2009年1月5日月曜日

書評「発達障害のある子どものきょうだいたち」




書評「発達障害のある子どものきょうだいたち」 吉川かおり著 生活書院 1300円(税別)

 タイトルからして興味をひかれた本で、即購入でした。以前、外来のときに、発達障害のある人の兄弟で、ひきこもりの状況にある人の件で相談にのったことがあるからでした。

 兄弟 が障害があるから、というよりも、障害がある人が家族にいることで周りから受ける物理的心理的状態が、つらいのではないか、と思えたのです。

 今までは私は 障害のある人の親御さんたちを支援することを主に考えていましたが、今後、兄弟も視野に入れたいと思い始めました。

 というのも、本書の以下の部分を読んだ からです。

 ≪きょうだいが受ける影響は、二次的なものと考えられていますので、兄弟に対する公的な支援はほとんどないのが実情です。しかし、二次的である にせよ自力で超えるのは大きすぎる山に立ち向かわざるを得ない人はたくさんいるのです。もちろん、きょうだいたちが出会う困難は、心理面だけではありませ ん。実際に障害児者のケアに携わる際にどうしたらいいのか、友人・金凛関係の中で障害をどう説明しどのようにふるまったらいいのか、社会から誤解や偏見を 受けた時にそれをどう捉え対処したらいいのかなど、社会・生活能力の面で支援が必要となる場面はたくさんあります≫。

 単に、障害のある人のきょうだいに読んで頂くだけではなくて、これから結婚したり、妊娠したりという可能性のある、十代の女の子たちにも、お勧めです。
 
 障害がある子どもをもったとしても、きょうだいも仲良くやっているという巻末のインタビューを特に読んでほしいものです。

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