2008年12月31日水曜日

10大ニュース続きです②

学会発表
 6月に米子市に行って学会発表をしました。
 
これは画期的なことなのです、私にとっては。というのは、私は2年目に北海道浦河町にある病院に勤めてから 全く学会発表をしたことがなく、しかも、最初の学会発表(研修医の時)と比べて、指導してくれる人もなく、場慣れもしておらず、心理的にもつらかったです・・・。

  もっというと、直前に子宮外妊娠と緊急手術があったので、余計つらかったです。でも、夫と二人で行けたのは、ありがたかったですが。


12月のフォトリーディングセミナー参加
 これは役に立ちました。
 勝間和代さんご推薦のセミナーだったのですだが、非常によかったです。

 これで12月中には、これまでだけで、8冊は読めていて、いつもの2倍読めているので、今後役に立ちそうです。

 いろいろありましたが、今年本当にこのブログを読んでいただきありがとうございました。

2008年12月30日火曜日

10代ニュースの続きです。

10代ニュースの続きです。仕事がらみが多いですねえ。

 ④JSPP小児精神医学教育セミナーへ参加できたこと
 毎年ながら、これは大きいです。私は何度か書いているように、自分を指導してくれる上司もいないですし、わりと、自分でやっている傾向があるのですから、こうして同じ分野の他の医師たちと出会って、意見を聞くのは本当に勉強になりますし、外来受診している人たちのためになりますから。

 ⑤
子どもの心療内科氏家医院(北海道)を見学できたこと
 来年の参考にしたいです。来年は、子どものショートケア(毎月第1第3土曜日なので短時間だからということ)と取り組んでいくことに、なりそうです。しかも、私が思っているのは中学生で、発達障害のある子どもたちがメインになりそうです。

 ⑥
秋田アディクションを考える会とのつながり
 11月22日に講演をさせてもらったのですが、今後ここの会の皆さんとの交流もどうなっていくのか、楽しみです。


 ⑦勤 務先の精神科病院の改築
 ボロボロだったのだから当然でしょうか・・・。
 でも、地域で恐れられていた病院がここまでハードウェアが変わったのことで、どう受け入れら れていくのかとてもどきどきすします。
 精神科ということでの偏見や、「ちゃんと治療できないくせに」というような批判(今のところ主にネット上でね)に は、なんとか対応していきたいものだと思います。

 ⑧
5歳児健診開始
 5歳という就学前にこそ、発達障害やほかの発達関連のチェックが必要と臨床的に思っていたので、まったくの好機としか言いようがなく楽しく引き受けていますし、来年もしたいです。

2008年12月29日月曜日

10代ニュース;その2

 10代ニュースの続きです。

 ③子宮外妊娠と緊急手術
 今年のメインイベントのひとつでしょう。あまりこういう状況になると思っていなかったので、かなりびっくりしたり、がっかりしたり・・・。

 二人目の子どもはずっとほしかったので、妊娠自体はうれしいのですが、子宮外妊娠とは・・・。当初、早期だったので、妊娠しているかどうか確認できないといわれていたのですが、その日に仕事をして家に戻り、お風呂に入った後からかなり痛みが強くて、眠れなくなりました。それでも、自分で鎮痛剤を飲んでうとうとしたのですが、たった3時間。もう、痛くて仕方無くて、救急外来に受診しました。

 そして翌日も仕事だったのです。その日は痛みもなくて大丈夫だったのですが、翌日の夕方からがひどかったです。

 痛いというか、なにもわからないのです。辛すぎて、何が起こっているのかが分からないのです。そして、歩くこともできず、吐いてばかりいて、その後から意識が遠のいてしまいました。

 そのまま救急車で搬送されて、気がついたら病院です。しかも自分の勤めている病院・・・。

 自分では知らなかったのですが、お腹の中がすごい出血だったらしく、量も半端じゃなかったようです。

 開腹手術は初めてだったのですが、手術後はくしゃみもできないと知りました。もっというと、動くこともできないし、食べられないんです。それが、信じられないくらいつらいのです。なにもできないし、何かしたいという気持ちにもなれない。このまま自分は大丈夫なのかと思ったのですが、次第に回復してきたので、人間って強いなあと実感しました。

