2009年1月31日土曜日

スケジュール

 今週は目いっぱい働いたので、今日はのんびり、というか、ぐったりでした。

 月曜日;5歳児健診
 火曜日;通常外来(20時までかかってしまいました)
 水曜日;産業医研修
 木曜日;通常外来(車のウインドが壊れてしまいました)
 金曜日;通常外来(19時30分までかかりました)

というようなスケジュールでした。

 やはり、手術をしてからはこのようなスケジュールはきついです。常勤の道はないのでしょうね。
 だからといって、悲観してもいないのです。

 私自身が健康で人生を楽しめていれば、外来に受診してくれている人達もそうなることもあるだろうと思っているからです。

 自分に置き換えると、余裕のない、苛立ちのあるお医者さんに受診したくありませんから。

 さて、来週はこのようなきつさはないので、少しゆっくりしたいものです。

 が、専門医試験のレポート提出が・・・。

2009年1月30日金曜日

書評 「自閉っ子におけるモンダイな想像力」 ニキ・リンコ著 


書評 「自閉っ子におけるモンダイな想像力」 ニキ・リンコ著 花風社 1600円(税別)

この本の冒頭の花風社社長浅見淳子さんが書いておられるように、自閉症スペクトラムの人たちには「三つ組の障害」があるといわれています。

  1. 社会性の障害
  2. コミュニケーションの障害
  3. 想像力の障害

です。

ところで、私は子どもの精神科を志した時、これらの意味がよくわかりませんでした。そして、あれから7,8年が過ぎて、わかるようになったのは、「本人に聞かないとわからない」ということがわかったのでした。

この本は、「本人に聞いて」みた本です。

自閉っ子たちは、想像力がないということではないのに、どういうことで「想像力の障害」なのか?この本に書かれているように、自閉っ子たちは、想像力を日 常生活に応用し、役立てることが苦手なようです。そして、その結果、非自閉っ子にとって不可解な行動をして誤解されてしまうこともあります。

そういう苦しさやつらさがあるだろうのに、自閉っ子たちは負けないというか、想像力の障害を活用しながら生きていきます。

たとえば、夜なかなか眠れないときに、生理用品の「熟睡ガード」を買ってしまって、使った話。
うーん、気の毒…と思いながら、思わず噴き出してしまいました。

でも確かにそういう思い違いってあるかも・・・。

ニキ・リンコさんが書いているように、
「元気なとき、落ち着いているとき、自分のナワバリ(ホームグラウンド)にいるときは何とか想像できることでも、体調が悪い時、うろたえているとき、アウェイ戦の時は想像力が追い付かなくなる気がする」
という状態は、私にもしょっちゅうあるのです。


そう、この本は想像以上におもしろい。

もしかしたら、私たちのほうが想像力に障害があるのかもしれない、そう思えるくらいです。

2009年1月29日木曜日

産業医研修

 昨日28日に、秋田市で行われた職場のメンタルヘルスについての産業医研修で、ようやく認定産業医になるための単位が揃いました。

 長かったです。4年半、でしょうか。

 最初のうちは、結婚後すぐだったので自宅から秋田市までの地理感覚をつけるためにと思って産業医研修に参加していたのですが、出産後は全然通えず、昨年から今年にかけてある特別養護老人ホームから「産業医になってください」と言われてから、必死で通いました。

 後は、医師会に連絡して申請書をいただいて、という手続きです。

 ホッとしましたが、まだ手続きが・・・。こういうのが苦手なんですよね・・・。

2009年1月27日火曜日

5歳児健診

 昨日は、二カ月に一度の五歳児健診でした。

 やけに元気のいい男の子が多くて、楽しい健診でした。

 そして、秋田大学の武田篤先生(教育学部教授)が見学に来てくださったので、私は緊張してしまいました。

 武田先生がおっしゃったことは、5歳児健診でスクリーニングできたケースをどうするのか、具体的な手法が必要であろうということでした。具体的には、家族支援や子育て支援を5歳児健診後のスクリーニングに行うべきで、それをどうするかということを話し合うことがいいのではないかということでした。

