爆者の精神障害の症例をまとめようとした矢先、先行論文がほとんどないことに気付き、がくぜんとした。「なぜ日本の精神科医は、こんなにも被爆者への関心や興味を持たなかったのか」。心の傷に取り組むきっかけになった。


 つぶれた家の下敷きになった母を「見捨てて」逃げた体験、託された幼い姉妹を助けられなかった苦悩、家族と識別できない遺体を焼き、涙も出なかった記憶?。


 未曾有の惨状は人間らしい感覚をまひさせ、目にしたはずの記憶にふたをしていた。震災や事件の心的外傷後ストレス障害(PTSD)と似た症状の発現は予測できたが際立った違いがあった。


 被爆者には放射線障害の恐怖が付きまとう。「知人の死や自身の発病で"あの日"に引き戻され、今も大きな『余震』が続いている」。心の傷はむしろ深くなる。原爆が持つ悪魔性だ。


 被爆後63年たっても思い出すのがつらく、語れないでいる被爆者は全体の半数程度とされる。ただ、高齢化とともに意識の変化も見え始めた。


 「何のために自分が生き残ったのかという思いが強くなっている。少しずつ話し、語り部になったり、(平和)活動に参加したりすることが傷を癒やすことにもなる」


 核兵器が二度と使われないよう、被爆者には語ってほしい。「そのためには、話をじっくり受け止める機会をつくらなければいけない。最初はすべてがありのままでなくてもいいから、受け入れて聞くことです」



(以下、psycho)

 最近の新聞記事(朝日新聞8月7日朝刊)で読んだのですが、被爆した人たちが差別を受けていた、ということでした。

 いつもありきたりな私の驚きの表現で悪いんですが、がーんときてしまいました。いったいなぜ、と・・・。


 なぜ差別しなくてはならないのか。必要性ではないでしょう。そう思いたいです・・・。でも、何故かしら差別してしまったのでしょう。これは、言い訳などできない話だと思えるのです。


 私は、日本人として、原爆投下を受けた、ということは絶対に忘れてはならないと思っています。そして、被爆して生存している人たちに対して、医学、生物学的な苦労に対して、そして、生活のもろもろの苦労に対して、想像を絶するという点において、敬意を払っています。


 でも、差別もあったのです。ひどい、としか思えません。同情と自分では思いたくないのです。


 そして、精神科医という自分自身を振り返って、この記事を読んで言い訳をしました。私は、被爆者の人たちの精神疾患に対して、無視していたわけではなくて、ただ、どうしたらいいのかわからなかったのです、と。

 被爆した人たちを差別する人も同じことを言うのだろう。そう思うと、自分に、自分の発言に吐き気もした。

2008年8月7日木曜日

高次脳機能障害

《高次脳機能障害者支援ネットが発足 医師らが参加 》

記事:毎日新聞社提供:毎日新聞社【2008年7月31日】

高次脳機能障害者:支援ネットが発足 医師らが参加 /大阪

 脳の損傷が原因で言語、記憶、感情面に問題が生じる「高次脳機能障害」の当事者と家族を支えるネットワークの発足会議が30日、大阪市内で開かれ、府内から医師や福祉関係者など約220人が参加、連携の必要性を確かめ合った。
 同障害は府内で年間約1100人が発症しているとされるが、診断がつきにくく「見えない障害」と言われている。会議では、医師らが「リハビリ後の受け皿がなく、孤立化を招いている」「復職の相談が増えているが、解決は容易ではない」などと実態を報告。
 高山佳洋・府医療監は「ネットワークへの期待の大きさが分かった。行政でできることは、すぐに対応したい」と話した。【福田隆】

(以下、psycho)

 高次脳機能障害。大変注目されていて、良かった、と思います。

 ただ、ネットワークと並行して、高次脳機能障害の診断基準の浸透にもつとめて欲しいな、と思ってしまいました。

 不勉強はpsychoは、このブログを書いてみて初めて、高次脳機能障害の診断基準が存在する、と知りました。恥ずかしい・・・。

 国立身体障害者リハビリテーションセンターのHPで、あります。

 URLは、http://www.rehab.go.jp/ri/brain_fukyu/handankizyun.htmlです。

 でも、どうもぼんやりしている内容に思えますが・・・。どういう人、というイメージがつかめないです。どうすれば、もっと具体的にイメージのわくものになるか、私も考えないと・・・。