 それから、救急車で病院に搬送されて思ったのですが、具合の悪い人にどこがどう具合が悪いのかを厳密に聞きだすのは無理だということです。

 だとしたら今まで、ずいぶん無理なことを押し付けていたものだと思って、この経験もまた自分の肥やしになったと思っているところです。

2008年12月28日日曜日

10代ニュース

 今年も押し迫ってきて、すこしずつまとめてみたくなりました。

 というわけで、10大ニュースを少しずつ書きたいと思います。

 (1)コンサータの使用開始
 日本初のADHD治療薬コンサータが昨年12月に発売開始となって、それ以後私も外来で使えるように、その研修会に行きました。東京に行ったのですが、なんともこんなにたくさんのコンサータを使う医者がいるなんて…と驚いてしまいました。

 1月の東京に、しかも前々日に熱性けいれんを起こした息子を置いて行くなんて、つらかったです。

 (2)とある向精神薬についてまとめられたこと
 ある向精神薬について、その適応外処方ではありますが、まとめて発表する機会がありました。これがとても勉強になりました。適応外なので、外来に来てくれている人には了解をとっていましたが、この薬がもっといろいろと使える可能性があるので、なんとかその適応を広げてほしいということを、発表したのです。

 今もこの薬物の適応外処方は続けているのですが、子どもたちにも使ってもらっている人がいます。子どもにも、適応が広がってもいいのに、そう思っているのですが・・・。

 (3)以降は又明日に…。

2008年12月25日木曜日

代理ミュンヒハウゼン症候群

ついに来たか、という感じの記事でした。

http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=6973 1歳の娘の点滴に「腐った水」混入、母親を逮捕

代理ミュンヒハウゼン症候群と診断されるだろう、このお母さん。記事によると他の子どもも4歳前に死亡しているということです」。
お母さんのコメントがこの診断の決め手ではないかと私は思っています。

母親は混入を認めたが、「死なせるためではなく、子どもが病気になれば、付き添って看病できると思った」と殺意は否認している。

アメリカでは、ずいぶんたくさんのこの症候群の診断を受けた人がいたと、私が医者になって3年目くらいでよく聞きました。そのころ、子どもの虐待について、私もずいぶん示唆をうけて気にするようになったので、この症候群がとても気にかかってしまっていたのでした。

そして、私が医者になって12年目で、日本でもこの症候群がこうしてメディアの俎上に乗るようになったのです。

アメリカを日本が追いかけているという構図はあらゆる点で見られていたと思いますが、以前は20年か30年サイクルだったのでは・・・。でも、こうしてたった10年以内に繰り返しています・・・。

医者になって3年目のとき私は、この症候群はきっといずれ日本でも起こるだろうと思っていたが、ここまで早いとは思医も寄りませんでした。きっと、私の身近にも、このような人がいるのでしょう・・・。

子どものために、何とかこれを未然に防いだり、起こさなくすることは出来ないでしょうか?

それにしてもこの事件で、最初に亡くなった子どもの事件をもっと精密に捜査していたら、展開は変わっていたでしょう。秋田県藤里町の事件との類似を思ったものです。

以下に、Wikipediaから定義の引用です。

代理ミュンヒハウゼン症候群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

代理ミュンヒハウゼン症候群(だいりミュンヒハウゼンしょうこうぐん、Munchausen Syndrome by Proxy, MSbP)とはミュンヒハウゼン症候群の一形態であって、傷害の対象が自分自身ではなく何か代理のものであるような精神疾患である。

