私自身が外来で、来てくれた人に伝えるときに思うのですが、いまさらながら、発達障害って、いったい何なのだろうか、ということです。
突き詰めると、発達に障害がない、完璧に発達している人って、いるものなのでしょうか?
そして、完璧に発達した人とは、どんな人なのでしょうか?一緒にいて楽しくなったり、もっと話をしたい、一緒にいたいと思える人なんでしょうか?
このことは、逆説的でありながら、私にとっての真実だと思うのです。
つまり、発達が完ぺきな人はおそらくいなくて、どんな人も発達という観点では、ばらつきがある。
むしろ生きていくうえで大事なのは、人とどのくらい関われるか、どのくらい楽しく付き合えるか、どのくらい自分を人間関係で表現できるか、によると思うのです。
だからこそ、発達障害と呼ばれる子どもたちは悩むし、私もそのことを言葉で伝えるのには、悩みます。
先だって、とても驚いたことがありました。
発達障害のある、パニックを起こしやすい小学生がずっと受診してくれているのですが、その人が担当の心理士の先生(心理療法を行っている)の名前をだして、「早く会いたいんだよね。もう(診察を)終わってもいい?(そして引き続いて心理療法なので)」と私に言ったのです。
その人のことを私はずっと、(人とあまりかかわりたがらないタイプ)と勝手に思っていたので、とても意外でした。
そして、心理士の先生のところへ喜び勇んで駆け寄ったのです。
人とかかわることが、好きになったんだあ、とうれしくなりました。
お母さんによると、友達というか一緒に行動できる人も増えてきたようです。
発達が完ぺきである必要なんてなくて、自分がかかわっている人とどのくらいたのしめるか、だと思います。
そして、発達障害を矯正するところではなくて、自分がかかわっている人と楽しめる生活ができる方法を伝えるという外来であると、伝えたいのです。
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