2008年9月20日土曜日

「お母さん」って…。

 外来には、いろいろな子どもが来るのですが、もっといろいろなのはお母さんだろうなあと思います。私も、「お母さん」なので、外来に来てくれるお母さんたちと立場が同じですが、私とは違うなあということがかなりあるのです。

 もちろん、個性もあるでしょうし、お母さんとひとくくりにしても個々ばらばらな考えもあるでしょうから、当然といえばそうなんですが・・・。

 かなりびっくりしたのは、外来に子供を連れてきているお母さんの中で「私、この子のこと、全然わからないんですよね」と、さわやかに話す方です。もちろん、子どもに過剰なまでに干渉するのがいいとは、私は思いませんが、あまりにも知らなさ過ぎて、私がびっくりしていても、あっけらかん、としていたのでした。

 あまり具体例も書けませんが・・・。「学校で何があったのか話は聞かないし、子供もしない。だから、子どもに任せています」と。学校で、問題になるような行動があって(たとえば友達のものを勝手に持って帰ったなど)それでも、「カバンの中は見せてくれないので。子供に任せていますから」。

 私が、「家に帰ってから、どんなふうに遊んでいそうですか?」と聞いても、「知りません。近所の子供と出かけているようですが、子どもに任せていますから」。

 別に私も責めている口調ではなかったと思うのですが、最後に「ほとんどのこと、おばあちゃんに任せてますし」。

 聞けば、そのおばあちゃんなる人物はかなり高齢で、足腰がききにくくなっている方で、「ちょっと最近電話番なんかも、怪しいかも」というお母さんのコメントです。

 私は、だんだんとこのお母さんのほうが心配になってきました。こんなに自分の子供のことを知らなくって、不安にならないのかな・・・?

 私がそう聞いてみると「仕事が忙しくて」。

 私とは違うと思いますし、それでいいのかもしれません。でも、その子は学校でかなり問題行動を出しているし、でも自分に対してかわいがってくれる先生たちにはものすごくなついているのです。

 極端にいえば、このお母さんはネグレクトneglectという虐待のパターンの一種をしているのじゃなかろうか、と私には思えてきているのです。

 いや、その子にとってどうなのか、その家族にとってどうなのか、わからないですが、虐待やDVというのは、その当該の家族がよければいいというものではないのです。子どもにとってはその家族しかないわけですから・・・。

 そのお母さん、なぜか外来にはよく来てくれるので、このあとなにかお手伝いというか、できればいいと思っているのですが。

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