多くの場合傷害対象は自らの子どもであるため、児童虐待と 同列に挙げられることも多い。しかしながら傷害行為自体は患者の目的ではなく、手段として傷害行為に及ぶことで、自らの精神的満足を他者から得ようとして いるものである。子どもが患者の傷害の対象である症例では、患者は傷害を目的として行っているわけではないとはいえ、行為が反復・継続し、重篤な傷害を負 わされる危険があるので、早急に対策を行う必要がある。傷害の対象と患者を隔離すれば、直ちに「傷害」は改善する。

2008年12月23日火曜日

「女性の健康手帳」

[MTpro] 「女性の健康手帳」構想を打ち出す/生涯にわたる健康情�
 
 素朴な疑問ですが、「男性の健康手帳」は、必要ないのでしょうか?私は、言葉の上げ足をとるつもりはありませんが、ただの「健康手帳」ならばそれほど引っ掛かりもなかったと思いますが、「女性の」とついてしまうと、それでいいのだろうかと思える私です。

 職場で、男性の医療者の方たちともちろんあいますが、どうも全体的に忙しすぎて不健康に思います。ストレスもすごいのでしょう。

 それがもしかしたらすべて家族や、極端に言うと患者さんに跳ね返っていくのではないでしょうか?

 そう考えると、とうてい「女性」だけの健康手帳でいいと思えないのですが。どうでしょうか?

2008年12月22日月曜日

医者と依存症と

医療一般 | 医療ニュース | CareNet.com国立病院医師、酔って小田急線止める…「覚えていない」

 多くの人たちは、おそらくこのような行動に関してモラルの問題、とコメントされると思うのですが、私psychoはそうは思いません。

 もちろん、モラルの問題が全くないとも言いませんが。

 おそらく記事のこの方はアルコール依存症なのではないかと思います。そうではなくて、単に罪を逃れるために「覚えていない」と酩酊による記憶喪失(ブラックアウトと言いますよね)を装っているのなら、それはモラルとして相当いけないことですが。

 実は医師は、依存症は多いようです。私の実感ですが。

 アルコール依存症は相当数おられると思います。私もこれまで勤めた病院で数々そう思われる方と会いました。まず、外来の開始時間を守れないのです。そして、すぐに患者さんを怒る、看護師さんに対してキレる、などです。

 一番困るのが、アルコールで酩酊して、事故にあってしまうことです。私が知っている中では、酔って側溝に転落して両足を骨折して手術できなくなった外科系の医師がいます。また、最悪な場合は交通事故で亡くなってしまうこともあります。

 アルコールだけではないと思います。

 新聞記事で以前に読みましたが、10数年前に東京の私立の大学病院で麻薬を過量投与して亡くなったと思しき方がいた、と記憶しています。

 なによりも、Alcholics Anonymus;AA匿名のアルコール依存症者たち、という自助グループを開設した最初のボブの職業が外科医ですから、依存症と医師は深い関連があるのでしょう。

 また、困るのが、なかなか治療を受けないことです。プライドなのか、職を失うかもしれないという不安なのかわかりませんが、医師で依存症と思われる人は多くても、実際に治療を受けているという人に私はお会いしたことがありません。

 この医師不足の中、疾患があったからと言って(アルコールなどの依存症は立派な疾患です)、すぐに解雇されることはあり得ないでしょう。後は、プライドだけ・・・。

 といっても、このプライドが厄介です・・・。もちろん、私にもありますし、プライドがあったほうが医師としてのパフォーマンス向上に役立つでしょうが、この場合はちょっと…。

 どうしたらいいものでしょうか・・・。

2008年12月21日日曜日

「大好き」が増えるということ

 息子と接する時間がかなりあるのですが、彼の人生をみていると、子どもの人生とは「好きなもの」が増えるプロセスなのかもしれない、と感じます。

 生まれて1歳を過ぎるころには、かなり手足を動かせるようになった息子ですが、当初は散歩はあまり好きではありませんでした。それが、今では何回も連れて歩いているうちにずいぶん楽しみにするようになりました。

