2008年10月30日木曜日

禁煙治療は苦しくない!

「やめたい」葛藤1年半 結婚も決まり笑み 新薬が効果、禁煙外来 「ニッポンの現場-記者がゆく」
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記事:共同通信社
提供:共同通信社

【2008年10月28日】

 公共の場で禁煙が進み、歩きたばこも違反金の時代。厚生労働省の調査では、喫煙者のうち女性は3人に1人、男性は4人に1人が「やめたい」と考える。それでもやめられない人向けに「禁煙外来」を設ける病院が増え、全国で7000を超す。禁煙の最前線を訪ねると、新薬も開発され、効果を挙げていた。

 「喫煙者の半分はたばこが原因で早死にするといわれてます」

 年間100人が受診する大阪府豊中市の「薗はじめクリニック」。1時間半のカウンセリングは衝撃的な言葉で始まった。薗はじめ院長から「どんなの吸ってるの」と聞かれ、「軽い」と思っているたばこを見せる。「軽いのでも体への影響は大差ない。喫煙にはきちんとした治療が必要」。熱く語る説明に納得。何枚ものうろこが目から落ちた。以来3カ月、何とか吸わずにすんでいる。

 「熱狂的阪神タイガースファン」という豊中市の会社員斉藤久美子(さいとう・くみこ)さん(32)の喫煙歴は十数年。1日1箱、多い時で2箱。薄い化粧にTシャツ、スカート姿の斉藤さんは「映画やライブの途中も抜け出して吸った」と振り返った。

 「やめてほしい」。禁煙のきっかけは付き合って2年の彼氏のひと言だった。出産への影響も頭をよぎった。

 「やめる、やめる」。軽く応じた。でも、やめられなかった。車で出掛ける時は、何度も「トイレに行きたい」と止めてもらい、隠れて吸った。「やめなきゃ」という思い。吸い続ける現実。1年半、葛藤(かっとう)した。

 そんな時、禁煙した友達に勧められて、6月、意を決し「最後のとりで」と考えてクリニックを訪れた。問診でニコチンの依存度を調べ、カウンセリングを受ける。健康への悪影響や、やめられない医学的理由を聞き、飲み薬の治療を選んだ。

 以前は、ほおと歯茎の間に挟んで粘膜からニコチンを摂取するガムや、シールを張り皮膚からニコチンを摂取するパッチが主流だったが、ニコチンを含まないのに、吸いたい衝動を抑えられる飲み薬が開発され、非常に効果を挙げていた。

 初診の最後、薗院長がにっこりほほ笑んだ。「やめられるまで付き合いますから」。迷いが吹き飛び、一歩目を踏み出す勇気をもらった。

 飲み薬による治療は、薬の摂取量を増やすため、最初の1週間は準備期間としてたばこを吸いつつ薬を飲む。この1週間が「一番しんどかった」。「本当にやめられるんだろうか」。何度も不安に襲われた。

 そして7月1日、禁煙開始。彼氏から毎朝「頑張れ」とメールが届いた。くじけそうな時は院長の顔を思い出し、大好きなタイガースの応援歌で自らを励ました。

 禁煙日記も力をくれた。「どうなるかドキドキする」「禁煙開始、今のところ大丈夫」。不安に押しつぶされそうになっていた時を思い出し、自分を奮い立たせた。

 もちろん、つらさはあった。でも努力や苦労とは感じなかった。「葛藤していた時の方がよっぽどきつかったから」

 10月、規定の5回の受診を終えた。たばこは一切口にしていない。肌が柔らかくなり、口臭も気にならなくなった。

 「彼氏と海に行った時も『トイレはええん』って聞かれた。ライブも最後まで見続けることができた」と満面の笑み。「たばこが障害になっている部分があった」という結婚も決まった。

 「すべてから解放された気分。禁煙って怖くないやん」

▽禁煙外来

 禁煙外来 たばこをやめたい人向けの専門外来。精神面の支援やニコチンガム、ニコチンパッチ、ニコチンを含まない飲み薬などを使って治療する。禁煙への費用は健康保険対象外で患者の全額負担だったが、2006年4月から、ニコチン依存度などの基準を満たす患者には保険適用が認められた。厚生労働省の検証調査では、規定の5回を受診した場合の禁煙継続率が、途中でやめた人より高く、効果が認められた。


(以下、psycho)

 この記事の通りのことが起こっているらしいのです。具体的に言うと、「禁煙(治療)は、苦しくない」のですよ!

 このことは10月18日に参加した産業医研修で、会場にいた禁煙治療を経験された方がお話しされていました。その時は私は半信半疑だったのです。「えー、そんなことってあり?!だとしたら、今までの苦労はなんだったのかなあ」という気持ちでした。

 今までの苦労は、しなくてもいい苦労だったのかもしれません。

 確かに、新しい治療方法が続々と最近出ていますし。たとえば、ニコチンパッチにしてもおよそ考えられなかった時代も長かったですし。

 ニコチンパッチといえば、PTSDの人に処方していたことを思い出しました。その人は女性でレイプの被害を受けた人でした。「たばこを吸っているときには、安心していられる」といった彼女に、私は「体に悪いから」という善意でニコチンパッチを処方しました。こうして書いていると、これでよかったのか、と当時の私に問いかけたい気持ちになります。

 PTSDの治療はうまくいっていたか、それさえもあまり自信がありません。私は転勤で彼女と会えなくなりましたし。

 禁煙治療と一口に言ってもいろいろあるのです。

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