 私は、家族支援・子育て支援は念頭にあったのですが、手法として、この5歳児健診の話し合いで提案することは実は思っていなかったのです。

 というのも、地域の保健師さんがすでにそのような方法をシステム化しておられたこと、そして、私は自分の外来があるので、そこで行っていけばいいというような考えでいたからです。

 どちらがいい、悪いではないのですが、武田先生の意見もなるほど、と思いました。

 さて、どうしたらいいのか。

 保健師さんと考えたいものです。

 私って結局他力本願ですね・・・。

2009年1月26日月曜日

BOX買いました

 AA;Alcoholics Anonymus匿名のアルコール依存症者たちという、世界規模のアルコール依存症の人たちの自助グループがあります。そこで発行している雑誌、BOX-916を購入しました。

 一冊300円です。AAのセミナー予定や、メンバーの話をずいぶん載せてあります。1年間購読しました。

 私は、アルコール依存症の人たちと接するととても安心できます。自分ひとりだけが、苦労しているわけではないということで、安心できるのです。

 私は何らかの依存を今のところ持っていませんが、なりやすいのが仕事依存、買い物依存などです。
 もっというと、これらの依存で自分が見えなくなっていったのかもしれないのです。それを、助けてくれたのが、AAというものであり、そのメンバーさんたちなのです。

 だから、AAには何らか貢献したいのです。AAのためではなくて、自分が安心して生きるために。

 というわけでのBOX購入でした。今後読んでの感想もここに書きたいと思っています。

 

2009年1月25日日曜日

書評「急がば疑え!」(日垣隆著 日本実業出版社) 1300円(税別)

書評「急がば疑え!」(日垣隆著 日本実業出版社) 1300円(税別)

一ページ一テーマで書かれたエッセイ集です。著者の本やメールマガジンを知らなくても楽しめて、著者と議論できる本です。

それだけに興味のある分野が人によってまちまちで、誰かと読み比べると楽しいのかもしれません。

私は、法と精神障害との関係について興味があり、著者の「そして殺人者は野に放たれる」(新潮文庫)を読んでいたためにこの本でも同じ思考が流れているのが、うれしくほっとしました(p50)。

他には学校について(家に就学前の子どもがいるので)、週末起業(一応自由業なので)などの部分にドッグイヤー(折り目)があります。

そう、この本は自分が何に興味があるのか、どんなことをしたいと思っているのかを、時代の流れとともに知るという手がかりをくれる本です。

毎日が退屈で、生きるのが面倒で、という人には、あっさりと読めるけれども、興味のあるところにドッグイヤーをつけると自分が見えてくるのでお勧めです。

自分探しに旅行に出るよりも安上がり!でも確実なものだと思います。

2009年1月24日土曜日

専門医試験

 精神科専門医試験のレポート提出をしなくてはならず、日々、レポートと格闘の最近です。

 苦労するのは、各報告ごとに字数制限があることと、どうやったらその報告を生き生きと描写できるのだろうかという点です。

 もちろんプライバシーには配慮していますし、外来の人たちにも話してあります。

 が、その人に会ったことの無い人(=試験官)に、私のであった人たちのことを字数制限つきで伝えるのはかなり大変だなあというのが実感です。

 2月中に郵送しなくてはならず、何とか間に合わせていいものを書くぞ!と気合を入れているところです。

2009年1月22日木曜日

読書会

 1月18日(日)に、すくーるばくで読書会が開催されました。

 テーマは「自閉っ子、こんな風にできてます!」(ニキ・リンコ×藤家寛子、花風社)でした。先日もお知らせしたように、マインドマップを使ってみました。

 すると、アイディアがけっこうわくものですね。

 中でもこの本の紹介者である私自身にとって、この本は何が良かったのかが見えました。

 アスペルガー症候群などの発達障害では、社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害が「三つ組み障害」としてあるのです。そのなかで、社会性の障害とはかなりの部分において身体感覚の障害もあるかもしれないと思ったことです。

 自閉っ子たちは人ごみに行くのも難しく、雨が痛いと言うような奇妙な身体感覚があるわけです。そうなると、触れないものもあったり、もっというと会社の接待なのに食べられないものがあったり・・・。その結果、社会で人とやっていくことが困難であると言うことかなあ、と感じました。