 消防車も救急車も以前は全然関心を示さなかったのですが、「乗り物絵本」のイラストタッチが彼のお気に召したらしく、以来、消防車・救急車は彼にとっての「大好き」です。

 そして、親である私。最初は、とくに関心を持ってもらえなかった(生後1か月くらいはそう見えてしまいます)のですが、今では「おかあしゃん」がいないと、夜も昼も開けず、昼寝もままならない、というくらい熱烈なラブコールを頂いています。

 そう考えると、外来に来ている子供たちに、どうやって「子供の精神科に来てよかった」と思ってもらえるかどうか。「大好き」の増えるプロセスに、子どもの精神科も参加したいと思います。

2008年12月20日土曜日

ストレスのたまるお仕事?

 「精神科医です」と、自己紹介すると、ほとんどの人が「ストレスのたまるお仕事ですね」と、コメントされます。

 そうでしょうか・・・?私はそんなふうに思ったことはないのですが・・・。

 すごい時は、息子を妊娠していると職場の同僚たちに話した時のことです。同僚たち、と言っても精神科医はひとりもいませんが。ある人が、「なんだか、胎教に悪い外来ですよね」と言ったのです。

 しつこいようですが、私はそんなふうに思ったことはないのです・・・。

 蛇足ですが、胎教に良かったか悪かったかは息子をみてほしいものです。私から見れば彼は、とてもよく育っているので、胎教に悪いということはないんじゃないでしょうか・・・。

 精神科に対して、同じ医療関係者でもこんなふうに実は思っているのだなあと暗澹としてしまいました。

 まあ、確かに、同じ話を長く聞かされると疲れることはありますが、人間という存在の多様性を見せつけられると、私は面白いなあと思えてしまうタイプなので、まったく苦痛ではないです。

 ただ、この年末年始で結構外来が混んでしまっていて(私がついつい年前に皆さんの様子が知りたくて予約を入れてしまったのですが)、そういうときは、「ああ、つらいー」と看護師さんに愚痴るときはありますが。

2008年12月18日木曜日

「アイデアのつくり方」







「アイデアのつくり方」 ジェームズ・W・ヤング著 今井茂雄訳 阪急コミュニケーションズ 777円(税別)



 ア イデアをつくるときは、どうしたらいいのかということがこの薄い本に書かれています。

 それは今まで私がしてきたことではあるので、私にとっては復習が出来 て嬉しい本でした。

 詳細は本文に譲るとして、面白いなと思ったのはアイデアが生まれるためには、資料を集めてアイデアを温める段階(=孵化段階)と、その 後に常に考え続ける段階が必要であるというふたつが必要であると言うことでした。

 アイデアを温めるために、たとえばシャーロック・ホームズは音楽会に行く など、アイデア以外のことをふと考える必要がある、ということです。

 なおかつ、常に考え続けるという、この葛藤・・・。でも、そのとおりなのです。そこが アイデアを出す難しい点でしょう。この本を読んでいると、その葛藤がアイデアの栄養であるのではないか、と思えてきます。

2008年12月16日火曜日

「私たち、発達障害と生きてます」


書評「私たち、発達障害と生きてます」 高森明、木下千紗子、南雲明彦、高橋今日子他著 ぶどう社 1700円(税別)

 発 達障害の当事者の人たちが、診断されるまで、診断される前後の困難、サバイバルなどについてその人なりの視点で書いた本です。

 特に興味をひかれたのは、アスペルガー症候群の当事者である高森明さんが、章の間で書いているコラムで「中途診断者の魅力的な側面」と題して書いている点です。

 中途診断者は、私の外 来にもたくさん来ますが、子どもの時から支援を受けているわけではないので、なかなか本人ご自身も、周りも受け入れがよくなくて、私は対応に苦労している 側面があるのですが、これを肯定的に受け止めている次の一文がとても気に入りました。

 「しかし、私は敢えて、早期に診断を受けた当事者とは別の意味で有意 義な人生だったと考えたい。その苦労と引き換えに、中途診断者は実体験を通してマニュアルにはない経験を蓄積していった。マニュアルにはない「生きるため の知や技」を身につけていった。おそらくだれよりも多くの試行錯誤を行わなければならなかっただろう。(中略)文字通り、社会を体全体で味わってきたと 言ってもいいかもしれない。この経験は一つの財産といってもよい」。

2008年12月15日月曜日

小道具

 
 診察室にある、これは、なんでしょう?