2008年8月6日水曜日

お医者さんの勉強法

  医療維新    2008年07月24日トップに戻る    レポート    臨床情報収集方法アンケート◆Vol.2
卒後10年以内は「院内の医師に質問」、11年以上は「自分で調べる」
情報を入手する方法、若手・中堅以上・開業医に差 
村山みのり(m3.com編集部)
   


 Q2.情報を入手するために主に利用する方法

 Q02-1:自分の専門領域について、
最新情報等をチェックするとき
 Q02-2:学術論文を書くとき
 Q02-3:診療上で知りたい情報があるとき【緊急の場合】
 Q02-4:診療上で知りたい情報があるとき【時間に比較的余裕がある場合】
 
 ◇勤務医・卒後10年以内(複数回答、単位:%)                    (n=122)

1専門領域
2論文
3診療・緊急
4診療・通常
01 同じ病医院の医師に質問
76
63
84
75
02 同じ病医院以外の医師に質問
12
13
22
20
03 メーリングリスト、SNSなどで質問
3
0
4
3
04 勉強会など
36
10
5
13
05 紙媒体の医学書・医学雑誌
66
67
41
68
06 インターネットの医療専門サイト
54
49
46
64
07 インターネットの一般サイト
9
7
22
11
08 その他
4
5
1
4
その他具体例
専門誌、学会、MR 専門誌、インターネットマガジン、学会・研究発表 MR 専門誌、MR

 ◇勤務医・卒後11年以上(複数回答、単位:%)                   (n=151)

1専門領域
2論文
3診療・緊急
4診療・通常
01 同じ病医院の医師に質問
38
30
65
42
02 同じ病医院以外の医師に質問
22
20
23
27
03 メーリングリスト、SNSなどで質問
5
3
4
8
04 勉強会など
45
17
9
22
05 紙媒体の医学書・医学雑誌
61
76
46
69
06 インターネットの医療専門サイト
60
64
67
70
07 インターネットの一般サイト
16
11
25
21
08 その他
5
4
2
3
その他具体例 学会、インターネットマガジン、学会・研究会 インターネットマガジン、大学病院の図書館 MR インターネットマガジン、電子媒体の医学書

 ◇開業医(複数回答、単位:%)                              (n=110)

1専門領域
2論文
3診療・緊急
4診療・通常
01 同じ病医院の医師に質問
9
10
15
7
02 同じ病医院以外の医師に質問
31
30
41
40
03 メーリングリスト、SNSなどで質問
15
5
17
16
04 勉強会など
63
23
17
38
05 紙媒体の医学書・医学雑誌
61
68
16
69
06 インターネットの医療専門サイト
61
46
60
57
07 インターネットの一般サイト
10
10
21
15
08 その他
4
7
5
4
その他具体例
学会、MR インターネットマガジン、大学病院の図書館 MR インターネットマガジン、電子媒体の医学書

 卒後10年以内の勤務医では、情報入手に際し「同じ病医院の医師に質問」が多く、また比率も高いという特徴が見られた。また、他の2区分(卒後11年以上・開業医)に比べ、「他の病医院の医師へ質問」が少なく、出身大学などよりも現在の勤務先にいる医師に相談をするケースが圧倒的に多い様子がうかがえた。

 卒後11年以上の勤務医では、「同じ病医院の医師に質問」の割合は大幅に減り、各項目とも医学書・医学雑誌、インターネットなどで自ら調べるケースが多かった。特に診療上必要な情報を入手したい場合、紙媒体よりもインターネットを用いることが多いという傾向が見られた。経験年数が長い分、必要な情報の載っているサイトをよく知っており、また情報の真贋(しんがん)を見極める能力に優れるという要因が推測される。

 開業医の場合は、院内に他の医師がいる場合が少ないため、医学書・医学雑誌、インターネットなどで自ら調べるケースが多数を占めた。一方で、他の病医院の医師に質問する割合もそれらに次いで高く、また「勉強会など」の割合が他区分に比べて高い(特に専門領域では最も回答数が多い)ことなどから、日ごろの交流が盛んであり、医師同士のつながりが生かされていることがうかがえる。

  なお、今回のデータでは、外科系・内科系の有意差はほとんど見られなかった。

(以下、psycho)