 また、コミュニケーションの障害と言う点では、自閉っ子たちの言葉の表現が彼らの考えていることを必ずしもその通りに表現されていないので、私たちは真に受けてしまっては結局コミュニケーションが成り立たないと言うことかもしれない、そう思いました。

 前回書いたように、今後マインドマップを生かしながら、こんな風にアイディアを膨らませられたらいいと思えました。

2009年1月20日火曜日

読書会とマインドマップ

 18日の読書会、後で詳細に報告します。

 でも、すごくよかったのは、その日に初めてマインドマップを使ったことです。

 あらかじめ、テーマの本のマインドマップを直前に作り(←直前がいいのかわかりませんが)、そして、会の様子を記したのです。

 これがよかったです!

 どんなふうにいいのかというと、思考がまとまった感じです。そして理解も深まった・・・・という感覚が得られていい!と思えました。

 でも、感覚だけにしたくないですねえ・・・。

2009年1月19日月曜日

やる気はどこに?


書評「のうだま」 上大岡トメ&池谷裕二著 幻冬舎 1200円(税別)
ブログで知った本です。タイトルを見た途端、「?」でした。

精神科医でありながら、そして、淡蒼球という脳の部位を知りながらも、その役割までは知らなかったのでした。「脳の青い玉」と表紙の帯に書いてあったのですが、なかなか実感できなかった淡蒼球をそんな風にとらえることもできるんだなあと感心しきりでした。

冒頭から安心できるのですが、3日坊主は脳が飽きっぽいのでしかたないということです。これはよかったです。

この本は、やる気がどうしたら出るのか、という永遠のテーマに関して書かれていますが、私なりにはそれを「ベリ」と名付けました。BERI、なのですが、これがわかるだけでこの本を読んでよかった、と思えます。

「やる気は自分から迎えに行こう」。そう、そのとおりですね。

ちなみに私はやる気になれないとき、コンピュータのゲームのソリティアをやってしまいます。でも3回もやると、「なにしてるんだろう・・・」と思って、改めて物事に向かっていけます。これはお勧めはしませんが、一応やる気を迎えに行っていることになるんでしょうか?

2009年1月18日日曜日

阪神淡路大震災

 1995年1月17日には、阪神淡路大震災があったのです。

 当時の私は医学部5年生で、もう進路(専門)を決めようとしている頃でした。

 その時の大震災でした。

 信田さよ子さんによれば、この震災後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)という概念が日本に定着したそうです。

 今でも覚えているのが、震災後のがれきの山で窃盗が横行したという報道です。その時私は、人間ってこの震災で助け合うこともできるけど、人のものを奪うというエゴにも陥ることができるんだなあ、不思議な存在だなあと思ったのでした。

 最近読んだ「加害者は変われるか?」(信田さよ子著、筑摩書房 http://psychopsycho-psycho.blogspot.com/2009/01/blog-post_10.html)の中で、阪神淡路大震災で性犯罪も横行したことを知り、ますます人間って、よくわからないと思いました。

 わからないけれども、知りたいし、付き合いたい。

 私にとっての阪神淡路大震災は、精神科医としてのなにかが構築され始めた一歩のように思えるのでした。

2009年1月17日土曜日

書評「人脈力」 岡島悦子著 東洋経済新報社 1500円 (税別)





書評「人脈力」 岡島悦子著 東洋経済新報社 1500円 (税別)

人脈を構築して、ビジネスをうまく回す、という自己主張をバンバンしていくとか、自分の実力を人に見せ付けるというような、そういうことだろうか、という疑念がありながら、普段と違う本を手に取ってみました。読んでみた内容は、全然冒頭の期待と違っていました。

重要な仕事をするには、他薦が重要である、という部分が印象に残った点でした。
 
つまり、自分でいくら「人の心の痛みがわかる」などといっていても、それは信用されないのです。他の人の評価がどうなっているのか、ということが大事です。

そして、著者のようにヘッドハンターであっても、一緒に働いてお互いに貢献し合えたという経験を共有した人からの推薦(=他薦)には、かなわないのだそうです。

つまり、仕事を得るためには、自分の力を相手にわかりやすく伝える必要があり、なおかつそれは表面的なことではわからないから普段からそれを伝えるために人と交流しましょう、ということです。

では、私のように今の仕事を得るときにお隣の、ちょっとアウトローな方からの紹介で、という場合は人脈力でしょうか…?