 正解はコルクタイルです。いったい何に使うか、というと、外来に子供が来てくれたときにつかいます。子どもたちは、椅子になんて座っていられないのです。それは、ADHDとか、発達障害があるかどうかは、関係なくどこでも遊びたがるのです。

 ベッドの上でもいいのでしょうが、落ちてしまいそうで怖いのです。

 というわけで、このコルクタイルの登場!です。

 たいがい、男の子がブロックで遊び、女の子がぬいぐるみでごっこ遊びです。これで遊んでくれているあいだに、私はお母さん、お父さんとお話です。

 このコルクタイルで遊んでもらうと、意外な一面をみることもできます。けっこう器用なんだ、とか、お母さんというイメージに対して肯定的なんだ、とかです。

  というわけで、診察時の私のお気に入りです。

2008年12月14日日曜日

セレンディピティ


書評 「起きていることはすべて正しい」勝間和代著 ダイアモンド社 1500円(税別)

 この本では、勝間和代さんがどのようにして生きているかということが詳細に書かれていて、今後の私の人生の送り方で参考になりました。

 おそらく、どの人が 読んでもそのような読み方が可能かと思います。

 私は中でも、一章のメンタル筋力の鍛え方について書かれている点がとても面白いと思いました。というのも、 自分がこれまで人生を送ってきていても、勝間さんが言うメンタル筋力(打たれ強さとにていると、勝間さんは表現しています)がかなり必要であったからで す。

 そして、これを鍛えることで、勝間さんがえてきたような成功を、単に知識ではなくて、技術や行動にできるということです。

 これがなかなかできそうでで きないものですが、この本を読むことでそれができていくことだろうと思い、今後の自分の人生が楽しみになってきました。

2008年12月13日土曜日

非寛容

m3.com :強まる“非寛容”への懸念 香山リカのココロの万華鏡

 このブログを読んで、あまり関係ないかもしれませんが昨日外来に来てくれた人を思い出しました。正確に言うと、その方の体験というべきでしょう。
 
 その方は、医療関係者で、うつ病で日勤しかできないという診断書を出しています。そのことを、暗に非難している一部の人が職場にいるそうです。その方は、昨日の外来で「くやしい」と声を詰まらせて泣いていました。

 その方が医療関係者なので、職場の人も医療関係者なのです。情けないというか、人のことを考えないで、自分だけの基準で生きていけると思いこんでいる人がいるんだなあと、がっくりくるやら、新しい考え方に驚いたというべきか・・・。

 今職場でその人が日勤だけしかできないとしても、その人がもしも仮にいなくなったら、病床も減らさないといけないのです。医療を提供する基準が満たされないわけですから。だとしたら、自分の職場が縮小したりしないために、その人が働きやすくする様に環境を整えるのが職場の同僚や仲間というものではないでしょうか?それがわからない、という人のことが、私はわかりません。

 まあ、そんなこんなで、非常に怒りつつ書いているのですが・・・。

 もしもこういうことがもう一度あったら、その職場に勧告というか、労働基準についてどうでしょうか、などと管理職と話をしたいくらいなんですが。

 こんなふうに非寛容な状況が続くなんて、つらいものです。

 

2008年12月12日金曜日

発達障害の人の「パニック」

 わりとすぐにパニックになってしまう発達障害の小学生が私の外来に来ています。昨日も来てくれました。

 男の子なんですが、彼の悩みは、学校でみんなと一緒に授業を受けたいのに、パニックがあるのでそうできないということです。

 彼のいいところはかなりの集中力。ただ、それがかなり集中してしまい(彼によると集中しすぎ)、読書をしていると、制限時間を告げる声が聞こえないくらいです。そうしているうちに、授業になってしまい、気がついたときにパニックになってしまうということなのだそうで・・・。