  子どもの頃、親から「医者になったら、一生勉強だ」といわれて、えらくうんざりした記憶があります。しかし、実際その通りでした。違っていたのは、べつにうんざりすることはなくて、むしろ結構面白いというくらい。

 とにかく、そんなふうにお医者さんはよく勉強する、と思っていたわけですし、実際その通りでした。医学生の頃、医局の先生たちが英語文献などを読んでいて、「よくこんなの読めるなあ」と思っていました。

 しかし、自分でやってみると本当に、楽しいのです。だって自分の興味のある分野の新しい話なわけですから楽しくないわけがない・・・。

 ただ、この記事を読んで驚いたのが、卒後(=医学部を卒業後という意味)11年目以降は、知らないことがあったら自分で調べる、という部分です。

 確かにこの記事での指摘通り、「特に診療上必要な情報を入手したい場合、紙媒体よりもインターネットを用いることが多いという傾向が見られた。経験年数が長い分、必要な情報の載っているサイトをよく知っており、また情報の真贋(しんがん)を見極める能力に優れるという要因が推測される」ということはあるでしょう。

 でも、少なくとも私の場合、卒後12年目ですが、人に聞くのが恥ずかしいというのがあります。なんとなくなんだけど。もちろん、つまらないプライドだなあとわかりきっているのですが。

 実際、自分が逆に精神科のことで質問されるとすごくうれしいのに。

 先日も勤務先の医局で、患者さんのことを相談されて、うれしかったです。

 まあ、もっと聞いてみようかなと思いますが、明日からいきなり質問しまくっても変ですし・・・。
 

2008年8月4日月曜日

山中康裕先生の本


 8月24日(日)に、秋田県横手市で山中康裕先生(京都大学名誉教授)の講演会があるので(psychoの同僚の臨床心理士さんが頑張ってくれてます)、その下準備で読み始めた本です。
 
 

『親に暴力をふるう子どもの心がわかる本』(山中康裕著 講談社) 1300円(税別)です。何冊か購入したのですが、これから読み始めました。

  私の外来にも、暴力のことで相談に来る親御さんたちがたくさんいます。その人たちに、「子供のことを少しは信用したら?」というのですが、そのコメントが まったくそのとおりだった、とわかって安心させてくれた本です。

 本文p64に≪「無意識」には倫理観や道徳心が宿っている≫とあります。

 親 が子供に対して抑圧しなくなれば、そのようなもともと子供が持っていた「よさ」が現れてくるのだろうと、私は思っているのです。

 ただ、実際に自分が親の立 場になれば、息子に対して、物を散らかしたりすれば怒ってしまい、まさに抑圧しているのですが・・・。そういう意味で、外来に来てくれる親御さんたちの苦労もわかります。

 自分の中でどのくらい、子どものことを子ども自身に まかせられるか、それを問われており、なおかつ、どうしたらいいのか、と書かれている本です。イラストもかわいらしく、私は30分で読み終わりましたの で、手軽です。

 イラストが多いので、これを気に入ることができれば、楽しめて、安心感もいただける本です。

2008年8月3日日曜日

かゆい

 夏でないと書けないことを書きます。

 私psychoは、蚊にやられやすいです。一体いつからなのか覚えていませんが、おそらく20歳過ぎたあたりから、やられ始めました。

 それでも北海道にいたころは、全然平気でした。蚊自体があまりいなかったのです。夏でも寒いですからね。

 結婚して、夫のいる東北地方に住み始めると(東北なのに!?)、とたんにやられました。毎年、何か所もです。今年はすでに毎日5か所はやられてます。

 日本でだけ、だろうと思っていました。

 しかし、7年前にモンゴルにいったときです。9月だというのに、私は蚊にやられどうしです。顔は大丈夫なのですが、体がひどい。半袖などで露出していない、お尻までやられました。

 どうしてなのでしょう。なんか、蚊にインターナショナルにやられていますが・・・。

 ちなみに、私は蚊にやられるのでかゆみ止めの塗り薬がかかせません。病院で、同僚から処方してもらいます。

 塗るステロイドがやはり効きます。
 お勧めは、デルモベートクリームです。最強ステロイドです。が、使用感が軽いので、べたつきがなく、気がつくと、蚊にやられたところの赤みが小さくなります。

 

 

2008年8月2日土曜日

通販、使ってますか?

