2008年10月21日火曜日

FDAと精神科薬物療法

FDA がうつ病初の経頭蓋磁気刺激装置を承認

提供:Medscape

1種類の抗うつ剤が効かないうつ病成人の治療を目的としたNeuroStar TMS脳刺激装置がFDAの検査に合格した。

【10月8日】1種類の抗うつ剤が効かないうつ病成人の治療を目的としたNeuroStar TMS脳刺激装置がFDAの検査に合格した。

 FDAの検査に合格した初の経頭蓋磁気刺激 (TMS) 装置となる。NeuroStarは埋め込む装置ではなくリスクも「それほど高くない」。そのため、FDAはNeuroStarに単なる「合格」を与えたに過ぎず、正式に「承認」してはいない、とFDAのスポークスパーソンはWebMDに話。

 
 2007年1月のFDA審議委員会でその臨床的有効性が試験で確立されていないと指摘されてから、合格まで2年近い歳月がかかった。TMS治療患者は偽治療患者の2倍の臨床効果を示したようであるが、この効果について委員の一部から「小さい」「境界ライン」「最低限のレベル」「臨床的意義に問題がある」などの意見が出た。


 このように有効性が疑問視されたため、委員会はNeuroStarのリスク/ベネフィット特性が電気けいれん療法 (ECT) のリスク/ベネフィット特性と同等でないと述べた。

 にもかかわらず、FDAは今日、ECTとの「同等性」を根拠にNeuroStarを認可した。

 今回の認可はTMSとECTが同じという意味ではない、とペンシルバニア大学で気分・不安障害プログラムの主任を務める精神科教授Michael Thase, MDは言う。Thase教授はNeuroStarを製造したNeuronetics Incのコンサルタントであった。教授は同社に代わって2007 FDA審議委員会にNeuroStarの臨床データを提出した。

「TMSは有効性、安全性の点でECTと決して同等でない。TMSはECTに比べ有効性は低いけれども、ECTよりかなり安全である」とThase教授はWebMDに話す。

 2つの治療法には重要な違いがある。

 電気ショック療法としても知られるECTは、けいれんを誘発するために電気ショックを用いる。TMSはけいれんや意識消失を起こさず脳の特定部分に微弱な電流を起こすため磁場を用いる。

 ECTは重症うつ病の治療にきわめて有効である。TMSはそれほど強力ではない。軽症うつ病の治療に用いられ、2種類以上ではなく1種類の抗うつ剤が効かない患者で最も効果を発揮する。


 TMSはECTより非常に安全性が高い。ECTと違いTMSは鎮静の必要がなく、外来で行うことができる。


 では、TMSはどのくらい効果があるのか。Thase教授はこれまで治療した患者を通してその有意義な効果を確認してきたし、臨床試験でも効果が認められた、と述べた。「うつ病においてTMSの治療実績は100%成功ではないが、大きな治療効果を支持するエビデンスが研究で認められる傾向にある」という。

 では、やるとすればいつ患者にTMSを試みるのか。

 今回のFDAの合格は、臨床試験で最も成績が良かった患者と同様条件の患者に使用する場合に与えられたものである。つまり、1種類の抗うつ剤では効果がなく、2種類の抗うつ剤をまだ試していない人である。

 「TMSは第一および第二選択治療とECTの中間に位置する」とThase教授は言う。「うつ病が重く入院が必要な患者にTMSを行うことはできないだろう。もちろん、適切な投与量と期間の抗うつ治療を試している人にも不可である」。 
 TMSでは週4~5回、4週間治療を受けなければならない。この間、Thase教授のチームは新しい抗うつ剤を開始し、TMS療法から徐々に離脱していくとのことである。

 情報源:Neuronetics Inc. ニュース発表
ペンシルバニア大学気分・不安障害治療研究プログラム主任精神科教授Michael Thase, MD
Karen Riley、FDAスポークスパーソン
FDA医療用具審議委員会神経治療機器パネル、2007年1月26日会議録
FDA「神経治療機器パネル会議要約」 -- 2007年1月26日
Neuronetics パネル発表、FDA神経治療機器パネル会議、2007年1月26日

WebMd メディカルニュース: "批判されたうつ病治療機器"


(以下、psycho)

 私の推測ですが、FDAは精神科の薬物療法を追いこもうとしているのでしょう。極論を言いますと(私の推測ですが)、FDAは薬物療法を廃止させようとしていると思います。

 以前にも、FDAからSSRIの危険性が発表されましたhttp://www.fda.gov/cder/drug/antidepressants/default.htm。
 また、認知症の人たちへの薬物療法にも「?」をつけていますし(m3.com http://www.m3.com/news/news.jsp?articleLang=ja&articleId=79607&categoryId=580&sourceType=SPECIALTY&)、抗てんかん薬に対しても否定的声明を出しています(http://www.fda.gov/cder/drug/infopage/antiepileptics/default.htm)。

確かにアメリカは、国民皆保健ではないので、長期にわたる治療に治療費をかけるのは民間保険会社にとってはあまり歓迎されません。だから、FDAも、精神科薬物療法に対して否定的見解になってしまうのだろうと思います。

 この趨勢は日本に必ず波及する、私はそう思っています。だから、私は日本でも徐々に薬物療法から離脱する方法をとったほうがいいと思っているのです。

 というわけで、明日から出身地のS市へ、子どものデイケアをやっているところへ見学に行くというわけです。

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