2009年1月16日金曜日

変わる!精神科

 精神科のサービスはいろいろあるのですが、厚生労働省の事業は本当にたくさんあります。

 例えば、精神疾患の人に対してのホームヘルプサービス。地域で生活するために、どうしていけばいいのかをその事業所が、ほとんど介護保険とそっくりですが、計画して、実行するというものです。

 また、昨日も書いたピアサポート。これは、経費をクリアできれば、私の勤務する病院(精神科病院のほう)でも、やれそうです。

 そして、経過観察児童に対するデイサービス。就学前に子供をたくさん集めて、療育よりもやや枠組みのやわらかいかかわりをしていくものです。

 どれもやりたいことばかり…。

 そして、昨日、10代の女子高生の方と「発達にばらつきがあるんですよ」というお話をしたばかりです。

 きっと今後そういう風に私とかかわる方が増えて、だんだんと発達障害や精神科の役割が変わっていけるのだなと実感しました。

2009年1月15日木曜日

何か新しいことが・・・?

 割合、多いことですが、私は毎日のノルマが決まっていると安心して生活できるタイプです。

 なんだか、藤家寛子さんのようですが・・・。

 ただ、ノルマを綺麗にこなせないこともあるのです。そういうときにはたいてい、その後でなにか新しいことが起こるのです。

 今回は、厚生労働省で予算のついているピアサポート事業のことをきいて、夢が広がっていました。外来に来ているあの人、この人にピアサポートをお願いしたいなあなどと・・・。

 夢は広がりますが、自分に出来ることもしないとね・・・。自戒でした。

2009年1月14日水曜日

自己陶酔

 昨日の外来はかなり遅くなってしまいました。終了が20時でした。

 実りの多い外来でしたし、外来に来てもらった方たちに十分話を聞けたように思ったので、私としてはいいのですが、病院としては、スタッフとしてはあまりいいと思えません。本来終了は17時なのですから、18時くらいならいざ知らず、20時はちょっと・・・。

 外来を一緒にマネジメントしてくれた看護師さんも、いいですよ、といってくれてましたが、彼女の健康も、ひいては私の健康も心配ですし・・・。

 そんな自己陶酔で、スタッフを振り回してはいけません。反省しきりの外来でした。

2009年1月12日月曜日

書評「虐待を受けた子どものプレイセラピー」 エリアナ・ギル著、西沢哲訳 誠信書房





書評「虐待を受けた子どものプレイセラピー」 エリアナ・ギル著、西沢哲訳 誠信書房

この本に関して言うと、仕事で使うつもりだったので書評を書こうと思っていなかったのですが、やはり自分のためにこうして書いております。おもしろい、と いう本ではありません。虐待を受けた子どもたちに対して、援助者としてどのようなサポート方法があるかという本です。さりとて、マニュアルと言いきれるほ ど事務的な本ではありません。これは、虐待を受けた子どもたちへのサポートとしてのセラピーに方法論が確立しきっていない、柔軟性のある分野であるからこ そ言えることでしょう。

