2009年5月11日月曜日

ビデオ上映会「ひきこもりのすすめ」

 5月10日はすくーるばくで、ビデオ上映会でした。

 べてるのビデオ、精神分裂病を生きるシリーズ7巻「ひきこもりのすすめ」を観ました。

 私はかねてから外来で、ひきこもりの人たちに、というか、ひきこもりの経験のある人たちというべきでしょうが、その人たちに、「なぜひきこもりをしたのか」という問いを出すのは、どうもおかしい、と思っていました。

 なぜか、というと、ひきこもる理由なんて、おそらく忘れてしまったりというようなものだと思うのです。その、本人でさえ忘れてしまったことを追求して、ひきこもっている苦しさに目を向けないのは、どうなんだろうと思っているからです。

 たしかにあまりひきこもりの苦しさに目を向けてもつらいかもしれませんが、理由や原因を追求しすぎるのもどうなのかと思えるのです。

 このビデオでは、原因やひきこもりの解決について、あまり積極的に語ってはいません。

 むしろ、このビデオの特記すべき点は、「ひきこもりはプラスになる」という主張です。

 自己を見つめる時間であり、自分にとって、何が大切なのかを見極める時間だというのが、ビデオに登場するメンバーの山本さんの主張です。

 登場するメンバー全員は、およそ考えうるすべての、つらい体験をひきこもりによってします。自責感から死を考えたり、人とかかわることも含めて、新しいことに向き合うたびにひきこもり、自己肯定感を削っていったり・・・。

 身体的な死も考えるメンバーですが、むしろ彼らを苦しめているのは、ひきこもりによって社会的な「死」を体験したことです。

 ただ、ここで価値観の大転換が起こるのですが、何かのポイント(それはどうも個々人で違うようですが)で、ひきこもりの体験をプラスにとらえられたときに、ある種の「強さ」が得られるようです。

 このビデオは、その「強さ」を得るまでの軌跡、私はそう思います。

 こんな難しいことを考えずとも、親子みんなで楽しめるビデオなのでお勧めします。

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