 私としては、そんなに頑張って学校になじまなくてもいいんじゃないかと思う面もあります。でも、彼の希望は学校でみんなと一緒にいたいということなのです。

 私が、これはつらいだろうと思うことは、学校になじめないことで彼の自己評価が低くなっていると思える点でした。

 私の意見だけど、という前提で次のような話はさせてもらいました。

 学校へはおそらくあと10年くらいいくだろうと思うけれども、そこになじむことに頑張りすぎて、あなたのいい集中力がある点などを押し殺すのは、どうなんだろうなあ、ということ、透明人間になれるようなレインコートとかあればいいけどなあという話でした。

 パニックの話の間中、彼は落ち着かない様子で、廊下と診察室を出たり入ったりしていました。最後には私の話を聞いてうつむいていたのでした。

 何かもうちょっと力になれればいいのですが。

 彼の診察は次回が、学校と3回目の話し合いです。解決策がでなくても、関係者と仲良くなれることもひとつの方法、と以前の上司が教えてくれたことを思い出しながら、向き合いたいのです。

 

2008年12月11日木曜日

親子

 患者さんの親御さんたちと、よくお話しさせていただいてます。

 親御さんたちは、ご本人が病気なので、たとえ成人していても心配で心配で仕方ないと言う方が多いのです。それはそうだろうなあと思うのです。私が同じ立場でも、そう思うでしょうから。

 ただ、心配が高じて子ども扱いしてしまうことも多いのです・・・。

 こうなってしまうとどうしても、患者さんご本人と親御さんとの関係があまりよくならないことが多いのですね・・・。

 患者さんご本人にしてみると、「親がうざったい」ということになるのです。親御さんにしてみると、「心配してるのに!」となってしまって、けんかになったり・・・。

 そうかと思うと、親御さんが私に「親の言っていることは正しいですよね!?」と私に仲裁を求めたり・・・。

 うーん、むずかしいです。

2008年12月8日月曜日

コスト

 東京の、とある研修会に参加しました。

 そのときに、昼食で有名料亭のお弁当が出ました。その時には、そこがそこまで有名とは知らなかったのですが、先入観なく頂いてみて驚きました。

 私が普段頂いている食事のほうが、おいしかったのです。

 私の食べるものは、夫や私自身、そして、家事をお願いしている人が作ります。時に、実家の母が応援に来てくれますが。

 その、どれもの味が今回頂いたお弁当を上回っていたのです。これは大変な驚きでした。

 私は地方に住んでいるせいか、東京の情報や東京で作られたものをとてもありがたがる傾向があったのですが、自分の周辺のほうがもしかしたら、いいものがあるのかもしれない、そんなふうに思えたのです。もちろん、好みはあるでしょうけれども。

 そう考えると、情報やものを求めてわざわざ東京へ行くことが疑問に私は思えました。

 ただ、人が集まっているといいことも多いので一概には言いきれないと思いますが・・・。

 地方は、自然も多いし、食物は新鮮だし、情報はネットがあるし、東京との比較で不利な点が減ってきているのではないかなあと実感してしまいました。

 そして、うがった見方でしょうが、東京はそういう意味でコスト高な場所になっているような気がしてしまいました。

2008年12月6日土曜日

こころやすらぐところ

 とあることで、東京に来ています。3泊4日です。

 いつ来ても、刺激の多いところだなあと思います。人も多いし、お店も多いし、情報も多いところです。それがいいところだと思います。

 ただ、普段がそのようなところに生活していない私としては、東京に来るだけで疲れる感じでした。まして、今回は直前に風邪をひき、インフルエンザの予防接種をして、おそらくそれが原因でじんましんが起こりそうになっての上でなので、余計にそうでした。