その中で私がこの本の書評を書こうと思ったのは、数ある虐待支援の本の中で、この本がかなりわかりやすく解離症状の治療について書いているためです。

(9)解離症状の治療
  • トラウマを受けた人は解離症状を示すことがある。セラピストは解離症状の存在の有無及びその程度を適切に評価し、解離のプロセスに治療的接近を図らねばならない。
  • (子供の解離現象への対応)
  1. 言葉を作ること;「「何かをしているときに、知らず知らずのうちに気持ちがどこか別のところに行っちゃってるって言うことは誰にでもあることなのよ」→肯定した場合にこの状況に名前を付ける。
  2. 解離使用のパターンを評価する;最近起こった解離状態について聞く、どんなときに最も怒りやすいのかを聞く。→この後で、解離が起こる場合の類似性について話し合うのもよい。
  3. 解離状態に至る流れを探る;解離を防衛として用いる傾向のある人は、解離反応を生じるための独自のやり方をもっている。そこで、身体、情緒、感覚、思考に特に注意を払いながら子供に解離を起こしている「ふり」をしてもらうという方法がある。
  4. 「適 応的である」という説明;解離反応に対する肯定的コメント「人は誰でも、とても怖いことがあったり、あまりにも苦しすぎて気持ちを感じるのが大変な時があ るのよ。そんな時には誰でも、しばらくの間、心がどこか別のところに行ってしまうものなの。そうすることができるのはとてもよいことなのね」
  5. きっかけを理解する;解離がどんなときに役立つかを子供と話し合うことによって、セラピストは何が子どもの逃避反応を誘発するきっかけとなっているかを把握できる。
  6. 問 題となる情緒へのアプローチ;子供にとってどのような状況や情緒が問題となるかが同定されたら、それらの状況や情緒をセラピーによって取り扱っていくこと になる。子どもはそれらの徐著を回避したり抑圧しなくていいように、対処術を学ぶ必要がある。(例)特定の感情の外化;「怒りの絵」、「私が最も腹を立て るときは・・・」などのオープンエンドの質問を完成してもらう。
  7. 逃避反応に変わる行動の探究
  • 解離反応の治療の目標は、どのようなときに解離反応を利用するかを自分がコントロールできているのだという感じを子どもが持てるようになること、そして解離反応に変わる別の対処技術を子どもが身につけることである。

このような書き方をしている本は今までほとんど知らずにいたからです。

すべての項目を使ってサポートをと思っています。もちろん、私の依頼している心理士さんのチームがすでにしていることでもありますから、どのようにこれを統合していけばいいのかと、今考えています。

そしてこのように考えるきっかけをくれた本でした。

2009年1月11日日曜日

スポーツは、体と心を犠牲にしていないか?

 知り合いのお孫さんが、スポーツクラブの合宿中に発熱して、病院に受診したそうです。それにもかかわらず、翌日の試合に体調不良をおして出場したとか・・・。

 詳細はわかりませんが、これはいいことなのでしょうか?

 私には、どうにも納得できません。

 私にしてみれば、そんな体調不良は好きでなっているわけではないのですから、そういう時にこそ休養をとることを、スポーツの指導では伝えるべきではないでしょうか?

 そして、このような美しく聞こえる「自己犠牲」がそのあとどのくらい、体に影響するか本人も周囲の人もわからないのだろうなと思いました。

 私は確かにスポーツ全般が苦手です。でも、歩くとか走るなどは好きなのです。要するにそれが人と競争するという事態になったら、もう苦手です。そういう人間のたわごとなのかもしれませんが、「自己犠牲」が推し進められると、相手にもそれを要求してしまい、体調不良で休養をとることができず、ひいては将来的には、仕事にも影響する事態になりはしないかと心配になります。

 この「自己犠牲」が進み過ぎて、チームメイトである相手を見つめることなく「勝利」にこだわり続けるのは人間として、恐ろしいように思います。

 杞憂だといいのですが。

 ちなみに知人のお孫さんは、すっかり元気になったそうです。それを聞いてホッとしましたが。

2009年1月10日土曜日

書評「加害者は変われるか?」信田さよ子著 筑摩書房 








書評「加害者は変われるか?」信田さよ子著 筑摩書房 1500円(税別)

 加害者は変われない、というのが私 の持論です。

 なぜなら、児童虐待やDVは加害者には自分の行為が分からないから、というのが理由です。

 ただ、日常的に児童虐待やDVの被害者と会っている と、加害者が変われないとしてもそれでもその加害者と一緒にいることを選択している人がいるのです。

 混乱がありながら、この本を手に取って読みました。

 こ の本を読み終えても、その混乱はすっきりしません。加害者を教育することも大変な困難があり、被害者を守ることも今の日本では制限がある。

 しかしそれで も、著者は徹底的に目の前にいるカウンセリングにきた被害者の見方になることを選択しています。見方であって、味方ではありません。

 そして、その見方の向 こうに加害者をみて、その被害者・加害者関係のバランスをとる。私が実際にそれを実行するとしたら、いったい自分はどうなってしまうのだろうかと気が遠く なりそうになります。

2009年1月9日金曜日

叱っちゃ、だめ?

