ニコチンの依存症は、たしかに「依存症」だしね、と思える記事でした。
- ≪ひょっとして抗うつ薬のほうが禁煙補助薬より有効かも?≫
- 抗うつ薬|禁煙補助薬|バレニクリン|チャンピックス|ノルトリプチリン
世 界中で一般的に用いられている禁煙治療の薬剤は3つある。1つは経口禁煙補助薬バレニクリン酒石酸塩(チャンピックス;2008年1月承認)、あとの2つ は抗うつ薬で、bupropionとノルトリプチリン(ノリトレン)である。このうちノルトリプチリンをめぐる試験結果で、禁煙補助剤+ノルトリプチリン が、禁煙補助剤単独よりも有効とする報告があり、「それが事実なら、禁煙補助剤+ノルトリプチリンはバレニクリンよりも有効では」と、英国バーミンガム大 学プライマリ・ケア/公衆衛生部門のPaul Aveyard氏らが、最適治療選択を目的とするプラセボ対照無作為化試験を実施した。BMJ誌2008年5月31日号(オンライン版2008年4月27 日号)掲載より。
禁煙補助剤+ノルトリプチリンをプラセボ対照無作為化試験
試験は英 国の国民健康保険NHS(National Health Service)対象の禁煙治療クリニックで行われた。1日10本以上喫煙する18歳以上の禁煙希望者を試験適格者として参加者を募集。ノルトリプチリ ン・禁煙補助剤禁忌や他の抗うつ薬を服用している者を除外し対象として901例が選定された。
参加者は無作為で禁煙補助剤+ノルトリプチリン(445例)もしくはプラセボ服用群(456例)に割り付けられた。禁煙補助剤の選択は対象者に行ってもらい、服薬を厳守してもらえるよう書面での情報提供や看護師による電話相談サポートを提供して実施。
服薬は、禁煙開始日の1~2週前から開始。最初の3日間は25mg/日、続く4日は50mg/日、以後最大投与量として75mg/日を最大6週間、その後1週間減量投与し、試験トータル8週間として行われた。
主要評価項目は6ヵ月時点で禁煙が続いているか、副次評価項目は12ヵ月時点で禁煙が続いているか、薬物の使用状況、副作用重症度評価、ニコチン離脱症状と喫煙衝動。
併用療法の有効性確認できず
6ヵ月時点で禁煙できていたのは、ノルトリプチリン群72例(16%)、プラセボ群55例(12%)、相対リスクは1.34(95%信頼区間:0.97~1.86)だった。
12ヵ月時点では、ノルトリプチリン群49例(11%)、プラセボ群40例(9%)で、相対リスクは1.87(0.84~1.26)。
禁煙開始日以降に禁煙補助剤+薬剤(両群中央値75mg/日)を行っていたのは、ノルトリプチリン群337例(79%)、プラセボ群325例(75%)で、服薬の割合はプラセボ群のほうがノルトリプチリン群よりも低かった。
副作用に関しては、口渇や便秘を訴えたのはノルトリプチリン群のほうがプラセボ群よりも顕著に高かった。ただし発汗や薬物効果への疑念を呈した割合については僅差だった。
喫煙衝動は両群ともほぼ変わらない。ただしノルトリプチリン群のほうが抑うつ感や不安が抑えられていたが、離脱症状のスコアは全体として相違はなかった。
これらからAveyard氏は、「ノルトリプチリン、禁煙補助剤はいずれもそれぞれに禁煙治療に効果的である。しかし組み合わせての併用療法は単独療法ほどの効果はなく、併用療法が単独療法より効果的であるとのエビデンスは得られなかった」と結論づけた。
この記事を読んで、依存症の人はうつになりやすいことを思い出しました。はっきりと、この文献でそう言っていた、とは言えないのですが(勉強不足でしょう。すみません)、私の出会った依存症の人たちはうつの傾向をもっている人たちが多かったです。
そうじゃない人もいると思うので、これは私の感想ですが、少なからぬ精神科医はそう思うのでは?と感じています。
喫煙、しかもヘビースモーカーは「ニコチン依存症」です。いや、ヘビーじゃなくてもそういっていいのではないかと私は思っています。その人たちが、アルコール依存症の人たちと同様に依存物質を断ったら、それは離脱症状もあるし、うつにもなりやすいだろうと思います。
そういうわけで私は、禁煙治療には、抗うつ薬を使うだろうと思います。
私は、ただ、ひとりにしか禁煙治療をしたことがありません。
かなり昔で、レイプの被害者の人です。その人は、部屋でたばこを吸っている時だけが、レイプのことを忘れられてほっとした、そういいました。でも、やめたかった、そういっていたので、ニコチンパッチを使いました。そして、レイプでのPTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して抗うつ薬を使っていました。
効果があったかどうか、よくわかりません。
その人は、たばこを止められましたが、今度は、ベンゾジアゼピン系の薬剤に依存していきました。
そう、ニコチン依存症が仮に改善したとしても、次にはまた別の依存対象を見つけて依存していくかもしれない。そのことをこの記事は、というか、この論文著者は考えていないと思うのですが、それも大事だと思うのですが。
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