 でも、探せば心やすらぐところがあるのです。カフェグルッペというところです。http://www.gruppe-inc.com/

 こういう感じのお店が好きなのです。味があまり濃くなくて、素材そのものの味がよいというところ。一階の自然食品店も、私の好きなドライフルーツが充実していて、いいです。

 こういうところを、近所にも作れたらなあ・・・。

 妄想ですが。

 ただ、外来に来てくれている人の中で、農業をやりたいということで頑張っている人がいるので、その人が中心になってくれて、農業・加工・販売・カフェ、なんてやってもらえたら・・・いいなあ・・・。

 他力本願な妄想ですが。


2008年12月4日木曜日

箱庭療法の砂

 勤務先の精神科病院で、箱庭療法をやっています。

 それって、何?と言う方が多いので、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%B1%E5%BA%AD%E7%99%82%E6%B3%95にアクセスしてみてください。写真もあって、とってもわかりやすいです。

 もっというと私がやるわけじゃないのです。臨床心理士の先生にお願いしています。


 ただ、けっこう面白いのが、発達障害のこどもたちは(特に男の子)その箱庭の砂を投げたり、ゴミ箱へ捨てたり、砂の感触を楽しんだりするのです。

 こういうふうに、感覚が多少過敏だったり、過敏すぎてつらいことがある人たちも、この砂は好きなんだなあと思うと、ほっとします。

 でも、心理士の先生たちに投げつけるのは、やめて欲しい・・・。もちろん彼らに悪気はなくて、心理士の先生たちも楽しんでいるのですが、箱庭療法直後の先生たちが髪が白くなっていると、私が驚いちゃって、ドキドキするから困るのです。

2008年12月3日水曜日

ゲームやテレビの悪とは

 最近、息子と二人で通勤途中に名作童話のテープを聞いています。これは私が子供のころに聞いていたものです。

 息子もそう嫌いではないらしく、じいっと聞きいっています。

 ただ、意外と教育的にどうかと思うものもあるのです。あくまでも私としては息子にそのようなことを伝えたいと思わないので、私見に過ぎないですが。

 たとえば、「アリババと40人の盗賊」。簡単に殺しちゃったり、死んだりするんですよね。アリババの兄さんが殺されたり、アリババの召使が盗賊を油で殺しちゃったり。盗賊が出るから仕方ないのでしょうけど。人って、簡単に殺せちゃうんだって、伝えたくない・・・。

 ただこう考えて思ったのですが、別にゲームやテレビだけが暴力や殺人のシーンを伝えていたわけではないのですよ。口伝えのアラビアンナイトでも、こういう描写があったのです。だから必ずしもゲームやテレビ・ビデオだけが悪いわけではないと私は思うのですが。

 まあ、口伝えは単に聴覚に訴えるだけかもしれませんが、ゲームやテレビは視覚、聴覚と訴える部分が多いといえばそうですねえ・・・。

 とりあえず、「アリババと40人の盗賊」はお蔵入りにしたいです。

2008年12月2日火曜日

年齢

 昨日書いた、「竜の眠る星」」という作品ですが、確か高校生の頃に単行本で読みました。

 しかも、昨日書いたブログにちょっと出てきた「ブレードランナー」という映画は1982年公開なんですね。私は、公開直後ではなくて、数年たってから高校生の時に観ました。

 ここまで書いてびっくり。

 年取ったなあ・・・。1980年代なんて、昨日だと思っていたのに、20年以上前なんですね。いや、もうすぐ30年前ですか。

 そうかあ、2000年代生まれの外来に来てくれる子たちがいて、仰天していましたが、彼らにすれば私のほうが仰天ですね。

2008年12月1日月曜日

ロボットが・・・。


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2008/11/28(金)