昨日の外来で、初診の方のおかあさんが話していたことが気になりました。

「この子が単なるわがままなら叱ってもいいと思いますが、障害があるのなら、と思って受診しました。学校の先生も同じ意見です」。

このコメント、障害がある子なら、叱ってはいけないという文脈にならないでしょうか?

障害がある子どもは、叱ってはいけないのでしょうか?

私は、叱るという定義は「人間の社会で生きていけないような行動をとったときに、それを改善するために、第三者がそのことを伝える行動」としています。

叱ったらいけないわけはないと思います。

たとえ、障害があってもなくても。もっというと、叱ってもらえないと、人間の社会で生きていけないようにされるという意味ではないかと思うので・・・。

ただ、昨日初めてお会いした方に、そこまでの私の考えを今は伝えるタイミングではない、と判断して、昨日はやめました。さて、いつかこれを伝えましょう・・・。

2009年1月8日木曜日

読書

 お正月は読書でした。読書三昧、という訳にはいきませんでしたが・・・。

 ただ、かなりの本が読めて、ここにお伝えするのが間に合わない感じでした。

 そして、今、息子と入浴するときに半身浴しながら読書です。息子は楽しく、お風呂のくまちゃんの湯温計で遊んでいます。20分間ですが、これも読書の時間です。

 いつの間にか私が関わらなくても、お風呂につかっていられるようになったのです。

 いつか二人で読書しながら半身浴といきたいです。まあ、小学生のうちしか一緒にお風呂には入れないのでそのときにでも、と思っています。

2009年1月7日水曜日

仕事はじめ

 昨日はちょっと遅れてですが、仕事はじめでした。

 出勤前は前回書いたようにドキドキでしたが、結果的には、昨年に来てくれた方たちと再会しての、和やかなスタートでした。

 ホッとしました。

 ただ、私の勤める病院がこの2月から建て替えるので、私の外来も騒がしくなるようです。というのも、私の外来の窓を隔てたところから工事が始まるのだそうですから…。

 それを昨日教えてもらい、ちょっと、とほほな気分になっています。

 看護師さんとは、「夏じゃないから、窓開けないし、いいとしましょう」と話したのですが、あまり騒がしいと、話が聞きにくいですよね・・・。

 実際に始まってからまた、さまざまなことがわかっていくのでしょうけれども・・・。

 そんなわけで今年の外来も始まりました。

2009年1月6日火曜日

書評「親密さの罠;Be!増刊号No.17」





書評「親密さの罠;Be!増刊号No.17」 特定非営利活動法人ASK 1000円(税別)

関係依存や DV、虐待という、まさに私が外来でみせてもらっていることが網羅された一冊です。すごいなあと思いました。

私がそう思ったのは特に、当事者の方たちの手記。

「母 の前に立つと・・・生きる力がすうっと奪われる」など、当事者の方の画像となってしまうような表現が、リアルですごいのです。

親が子供に対して「自分とこの子は 違う」と思っていない(他社性の喪失)、「不健康な親密さ」と「健康な親密さ」の違いを表している図、自分のしてほしいことをしてくれないと怒るという DVのシステム、などなど、自分にもあてはまりなおかつ、そういうことだったのかとうなづけることが満載です。

中でも、自分と相手との境界を知るリストは とても大事だと思いますし、もっと、わかりやすい言葉で編集して、小学校の副読本にしてほしいと思える本です。

2009年1月5日月曜日

書評「発達障害のある子どものきょうだいたち」




書評「発達障害のある子どものきょうだいたち」 吉川かおり著 生活書院 1300円(税別)

