2008年10月5日日曜日

私の精神科医としての「なにか」

 9月22日のこのブログ記事に関連して・・・。http://psychopsycho-psycho.blogspot.com/2008/09/blog-post_22.html

 この本は、読み終えてしまいました。感想、なんでしょうか、以下に書くことは感想かどうかわかりませんが、この本を読み終えたときに私の頭に降ってきたことです。

 自分自身で、自分に対して、私はいったいなぜ精神科が楽しいと思えるのか、とずっと不思議でした。かつては、精神科以外の医局にいたこともありますが、楽しいと思えなかったのです。いったいなぜだったのか、私には今までその説明がなかったのです。だから、ずっとそれを考え続けていました。

 別にずっと考えなくてもいいんじゃないか、と自分に思っていたのですが、なぜだか考え続けていたのです。
 ずっと。10年以上そうでした。

 この本を読み終えて、いきなり、自分が精神科の診療を楽しい、と思えるのは、「人」に会っているからだ、という考えが降ってきたのです。たしかにそうです。私は、外来に来てくれた人達の、これまでのいきさつを聞き、「そんなことがあるんだあ」と驚いたり、よくなりつつある姿を見せてもらってうれしがったり、症状がまた悪くなった時に季節や地球のせいにしたり(環境問題などですが)、話を聞けるのが楽しいのです。

 「医者」と「患者さん」という役割でしかないかもしれませんが、そういう役割の枠があるからこそ、枠外の何かが見えるとほっとしたり、枠の中でさまざまなことが起こって私の中で様々な感情が呼び覚まされて、自分以外の人とのかかわりが増え、その結果、「楽しい」という感じになるのだろうと思います。

 対して、精神科以外の診療科にいたとき、私は外来で、今思うと本当に失礼ですが、「物」に会っていたのです。その当時の患者さんの名前はもちろん、背景も、どんな人だったかさえ、思い出せないのですから、「物」扱いと言ってもいいでしょう。

 私が「箱」に入っているかどうかは、わかりません。おそらく、「箱」に入っていることは私の外来での時間の中でも多いかもしれないのですが、今の精神科の外来では、「箱」の外にいる時間もあるのかもしれません。

 本の感想かどうか、わかりませんが・・・。


 

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