通販な生活 一生を1ギガで終えないための買い物学




 『通販な生活』(日垣隆著 講談社) 1400円(税別)、をよみました。著者の買物ぶり、かなりすっきりさせてくれます。

  塩、特注書棚、オーダーシャツ。これはすべて著者のサイトで取り扱っているものです。著者はたんに通販の消費者ではなくて、通販の仕掛け人でもあります。 その視点で、他の通販(Amazon、楽天など)を見て、消費者の視点のみで興味が湧いて購入したものの使い勝手を書いています。 

 その中で、「即断は美 徳である。保留は後悔の母だ。」とあります。それにしても、著者の通販の買いっぷりは仕事で、本を書かなくてはならないとはいえ、頭が下がります。

 さ らに「通販生活との戦績は6勝4敗くらいか」というのですから、脱帽です。買って後悔がないということは、現物そのものを手にする前にその使用方法から、 置き場所、果ては捨てる方法まで予測が立っているということでしょう。その予測能力の高さにも、脱帽です。

 実は、psychoは本を読むたびごとに、書評を作っているのですが、この本はちょっと悩みました。あんまりお勧めして、どうなの?破産?とか。

 でも、おもしろいので、実際に通販を自分で堪能する代わりになっていいかもと思ったので。まず、ぜひ一読を。



(榊田理恵)

2008年8月1日金曜日

看護師さんとの協力;医師不足を超えて

医療維新    2008年07月23日トップに戻る    レポート    救急医療の危機◆Vol.5
"コンビニ受診"は看護師がトリアージ
武蔵野日赤で14の症状別マニュアル作成し実施、「軽症患者」は6~7割 
橋本佳子(m3.com編集長)
   


 武蔵野赤十字病院(東京都武蔵野市)は、
2003年から救急外来を受診する全患者に対して看護師がトリアージを行っており、一定の成果を上げている。「重篤な患者を迅速に診察できる上、待ち時間が長くなりがちな軽症患者であっても、看護師がまずトリアージを行うため不満は少ない」と、救急センターの看護師長の渡辺美奈氏はそのメリットを語る。

 同院の救急センターは、救命救急センターと救急外来から成り、1次救急から3次救急までを担う。同センターの患者は1日当たり約100人(2007年度の実績は年間3万7538人、うち3次救急患者は1568人)、1日約20台(同7832台)の救急車の搬送を受け入れている。

 トリアージは自ら来院した患者(一部、救急車による搬送患者も含む)を対象に行っている。「赤」=直ちに診察室に誘導、「黄」=医師に報告(早めに診察してもらえるよう配慮する)、「緑」=様子観察(症状悪化時、申し出るよう指導)の3段階で実施。トリアージの結果は、「赤」が1 割未満、「黄」が2~3割、「緑」が6~7割という割合だ。

 「緑」の中には、"コンビニ受診"的な患者もいるという。院長の富田博樹氏は、「時間外の患者数の多さは当院でも問題。ただ、医療者側から見れば時間外に来なくても済む患者でも、患者側からすれば不安だから来院する。苦しみや痛みなどの除去だけでなく、患者の不安の解消も医療の重要な役割。またタクシーを使って自分で来院する患者の中には、重症な人もいる。様々な患者が来院する現状をどう受け止め、対応策を考えるかだ。一概には『来るな』とは言えない」と語る。

写真「患者の不安をいかに解消するかが重要」と語る、院長の富田博樹氏。

  トリアージは「リーダーナース」が実施

 救急センターの看護師は常時4~6人の体制だ。うち一人は、同院の救急センターで一定の経験を積んだ「リーダーナース」。頭痛やめまいなど14の症状別に、独自のトリアージマニュアルを作成しており、「リーダーナース」が、受付を終えて待合室で待つ患者の元を訪れ、問診やバイタルサインの測定などを行い、マニュアルに沿って3段階でトリアージを行う。

 特定の部屋で患者を診るのではなく、看護師が待合室に出向くのは、既にトリアージした患者の状態が変化していないかなど、目を配る目的もある。

 「救急センターの待ち時間は、平日の時間外では30分から1時間、休日は2~3時間に及ぶこともある。ただ、まず看護師が診ることで、患者の不満は軽減する」(救急センター看護師の吉田恵利子氏)。

写真救急センターの診察申込書。下段に「トリアージ」の所見を記載する形式になっている。
※画像クリックで拡大
 
 救急患者はピーク時は年間4万人近くに


 看護師によるトリアージを試験的に開始したのは2001年のことだ。1999年から3次救急を担当する医師を6人採用(現在は9人)し、1~2次救急と3次救急は異なる医師が担当する体制に変えた。体制充実を機に、それまで年間2万5000人程度だった救急外来の患者数は、一気に3万8000人程度まで増えた。

 トリアージ導入の中心的役割を果たした看護師の西塔依久美氏は、次のように語る。「従来から看護師は、受付の際に気になる患者には目を配るようにしていた。しかし、全員ではなかったため、『なぜ、あの人だけ診てもらえるのか』など、かえって看護師が患者の厳しい視線にさらされることもあった。一方で、目を配っていなかった患者の中には、待合室で状態が悪化した方もいた。これらの問題を解決するため、さらには長期化していた待ち時間を短縮するため、看護師によるトリアージを開始した」。

写真左から、吉田恵利子氏、渡辺美奈氏、西塔依久美氏。

  導入当初は、トリアージの仕方を学ぶため、医師と看護師などによる症例検討会なども行った。実は結果的には待ち時間は短縮しなかったものの、患者の不満は激減したという。「現在、小児のトリアージマニュアルがないので、その作成が今後の課題」(西塔氏)。

 「入口」は拠点化、「出口」はネットワーク化

 救急医療をめぐっては、軽症患者の受診だけでなく、「患者の受け入れ困難」も大きな問題だ。これは、(1)「入口」、つまり患者の受け入れに適切な医療機関をどう選択するか、(2)「出口」、つまり空床を確保するため、後方病床といかに連携するか――が重要になる。

 武蔵野赤十字病院は、「入口」の部分では、拠点タイプ。所在地である武蔵野市の救急車の8~9割は同院で受け入れている。また診療圏は広域で、主な救急車の受け入れ先は7市区に及ぶ。救急経由の入院患者用に30床を用意。入院の翌日には次の救急患者のために、各科の病床に移ってもらうか、地域の病院に転院する条件で患者を受け入れている。つまり、救急の「出口」については、地域でネットワークを組んでいる格好だ。

 一方、舛添要一・厚生労働大臣が視察した江戸川区は人口約67万人に上るが、拠点となる大規模の病院はなく、「入口」と「出口」ともに小規模の医療機関が連携して対応するという、典型的なネットワーク型の救急医療を展開している(『「箱モノ」を作るより、現場の医師に手当を』を参考)。

 現在、厚生労働省の「救急医療の今後のあり方に関する検討会」では、救急医療のあり方について検討が進められており、7月30日に「中間取りまとめ」が公表される予定だ。「今ある資源をどう有効活用するかという視点が重要なのではないか」。こう富田氏は語っている。

(以下、psycho)

 以前から、救急外来ほど大事なセクションはないと思っていたのですが、なかなかそれを表現できずにいました。ただ、重症だから救急外来を使うに値するというわけでもないだろうと思っていましたが、じゃあどうしたらいいのか、という視点はあれど、方法が分からずにいたのです。

 救急外来には、精神科の患者さんがかなり来ると私は思っています。現に、北海道のある大学の救急外来では(2001年前後のことです)、10例に1例前後の割合で自殺企図(=精神疾患では自殺がおおいので、この場合は精神疾患と考えます)がありました。
 だからこの記事の武蔵野赤十字病院のように「・・重症な人もいる。様々な患者が来院する現状をどう受け止め、対応策を考えるかだ。一概には『来るな』とは言えない」とは、現場の実感だと思います。
 看護師さんに、トリアージ(重症度分類)をしてもらうのは、医師不足の折、救急にとっては苦肉の策でも、ありがたいことと思います。
 この後、どんな風に引き継ぐのか。
 むしろその方が大事かと思います。特に、精神疾患の場合。
 もしかしたら、軽症である人たちの中に、精神疾患の人がいるのかもしれない。DVや虐待の被害者がいるのかもしれない。そういう視点はあるのかな・・・。
 それがあれば、トリアージをすることの意味は広がりそうだと思います。
 トリアージを看護師さんにお願いして、その後、どうするのか。一件一件にカンファレンスでというわけにはいかないかもしれませんが、少なくとも、あれ?というケースでは、看護師さんも医者も、自分の「あれ?」に付き合ってほしいと思っていました。