週刊朝日7月18日号30ページに、秋葉原の無差別殺人事件について、「アキバ系アモク(psychoではアモックとします)」である、多文化間精神医学の権威、野田正彰先生が断じておられました。
久々に「アモク」と聞きました。
アモク=アモックだと、なかなか結びつかず・・・。
週刊朝日をよく読んで、思い出した私は、左の本のアモックの項目を読みました。
アモック、とは、なにか?
この本によれば、「厳密な意味では、アモックという用語は、アモック行為者が、格別愛憎の情を抱いてもいない人間に対して突然発作的に殺人行為に走ることをいう」ことです。
たしかに、事件の概要は、そのとおり。
ただし、本文はこのあと以下のように続きます。
「その出来事および発作前(アモック行為の前という意味)の敵意の感情について健忘が見られるのがふつうである」。
警察の発表では、加害者はこの事件の起こる前の自分の感情についてかなり、振り返っているように私には聞こえました。
しかし、もしも加害者がアモックであったとしたら、事件前の敵意の感情については、健忘つまり、忘れているはずなのではないでしょうか?
この記事では、野田先生は、本来ならばラオスやマレーシアで起こるアモックという急性精神病状態が都市で起こったと断じているのです。だから、秋葉原の無差別殺人事件は、本来のアモックとは異なるという意味かもしれません。そして、記事は後半、本人の精神病理性にも触れています。だから、完全にあの事件がアモックのみで説明できるとは、野田先生は言っていません。
でも、自覚的になってほしいです。野田先生には。
というのも、このようなメディアで「アモック」という用語を使ったとしたら、それは新しい病気の概念を作ったのと同じかもしれないと私は思うからです。
だとすると、そのことを丹念に説明し、多くの人のコンセンサスを得なくてはならないのではないでしょうか?
それを学会以外の場所で丹念にされているようにも私には思えなかったのです。学会誌などの投稿はおありだったと思いますが、私の不勉強からか、この手のアモックが都市化した疾患概念を、何らかの形で(たとえば単行本などで)発表しておられなかったように思います。
アモックという、新しい概念を導入してこの事件を説明したとすれば、急性精神病と同義とされる可能性もあり、そうなると、司法の場で加害者が減刑、もしくは無罪にまでなってしまうかもしれません。(心神耗弱もしくは心神喪失の適用=刑法39条による)。
それは、違う。私は、このブログで繰り返し述べているように、違うと思うからです。
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