 タイトルからして興味をひかれた本で、即購入でした。以前、外来のときに、発達障害のある人の兄弟で、ひきこもりの状況にある人の件で相談にのったことがあるからでした。

 兄弟 が障害があるから、というよりも、障害がある人が家族にいることで周りから受ける物理的心理的状態が、つらいのではないか、と思えたのです。

 今までは私は 障害のある人の親御さんたちを支援することを主に考えていましたが、今後、兄弟も視野に入れたいと思い始めました。

 というのも、本書の以下の部分を読んだ からです。

 ≪きょうだいが受ける影響は、二次的なものと考えられていますので、兄弟に対する公的な支援はほとんどないのが実情です。しかし、二次的である にせよ自力で超えるのは大きすぎる山に立ち向かわざるを得ない人はたくさんいるのです。もちろん、きょうだいたちが出会う困難は、心理面だけではありませ ん。実際に障害児者のケアに携わる際にどうしたらいいのか、友人・金凛関係の中で障害をどう説明しどのようにふるまったらいいのか、社会から誤解や偏見を 受けた時にそれをどう捉え対処したらいいのかなど、社会・生活能力の面で支援が必要となる場面はたくさんあります≫。

 単に、障害のある人のきょうだいに読んで頂くだけではなくて、これから結婚したり、妊娠したりという可能性のある、十代の女の子たちにも、お勧めです。
 
 障害がある子どもをもったとしても、きょうだいも仲良くやっているという巻末のインタビューを特に読んでほしいものです。

2009年1月4日日曜日

どきどき

 もうすぐ仕事はじめです。今年はどんな年に仕事はなるのでしょうか・・・。

 毎年仕事はじめの前はどきどきです。

 毎年、何とか乗り切っているので、大丈夫と思うのですが、それでもどきどきするのです。

 若いころ、常勤の精神科医だった時にはいろいろありました。当時はポケベルだったのです。冬の山道で坂を登れなくて、国土交通省の人が融雪剤をまいてくれてようやく坂道を上がれるかどうか、のときに、ポケベルがけたたましく鳴ったりしました。あの時は、相当焦りましたが・・・。

 そうかと思うと、何の魅力もない私にいきなり初診の患者さんが一目惚れしたと言いだして、後を追いかけまわしたり。

 別の人からは(女の人でしたが)、妄想の対象になってしまい、毎日暴力にあったり。

 まあ、これら以上のことはないかもしれないです。

 が、毎年、これ以上のことがあるかもしれないと思うと、ドキドキしてしまうのです。

2009年1月3日土曜日

書評「自閉っ子、えっちらおっちら世を渡る」ニキ・リンコ


書評「自閉っ子、えっちらおっちら世を渡る」ニキ・リンコ著 花風社 1600円(税別)

 翻訳家ニキリンコさんの、アスペルガー症候群とつきあってきて、世の中とうまくやっていく方法を手に入れるプロセスを書いた本です。

いやいやおもしろい。

 自分との共通点を思い知って、とても楽しめてしまう。特に、冒頭からの品川にまつわる話は、私も同じようなことを経験しているので・・・。

 ただ、私の場合はニキリン コさんとはやや違っていて、知識を知ってから保温しておく(もしくは発酵する)のを楽しむのが好きなので、ここまで追求しなかっただけであるような気がし ています。ニキリンコさんのいう、「すておけ力」が私には多少あるのかもしれませんが・・・。

 この本の場合、独特の語彙と、それにまつわるエピソードが満 載で、しかも花風社の社長の浅見さんとのやりとりもニキリンコさんのエッセイの合間にあり、定型発達をしている人たちと、自閉症圏の人たちとの違いがわ かって面白いです。

 何よりこの二人の場合、やり取り自体が面白いです。

 浅見さんがニキリンコさんの物の受けとめ方、自閉っ子たちの考え方が好きなのだろうとい う点も垣間見えて、自閉っ子の楽しめるワールドへの旅のお供にぴったりです。



2009年1月1日木曜日

今年の抱負

あけましておめでとうございます。今年も考現学よろしくお願いします。

というわけで、今年の抱負を考えました。
  1. 健康;具体的には、犬の散歩と息子との散歩をすること。
  2. 仕事;やりすぎない。他の人へ依頼する。そのためには、人材育成もある。それで学会発表・・・。
  3. そのほかの活動;趣味としては編み物かな。もっといっぱい作品をと思います。最近凝っているのが、簡単にできるニット関係のもの。昨年はコースターを作ったり。そして、料理。今年も梅のジャムを作りたい!

もっとたくさんやりたいことがあるんだけれども、また追い追いに、と思っています。