2008年10月9日木曜日

外来で

  一昨日の外来で、もやもやと気になっていたことがあったのです。

 発達障害の子供が、その日もたくさん受診していたのですが、その子、Aくんだけが暴れていたせいかもしれません。当たり前かもしれませんが、どの子も暴れる可能性はあるのです。ただ、実際にそうなることは、少ないですが。

 いったい何をそんなに?と思って、待合室に行ってみると、やっぱり暴れていました。ゲームを途中でやめることになったのが気に入らないのだと、Aくんのお母さんが言っていました。これも大変に多いお話です。

 そうか、そうだったのか。

 あれ?と思ったのが、お父さんとお母さんに話しかけたら、二人とも私に応じるのです。子供が暴れて、外へ行こうとしているのに。私は、どちらかがAくんのそばでみてあげる必要がある、と告げたのですがあまりピンと来ていない、というお二方の表情でした。

 いやな言い方でしょうが、このお父さんとお母さんはAくんをみつめていないんだなあと直感してしまったのです。病院で暴れる子供だからなのか、どうなのか、それまでの事情もわかりません。何と言っても、まだ数回しかお会いしてないので。

 Aくんは、話は通じる子でした。自分の意のままに私がならないと知ると、ふてくされたり、椅子を蹴飛ばしたりとしていましたが、私がそういう人なのだ、とわかれば、その私にあわせる人でした。と同時に私は、ああ、Aくんはお父さんと、お母さんにあわせているんだなと思いました。

 子どものこと、みてほしいと私はどのお父さんとお母さんにも言います。具体的には、
①子どもの日常生活をみて、私に教えてもらう。
 まあ、年齢によって違いますが。中学生なら、あまり全部は知らなくていいと思います。もっというと、小学生だろうと幼児だろうと全部は知らなくていいのですが、知りうる範囲で、ということです。
②子どもに、どうなってほしいと親として思っているのか、教えてもらう。
③子どもの好きなこと、嫌いなこと、を教えてもらう。
この三点です。

 ①はそのとおりです。③も、誰かのことを知るって、こういうことですよね。

 ②は、実はお父さんお母さんが自分自身のことをみつめることです。でも、これがないと、私はサポートしきれないのです。もやもやした葛藤でいいのです。むしろそれをみつめて、このあとどんなふうに家族がかかわりあうのかを考えてほしいのです。そしてそれを第三者の私に話してもらうことで、よりこのあとどうしていくのかがわかることがあると思います。

 おそらく、否定されるのがつらくて見つめられないんだろうと思います。親御さんが自分自身のことも、子どもたちのことも。今まで、発達障害=親の子育ての失敗という見方で言われて。もちろん、発達障害=親の子育ての失敗なんて、ありえないですが、なぜかそう思っている人が多いのです。発達障害の成因はいまだ不明です。

 Aくんの家もそうでした。私はお父さんとお母さんに、①から③のことをしてもらうこととして、次の外来に来てもらうこととしました。

 このこと、書くまでもないと思っていたのですが、やっぱり私も書かないと自分が整理できなかったのです。
 

 

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