2008年8月18日月曜日

経皮剤の効用

2008/08/18(月)

No.J000468

閉経後女性へのホルモン治療は経皮剤で
KEYWORDホルモン治療|胆嚢疾患|経口剤|経皮剤|消化器

閉経後女性へのホルモン治療は胆嚢疾患(胆石症、胆嚢炎、胆嚢切除術)のリスクを増大することが、無作為化試験や観察研究によって明らかになっている。オックスフォード大学疫学部門のBette Liu氏らは、ホルモン剤には経皮剤と経口剤のタイプがあり、肝臓で初回通過代謝する経口剤よりも通過しない経皮剤のほうが、疾患リスクを減らすことができるのではないかと、両者の比較を行った。BMJ誌2008年7月10日号より。

イギリス・スコットランド女性100万人を対象に

Million Women Studyと名付けられたこの前向きコホート研究は、イングランドとスコットランドの国民健康保険(NHS)に登録された女性を対象とする。

NHSブレストスクリーニングセンターを利用した100万1,391例の閉経後女性(平均年齢56歳)が集められ、1996年から2001年の間に、胆嚢疾患によるNHS入院データが生じたかどうか追跡調査された

主要評価項目は、ホルモン治療が行われ胆嚢疾患・切除術のために入院に至った相対リスクと標準入院率。

胆嚢疾患リスクは経皮剤1.17 vs. 経口剤1.74

胆嚢疾患による入院が確認されたのは1万9,889例。そのうち1万7,190(86%)が胆嚢切除術を受けていた。

ホルモン治療未受療者と比べて治療中の者のほうが、胆嚢疾患になる可能性が高かったが(相対リスク1.64、95%信頼区間:1.58~1.69)、その相対リスクは経口剤受療者が1.74(1.68~1.80)、経皮剤受療者が1.17(1.10~1.24)で、経皮剤受療者のほうが低かった(P<0.001)。

経口剤受療者のうち、ウマエストロゲン(1.79、1.72~1.87)のほうがエストラジオール(1.62、1.54~1.70)よりも若干リスクが高かった(P<0.001)。またそれぞれ、低用量よりも高用量を用いた場合のほうがリスクは増大した。ウマエストロゲンで、>0.625mg:1.91(1.78~2.04)vs. ≦0.625mg:1.76(1.68~1.84)、P=0.02。エストラジオールで、>1mg:1.68(1.59~1.77)vs. ≦1mg:1.44(1.31~1.59)、P=0.003。

治療を中止すると、時間とともにリスクは減少する(P=0.004)。

アウトカムとして胆嚢摘出術に至った点に差異はなかった。

5年間での標準入院率(/100人)は、未治療者で1.1、経皮剤受療者で1.3、経口剤受療者は2.0。

Liu氏は、「胆嚢疾患は閉経後女性でよく見られる疾患であり、ホルモン治療を受けるとリスクは増大する。経口剤ではなく経皮剤で治療を行うことで、140人に1人が胆嚢摘出術を回避することができるだろう」と結論している。

文献
Liu B et al. Gallbladder disease and use of transdermal versus oral hormone replacement therapy in postmenopausal women: prospective cohort study. BMJ. 2008 Jul 10;337:a386. doi: 10.1136/bmj.a386.
(以下、psycho)

 確かに、ちょいと医者らしいことをいわせていただければ、経皮剤の効果というのは内服よりもいいだろうと、わかります。この記事にあるとおり、肝臓を通過してから全身へ有効成分が配分されるよりも、有効成分であれば、という限定つきですが、ずっと濃度の高い成分が全身に循環するのですから。

 ありがたいといえばありがたいしくみです。

 私psycho、この経皮剤の効果を実感しているものの一人です。というのも、自分ではなくて、息子です(今日誕生日なのに、ネタにされるとは。ごめん、息子!)。

 息子は、まだ小さいので風邪をひきやすいです。彼はおなかが丈夫なのですが、どうも喉が弱いようで、風邪を引けば決まって咳になります。

 そんなとき、小児科の同僚から処方された咳止めテープ(商品名;ホクナリンテープ)を背中か、胸か、上腕に貼ると、30分もすればあら不思議。あれほどつらそうだった咳が収まってしまうのです。

 やれありがたい、と私も息子もぐっすりと寝ます。子どもの咳は、気管支の拡張や収縮の関係で朝方に多いので、このテープはありがたい限りなのです。

 最初に処方された時には、「なに、これ。こんなんで効くの?」と思って、バカにしていたpsychoですが、母親としてはただ貼ればいいだけですから、手間なしです。
 咳が出た時は今までは、速攻で階下へいって冷蔵庫から咳止めの薬を水に溶かして、薬飲みスポイトで飲ませていたので、息子がむせてしまったりして、「肺炎にならないのか!?」と心配していたのですが、このテープだとその心配ももう無いです。

 ただ、すごく心配になります。あまり手軽なものが手に入ると、psychoはいつもそうなので、取り越し苦労であってほしいのですが・・・。

 有効成分にもしも、非有効成分もしくは、有害成分がくっついてしまうということになったら、どうするんでしょう?

 いや、なんらかの事故で起こる可能性があると思うのですが、このことで致死性になったりしないのでしょうか?

 たしかに、実感したとおり、テープに代表される経皮剤は手軽でありがたいですし、いずれ、精神科の内服もそんなふうになればいいと思う面もあるのですが、実際、有害成分が経皮的に体内に吸収される可能性も、なくはないことを踏まえて、使いたいです。

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