No.M005676

ロボットが高齢者介助を行うようになる日は近い

米国では、高齢者が直面する介助者不足の問題を解消するために、ロボットが利用される日がそう遠くないという。米マサチューセッツ大学アマーストAmherst校のRod Grupen氏らが開発中のロボットuBOT-5はその一つ。

uBOT-5は、人の目や耳を模した無数のセンサーが常に周囲を監視し、人の転倒や無反応などの異常を察知して救急車を呼ぶなどの対応をするようプログラムされている。ロボットの腕は両方とも2.2ポンド(約1キロ)の重さの物を持ち上げることができ、高いところの物を取る、床から物を拾う、うつ伏せになってベッドの下へ入ることも可能。

また、権限をもつ利用者なら誰でもインターネット回線を通じてロボットの中に「入る」ことができ、映像と音声で相手と会話しながら、ロボットを動かして物を拾うなどの簡単な作業もできる。現在の試作型は1台6万5,000ドル(約620万円)だが、販売時には1台5,000ドル(約47万5,000円)となり、あとは毎月のインターネット接続料程度の出費になるものとGrupen氏は予想している。

高齢者や身体障害者の介助をするロボットの必要性は高いとGrupen氏は指摘する。国勢調査によると、米国では65歳以上の人口が2030年には2倍になり、その3分の2が長期的な介助を必要とすると考えられる。一方で看護師や介護者は不足しており、専門家は2020年には看護師が80万人不足すると予測している

このほかにも、米マサチューセッツ工科大学(MIT、ボストン)では、命令一つで病院や養護施設内のある場所から別の場所へ利用者を運ぶことのできる「自律的車いす(autonomous wheelchair)」が開発中である。この車いすは、初めて施設に来た時点では何も知識をもたないが、スタッフが電源を入れ、各部屋を移動しながら人に話すのと同じように口頭で案内することによって、あらゆる場所から場所への経路を覚えるという。その後、車いすを使用する脳卒中や四肢麻痺の患者が「451号室へ」などというだけで、理解してその通りに動くことができる。この車いすは2年以内にボストン地区の養護施設で試験利用される予定だという。

米ジョージア工科大学(アトランタ)では、Charlie Kemp氏率いる研究グループが、介助犬に着想を得た介助ロボットを開発している。ロボットが行うのに適した仕事は何か、どのような方法で指示を出せばよいか、実際にどのように仕事をこなすか、という3つの疑問を解決するのに、介助犬の仕事がヒントになったという。このロボットは、引き出しを開ける、ドアノブを回す、灯りをつけるといった仕事をこなす。

利用者はレーザーポインターを用いて指示を出し、介助犬の場合と同じように、ドアノブにタオルを結びつけるなど、ロボットが仕事をしやすいよう部屋に工夫をする。優れた介助犬には及ばないが、介助犬購入費用(1万6,000ドル、約150万円)や何年も待たねばならない状況を考えれば需要はあるはずだとKemp氏は述べている。

[2008年11月18日/HealthDayNews]
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(以下、psycho)

 「竜の眠る星」(清水玲子)という漫画をご存知でしょうか?ロボットが人間とかかわっておりなす物語なのだが、これを読んだころ私が思ったのは、ロボットが人間の代わりをするというのはいずれ起こるなということでした。

 果せるかな、映画では「ブレードランナー」などそういう状況が生まれ、そして、医者になったとき、介護スタッフの人手不足を知った時に、この漫画を思い出しました。

 ただし、介護ロボットのメリット、デメリットを推し量る必要はあるでしょう。メリットは、単純作業に強いということかもしれません。体交や、水分をどのくらい摂取したかを管理するのは得意かもしれないのです。デメリットは応用が利かないこと。今日は体調が悪そうだから食事内容はこういう風に・・・などとは難しいでしょう。

 人とロボットでどんなふうにバランスを取ってやり取りできるかが、ロボットと一緒に介護する上でポイントじゃあないかと思うのですが・・・。

 私が生きているうちに、介護ロボットが現れるかもしれません。そのときには、「竜の眠る星」のエレナのような素敵なロボットから介護されたいのですが・・・。どうなりますか・・・。