2008年11月6日木曜日

誤診って…

シリーズこころ これ、統合失調症?
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20081029-OYT8T00167.htm

医師の問診不十分で誤診


統合失調症と誤診された患者に処方された1か月分の薬。抗精神病薬など13種類にのぼった

 妄想や幻覚が表れる統合失調症で、治療を受けている患者は約70万人にのぼるとされる。一方、うつ病など心身の不調で受診したところ、統合失調症と誤診され、適切な治療を受けられない例も少なくない。

 東京都の男性会社員(55)は、その一人。2005年秋、ひどいだるさや不眠に悩まされ、仕事の集中力も低下してきた。

 そればかりではない。「社内での会話を盗聴されているのではないか」とおびえ、妻(48)を「スパイじゃないか」と疑いさえした。

 近くの病院の精神科を受診した。待合室で数枚の問診票を渡され、現在の心理状態に一番近い項目を選ぶように言われた。「被害妄想がある」といった項目に「○」印をつけた。

 診察室に入ると、30歳代と思われる男性医師は、開口一番言った。

 「統合失調症ですね」。医師は、いくつか質問し、男性会社員が盗聴を恐れていることを聞き出すと、すぐに薬を処方した。診察は10分間ほどで終わった。

 抗精神病薬や抗不安薬などを飲み始めた。

 薬の影響か、体重が半月で7キロ増えた。勤務中も、だるさは一層ひどくなり、仕事に身が入らない。ますます気分が落ち込み、「日々、寄る辺ないさみしさに悩まされた」という。通院から1年たったころには、妻に「死にたい」と漏らすようになった。

 統合失調症は、妄想、幻覚、まとまりのない会話、目的を持たない行動、意欲の欠如などの症状が、1か月以上続く場合などに診断される。思春期から青年期に発症することが多いが、妄想を主体とするタイプは、30歳代以降に発症することもある。

 妄想は、理屈に合わない、奇異なものになるのが特徴で、周囲は何もしていないのに「盗聴器で常に監視されている」「内臓を他人のものとすべて入れ替えられた」などと信じ込む。

 この男性の訴えは、一見、統合失調症の典型的な妄想のように見える。

 「自分では幻覚や妄想がひどいとは思えず、統合失調症と言われてもピンとこなかった。でも、専門家がそう言うのだから、間違いないだろうと思った」と男性は振り返る。

 統合失調症の診断には、症状や、生活歴や仕事内容などについても十分に問診し、発症までの経過などを聞くことが必要になる。

 男性には、「盗聴器」や「スパイ」の恐怖を、実際に身近に感じた経験があった。ところが医師は、それを尋ねなかった。

(2008年10月29日 読売新聞)


(以下、psycho)

 子どもの精神科を志向しているためでしょうか、私は、問診票をみただけで診断をすることはほとんどありません。

 というか、それだけじゃわからないような医者ですから・・・。魔法使いじゃないし。もしも魔法使いだったら、こういうつらさ自体を起こらないようにしているでしょうし。

 閑話休題。

 子どもは成長するので、今の診断が後で変わるというのはよくあることです。ADHD(注意欠陥多動性障害)と診断されていた子どもが、数年後にPDD(広汎性発達障害)という診断になっていたということも、そうそうないことではないようです。もちろん、私だけでもないようです。

 よっぽどつらそうな大人の方の場合は、お話しやすくするために少量の内服薬を試してもらってから、詳しく聞くということを私はします。でも、あんまりしたくないです。どんな状況かわからないのに、お薬での治療を始めてしまうと、後戻りできないような気分に私はなるので、したくないですし、避けてます。

 私の場合は、お話を聞いて、そして、心理検査をします。かかわる時間を増やさせてもらうという側面もありますし、内科ではある程度問診した後で、検査の計画を立てて検査をしますから、同じような感じでやります。外来を受診された方たちも、この方式は意外と受け入れやすいようです。

 診断を間違うということは、病院関係以外の職種の方の場合考えにくいことかもしれませんが、なくはないです。医者も人間ですから。

 私は、大事なことは間違いを気付けるシステムを作ること、と思っています。そのシステムの一つの方法として、心理検査は大事だなと思っています。

 他にもいろんなシステムがあると思うので、もっと知りたいなと思っています。

0 件のコメント: