
書評「温かい死体と冷たい死体」上野正彦著(朝日新聞出版社) 1300円(税別)
監察医としての経験を踏まえて、人がどんな亡くなり方をしたのか、その法医学的解釈を集めた本です。ノンフィクション(もちろん、プライバシーには配慮しています)が、人の想像をどれだけ越えられるか、それが体験できる本でもあります。
私は学生時代に、著者の本を読んで法医学を志したので、このおもしろさが「あのころと同じだ」と思えました。
ただ、変わったのは私のほうでした。学生時代は、私はおそらく著者に自分自身を投影していたのでしょう。人って、こんな風に人生を終えるんだ、それを突き止められるなんて、おもしろいなあと思っていたのです。
でも、今は、著者に、ではなくて、登場する「死体」やその家族に自分を合わせてしまうのです。
つまり、学生時代と違って子供がいるために、子どもの亡くなる話には、身につまされてしまい、老いを感じなくはないので、若いころには全く何でもないサウ ナや入浴で亡くなるお年寄りが身近に感じられ、ガスの元栓を閉め忘れたために浴室で一酸化炭素中毒で亡くなる人に自分のうっかりを合わせてしまいます。
自分が変わったのです。そうなると、人生が哀しいという面から見えて、以前はおよそ感じなかったせつなさがわいてきて、ああ、つらいなあと思ってしまいます。
とはいえ、結局は面白くて、読んでしまうのですが・・・。
0 件のコメント:
コメントを投稿